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実は国家資格があった!着付け師ってどんなお仕事?

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日本で昔から着られている 着物。

最近ではインバウンドの影響もあり、東京・浅草や京都では着物を着て歩く外国人観光客を見かける機会も増えました。

日本人も昔に比べると着物を着る機会は減ってしまいましたが、成人式や卒業式、結婚式などまだまだ着物を着る機会は多くあります。

しかし、自分で着物を着れるという人は少ないのではないのでしょうか。

そこで頼りになるのが『着付け師』という肩書をもつ人たちです。

実はこの着付け師さんたちの中にも『着付け技能士』と呼ばれる国家資格を持つ人たちがいるのです!

今回はそんな『着付け技能士』の資格とともに、着付け師の仕事についてみていきます。

着付け技能試験/着付け技能士とは?

着付け技能士とは厚生労働省が認定する国家資格です。

職業能力開発促進法第47条第一項目による一般社団法人 全日本着付け技能センターが実施する、着付け技能士に関する学科試験と実技試験に合格した人のことを “着付け技能士” と呼びます。

着付け技能試験

2010年から一般社団法人全日本着付け技能センターが着付け技能検定に関する指定試験機関として厚生労働大臣から指定を受けています。

実務経験があれば誰でも受験することができます。

着付け技能検定には1級と2級があり、専門学校や大学・職業訓練で履修しているか実務経験2年で2級、専門学校などの履修歴によって実務経験2~5年で1級を受けることができます。

1級も2級も共に学科試験があります。

検定の内容は一般的な技術を対象としているため、流派による伝統や文化、芸術的に高度なものは含まれません。

実技試験は学科試験に合格してから2年以内に合格しなければ資格を取ることができません。

2級の学科試験は以下のような内容になっています。

着物の知識及び名称
(1)着物の歴史(服飾史)
(2)着物の各部の名称及び寸法
(3)文様
男女の着物の違い着物のたたみ方

着物の織物及び染物
(1)織物の知識
(2)染物の知識

着物の着用時季

着物の格
(1)着物の用途別種類及び柄づけによる格の違い
(2)家紋

帯の種類(織帯及び染帯)

着付小物及び装身小物の種類及び用途

着物、帯及び小物の合わせ方

着付けの心得、作法及び技法

関係法規
美容師法(昭和32年法律第163号)関係法令のうち、着付けに関する部分

着物の知識及び名称
(1)着物の歴史(服飾史)
(2)着物の各部の名称及び寸法
(3)文様

男女の着物の違い

着物のたたみ方

着物の織物及び染物
(1)織物の知識
(2)染物の知識

着物の着用時季

着物の格
(1)着物の用途別種類及び柄づけによる格の違い
(2)家紋

帯の種類(織帯及び染帯)

着付小物及び装身小物の種類及び用途

着物、帯及び小物の合わせ方

着付けの心得、作法及び技法

関係法規
美容師法(昭和32年法律第163号)関係法令のうち、着付けに関する部分

引用:全日本着付け技能センター (kitsuke.or.jp)

1級の学科試験はこれに『繊維の知識』が加わります。

その他の学科試験の詳細についてはこちらから

 

2級は浴衣・街着・付け下げ・訪問着・付け下げ訪問着の着付けが規定時間内にできること、1級はこれに加え色留袖・黒留袖・中振袖・紋服の羽織と袴が時間内に着付けできることが合格基準となります。

合格率は非公開となっていますが、国家資格であるため取得が容易ではないのは間違いないでしょう。

着付け技能士

技能試験合格後は2級は技能センター理事長、1級は厚生労働大臣の名で合格証書が授与されます。

また合格者には級ごとに “2級着付け技能士” “1級着付け技能士” と称することが認められています。

ちなみに職業能力開発促進法により、着付け技能士の資格を持っていない人が着付け技能士と名乗ることを禁止されています。

『技能士』とは技能検定に合格した人に与えられる国家資格で技能試験に合格しないと名乗ることができない名称独占資格です。

合格せずに名乗ると法律で罰せられるので注意が必要です!

着付け師になるには

『着付け技能士』と名乗るには国家資格である着付け技能検定に合格しなければならないと前章で述べましたが、資格がないと着付けを仕事にすることはできないのでしょうか?

