前回「12月は繁忙期?美容業界の年末年始について徹底解説!」で美容室の休日は各都道府県の美容連合会によって決まっているということをお伝えしましたが、「美容連合会」とはどのようなものなのでしょうか。
今回は、美容連合会の役割や活動について解説していきます。
美容連合会とは?
通称「美容連合会」といわれている「全日本美容業生活衛生合同組合連合会」は、生活衛生関連の営業の運営の適正化や、美容業を復興させる法律に基づき、各都道府県知事の許可を得て設立されている組合です。
約7万件の全国の美容室がこの組合に入っており、衛生水準の向上や美容業界の復興や発展のため、美容技術の指導や経営指導、共済、広報や社内検定などを行う美容業界唯一の公的な全国団体です。
本部は東京都の代々木にあり、美容業界の衛生水準の向上や維持、お客様の利益を守るため、全国の美容組合が協力してお店側の自主的活動を促進することを目的としています。
また美容連合会に加入している美容室の経営安定のために措置をとり、公衆衛生の向上を目指し、日本の人々がより良い生活を送れるようにとできた組合です。
美容師の資格は専門性の高い衛生管理知識を必要とする国家資格であるため、美容業界のためだけでなく、お客さんが安全・安心のサービスを受けれるようにするために、資格制度を守るためにある団体です。
美容連合会に入るか入らないかは美容室の自由であるため、加入してもしなくてもどちらでもいいのです。
美容連合会の活動
具体的に、美容連合会とはどのようなことをしている組合なのでしょうか。
共済
美容連合会に入っている美容室であれば、例えば「カット中にお客様を切ってしまった」「施術中にお客様お洋服を汚してしまった」「預かった荷物を破損・紛失してしまった」など、様々なトラブルに対して保険に入ることができます。
また美容師自身が怪我をしてしまった場合や、休業せざるを得なかった場合などの保険にも、美容連合に入っていれば加入することができます。
全日本美容技術選手権大会の実施
全日本美容技術選手権大会は、47都道府県から選ばれた美容技術者が、日ごろの成果を競い合うために1962年から開催されている歴史ある大会です。
厚生労働省が支援しており、「ヘアスタイル競技」「カット&ブロー競技」「ストリートカット競技」「花嫁化粧着付競技」「中振袖着付競技」「ネイルアート競技」「洋装ブライダル競技」から成り立っています。
美容業界最大最高のイベントも主催しています。
また1946年に設立されたフランスのパリに本部を置く世界50か国の参加するの理美容経営者の全国団体が加入するОCМ(世界理容美容機構)に全日本美容連合、全理容連合が、日本代表として加盟しています。
教育
全日本美容連合では、美容業に関わる人に向けた講習などの教育にも力を入れています。
例えば衛生管理講習会では、厚生労働省の後押しを受け、美容師がお客様に安心・安全のサービスを提供できるよう、最新の衛生管理に講習会を設けています。
衛生管理に関することは日々進化しており、最新の衛生管理について学ぶことは、美容業界で働く人にとって必要不可欠です。
衛生管理に関する専門知識を深め、時代に合った衛生管理を学ぶ場を設けています。
美容師法第一条では
とされており、美容師法が美容師の資格を定めるだけでなく、公衆衛生の向上を目的を目指しているためです。
またエステ、ネイル、メイクや着付だけでなく、接客・マナー教育もおこなっており、サロンワークで必要なマナーや、履歴書の書き方など、美容学生に向けての検定もおこなっています。
これらの資格は全美容連評価認定制度(SBS)といわれており、お客様がメニューを選択する明確な指標となり、信頼性を提供することのできる資格も発行しています。
さらに超高齢社会に向けての訪問美容、障害者に向けたハートフル美容師の講習も実施しています。
訪問美容では、老人ホームに代表されるような単に髪の毛を短くするボランティアや格安料金で美容サービスを提供しているのが現状ですが、全日本美容連合会ではボランティアではなく、適正な価格で質の高い美容サービス(カット・パーマ・メイク・カラーなど)を提供し、利用者の更なる美容、施術者の収益増加につながる取り組みもおこなっています。
全日本美容連合では訪問美容に積極的に取り組んでおり、組合員サロンの販路拡大のサポートもしています。
また「ハートフル美容師」の資格も認定しており、こちらも厚生労働省に後押しされています。
ハートフル美容師とは、高齢のお客様や障害者の方に安心・快適・満足の美容サービスを提供することのできる美容師のことです。
そのための知識や技術を持っている美容師を育てたいと、美容連合会とシルバーサービス振興会がスタートさせた講習会が「ハートフル美容師養成研修」です。
日本は超高齢社会を迎えており、このままのスピードで高齢化が進むと2025年には1.8人に一人が高齢者となります。
こうした超高齢社会に向けて、日本では「地域包括ケアシステム」の体制構築を目指しています。
この事業の一環として、美容業での活躍が期待されています。
高齢者の方や障害を持っている方に、満足、快適なサービスを提供できる美容師が求められており、安心して任せられる美容師を探しています。
また病気やケガなどで美容室に行くことができなくなった方も「いつまでもキレイでいたい」という気持ちを持っています。
これからの美容業界では、美容の技術だけでなく、身体や心の特徴を踏まえたさまざまなお客様に対応できる美容師が求められています。
ハートフル美容師の養成講座では、実際にサロンや訪問美容の現場を想定して作られたカリキュラムであり、教材も実践的なものとなっています。
また通信講座での取得も可能であり、自宅学習も可能です。
スクーリングでは、各分野の専門家が講師として教壇に立ちます。
高齢者や障害者は健常者や若い人と同じように、いつまでもキレイにいたいと思っています。
こうした要望に的確に応えていく施術法や、接客・介助方法についても、実践を交えて学習できるプログラムとなっています。
まとめ
全日本美容業生活衛生合同組合連合会は、美容業や公衆衛生の向上を目的とした組合です。
各サロンが加入する・しないは自由ですが、加入すると衛生管理や共済の加入、美容技術コンテスト、資格の主催など、美容業に関する様々な活動をおこなっています。