そんなことはありません。

着付けを生業とするには特別な資格はありません。

しかし働く先がほとんどの場合写真館や観光用の衣装屋さんであるため、ヘアメイクができることが必須という職場が多いのが現状です。

美容師免許を持っていて、美容師として働きながら着付けの勉強を始めた、という着付け師は多いです。

着付け師の働き方としては、正社員として働くなら写真館、美容室、呉服屋、結婚式場などで正社員として働く人が多くいます。

しかし正社員の場合、着付け+ヘアメイクや撮影技術などプラスアルファで何かできないと働き口のが現状です。

着付け以外にも、販売などの仕事もできなければいけません。

着付けのみを仕事にしたいなら、着付けの講師がおすすめです。

大手の着物着物教室で働くなら1コマ当たりの単価は2000円前後のところが多いようです。

また卒業式や成人式などの繁忙期は期間限定でアルバイトの募集があることが多いので、繁忙期のみ仕事をしている着付け師も多くいます。

未経験から着付け師を目指す場合、着付けの学校に通い着付けの技術を身に着けながらヘアメイクなどの勉強もするくらいの覚悟は必要です。

着付け師になるには、独学では限界があります。

最近ではDVDやYouTubeなど、オンラインで学ぶ方法もたくさんあります。

決められた時間に講座を受ける必要もなく、わからないところだけ繰り返し見ることができ、なんといっても安く学ぶことができます。

しかし、プロとして仕事にしたいと思うならスクールに通うのが一番の近道です。

日本には様々な着付けスクールがあります。

消費者センターには毎年多くの着物スクールに関する相談が寄せられています。

着物スクールのトラブルが後を絶ちません。

例えば「レッスン料無料」と謳っている着物スクールがありますが、体験に行って高額な着物を買わされた、買うというまで帰らせてもらえなかったというような被害が出ています。

テレビCMで見かけるような大きなスクールは安心して通えるかもしれませんが、自宅で個人でやっているような着物スクールは気をつけたほうがいいかもしれません。

 ”着付け技能士”以外の資格

着付け技能士以外にも着付けに関する民間の資格は多くあります。

さまざまな着物に関する資格がありますが、着物の資格は大きく分けて3つの段階に分かれています。

初級・3級合格レベル…趣味で自分の着付けが一人で行えるレベル

中級・2級合格レベル…家族や友人などの着付けが行えるレベル

上級・1級合格レベル…着付け師として現場や講師として働けるレベル

ここでは民間の着物に関する資格を紹介していきます。

着物免許

京都きもの芸術文化協会が発行している免許です。

着物免許は5~1級までの5段階があります。

4級に合格すると国際文化協会の発行する『きもの国際免許』が取得可能になります。

3級で自宅で着付けをできるレベル、2級で着付け師として活躍することができるレベルと定められています。

着付け師

日本和装教育協会認定の資格です。

着付け師の資格は3~1級があり、1年間ですべての資格取得をすることができます。

実践的な和装の技術が求められています。

プロ着付け修了証

全日本着装コンサルタント協会の資格です。24回の授業で美容室や冠婚葬祭で自分以外の人に着物を着付ける着せ付けを学ぶことができます。

着付け師の収入ってどのくらい?

成人式を経験している人ならわかると思いますが、着物はレンタルであっても高額なことが多く、着付け師のお給料も多いのでは?と思っている人もいるかもしれません。

着付け師の収入は雇用形態や働き方によって大きな差があります。

正社員の場合

着付け師の平均年収は正社員で220~280万円ほどです。

着付け師の正社員としての働き口は

●結婚式場での着付け業務

●写真スタジオでの着付け業務

●呉服店での着付け業務

●着物教室での着物講師や着付け業務

●レンタル着物スタジオでの着付け業務

●和装スタイリストのアシスタント

など、多岐にわたります。

正社員の場合、大手の結婚式場などの着付け師などはボーナスが出るところもあるので働き口によて収入に大きな違いがあります。

また着付け歴が20年以上のベテランになると350~400万円以上とさらに大きく差が開きます。

着付け師は実務経験が重視されるので、着付け師としてのキャリアが20~30年ほどある50代の着付け師が一番高い年収をもらっています。

実務経験以外にも、学歴や都道府県、年齢によっても年収に開きがあります。

アルバイトの場合

アルバイトやパートの場合、着付け師の時給は800~1200円ほどと地域によって差が出ますが、とても高い給料というわけではありません。

ブライダルの着付け師、美容院の着付け師などアルバイトの月給は平均すると10万円前後で、正社員ほど稼ぐのは難しいといえます。

また正社員同様、アルバイトの場合でも着付け以外の雑務もこなさなければなりません。

呉服店勤務であれば着物の販売、ブライダルの場合ではアシスタント業など、着付け師以外の仕事も含まれます。

着付け師のみで仕事をした場合の平均年収

アルバイトや正社員の場合、着付け師のみの仕事をするのは難しいものです。

着付けの仕事しかしたくない!という人は、卒業式や成人式シーズンだけ着付けの仕事をする人もいます。

その場合、一人の着付けにつき単価が約3000円ほどです。

しかしいつも安定して仕事があるわけではなく、イベントごとに派遣されるというのがほとんどです。

一年間で着付けをするイベントごとに着付けをしたとして平均で年間15人ほどになるそうです。

着付けだけを仕事にしようと思うと、年間で5万円ほどです。

さらに着付けをする特別な日にはヘアメイクとセットのことが多く、美容師免許を持っている人のほうが仕事をもらいやすいのが現状です。

着付け師は稼げない職業なの?

正社員やアルバイトなど、前述のように着付け師は稼ぎにくいように見えますが、実際に年収600万円を超えて稼ぐ着付け師もいます。

もちろん、この着付け師たちも初めからこのように稼いでいたわけではありません。

多くは正社員やアルバイトなどで実績を重ね、コネクションを作り、実力や知名度を上げています。

着付け師として大きく収入を得るには独立・開業するのが一番の近道といえます。

自分で独立してしまえば決められた時給で働く必要がなくなるため、自分で単価も決めることができます。

例えば着付け一人5000円で設定し、30分で終わらせることができるとします。

1時間に2人着付けることができれば時給換算で1万円の収入になります。

もちろん独立開業するには経験と実力、知名度が必要です。

また有名な着付け師になれればほんの出版や、講演の依頼が来るようになるかもしれません。

最近ではインターネットを通じてYouTubeで着付けや着物に関する情報を動画にしたり、ブログで情報発信するなどして副業を得るなど、様々な方法があります。

着付け師としてこのような高収入や副業を得るためにも、資格取得や技術を学び続け、サービスの質や信頼を得ることが大切です。

着付け師にはどんな人が向いている?

では着付け師に向いている人とはどのような人なのでしょうか?

着物が好きな人

もちろんのことですが、着物が好きでないと着付け師には向かないでしょう。

着付けを習うにはスクールに通い、資格を取ったほうがいいのは間違いありません。

しかし、スクールに通って資格を取ったからと言って必ず着付け師になれるという訳ではありません。

千回は着物を着て慣れろという先生もたくさんいるようです。

着付けの手順を覚え、感覚を養う必要があります。

一人前の着付け師になるには長い時間と経験が必要になってきます。

最初は正社員にしてもお給料が安いところも多く、着付け以外の雑務も仕事に含まれるため、着物が好きな人でないと続けられない仕事と言えるでしょう。

精神的、肉体的にタフな人

着付けの世界はよくも悪くも年功序列という制度が残っている世界です。

その中で生き残ろうと思うと厳しい上限関係の中を割って入る必要があるかもしれません。

自分を強く持って、人の言葉に流されない精神的タフさが必要です。

そして朝が早く、何人もの着付けを1日で行うことも多いので体力も必要です。

手先が器用で、相手の立場に立って考えられる人

技術的には、手先が器用な人のほうが向いているといえるでしょう。

ただ着物を着せればいいというわけではなく、限られた時間の中で丁寧に着崩れしないように着付けていくことが大切です。

着付けられる人の中には普段着物を着ない人もたくさんいます。

そして体型も一人ひとり違います。

その人たちが窮屈でないように、かつ着崩れしないように着付けなければなりません。

また着物や小物、帯などは繊細な生地でできているものが多いです。

そのため手先のケアも必要になってきます。

まとめ

今回は着付け師についてまとめてみました。

    • 着付け師には『着付け技能士』という国家資格があるが、この資格がなくても着付け師になることができる
    • 『着付け技能士』以外にも民間の資格がいくつかある
    • 着付け師は技術と経験が必要であり、最初から着付けのみを仕事とするのは難しい
    • 最初は給料が安いことが多いが、独立開業すれば高収入を得ることも可能
    • 着付け師に向いている人は着物が好きな人、手先が器用な人、精神的・肉体的にタフな人が向いている

着付け師について理解が深まったでしょうか?

インバウンドの増加もあり、着物が着たい人に対して着付けができる人が足りないのが現状であり、今後ますます着付け師の需要が増えてくることが見込まれます。

着付け師になりたい人は深い経験や知識が必要になり、長い道のりと言えます。

興味がある人はいろいろと調べてみてください。

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