新型コロナウイルスの影響により健康志向が広がっている昨今ですが、パーソナルトレーニングの需要が高まっています。
大手フィットネスクラブなどに通って、不特定多数の人と会わなくていいというのも大きな理由といえます。
少し前まで短期集中型の高額パーソナルトレーニングが主流でしたが、現在は継続型のパーソナルトレーニングの人気が高まってきている傾向があります。
継続型のパーソナルトレーニングとは回数券・サブスクリプションなど、都度払いだったり、通い放題だったりといったパーソナルトレーニングです。
短期的に結果を出すのではなく、運動習慣をつくり少しずつ身体を変えていこうとするパーソナルトレーニングです。
理由としては金額面と習慣化などのコンセプト面があげられます。
新型コロナウイルスにより在宅時間が増え、太ってしまったり運動不足の人もいることと思います。
「短期間でお金を使って数カ月だけ頑張りたい」というよりは、「少しお金はかかるけど運動習慣を身に着けて、体型が崩れないようにしたり、コンディションが悪くならないようにしたい」と思う人が増えた傾向があります。
今回は今需要の高まっているパーソナルトレーナーという仕事について解説していきます。
パーソナルトレーナーになるには
パーソナルトレーナになるための厳密な資格はありません。
やる気さえあれば誰でも『パーソナルトレーナー』と名乗ることができます。
しかしパーソナルトレーナーと名乗ることができても、パーソナルトレーナーとして正社員として働かない限り、安定して仕事を得ることは難しいです。
お客様も高いお金を払ってジムに通うのでパーソナルトレーナを見る目もシビアですし、パーソナルトレーナーもかなり増えてきています。
パーソナルトレーナーの乗り換えが簡単にできてしまう世の中です。
簡単にパーソナルトレーナーになれたとしても、胸を張って「パーソナルトレーナーです」といえるようになるには、お客様に認められるスキルや実績を持つことが必要です。
パーソナルトレーナーを目指す人は、以下のような方法があります。
●パーソナルトレーニングジムやフィットネスクラブのアルバイトやパートとして働く
●独立して委託業務を受ける、開業する
パーソナルトレーニングの会社に就職するのは異業種の業界や未経験でも就職することは会社によっては可能です。
接客業の経験がある人や人と関わることが好きな人には向いている仕事といえますが、運動の知識や食事の知識も必要です。
お客様に『健康』を提供するのがパーソナルトレーナーの仕事です。
そのためにはパーソナルトレーナー自身が健康でなければなりません。
パーソナルトレーナの資格
パーソナルトレーナになるのに特別な資格がなくてもなることは可能ですが、保有していると就職に役立ったり、お客様も安心してトレーニングを任せることができます。
ここではパーソナルトレーナーとして働くために持っておくと便利な資格について3つご紹介します。
NESTA PFT
NESTA PETは全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会が認定する資格です。
正式名称はNational Excercise&Sports Trainers Associationという団体のパーソナルフィットネストレーナーの認定資格です。
アメリカのカリフォルニア州に本拠地があり、海外でも通用する資格です。
受験する条件として満18歳以上であり高校の卒業資格に併せて体育系か医療系の大学・専門学校を卒業しているか、1年以上の実務経験があるかのどちらかが必要で、どちらもない場合は講習を受講する必要があります。
合格してから4年間有効であり、4年後に更新が必要です。
更新手数料は20000円です。
パーソナルトレーナーの資格ならNESTA | NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)
NSCA CPT
NSCA CPTはNSCAジャパンが認定するパーソナルトレーナーの資格です。
NSCAジャパンはアメリカのNational Strength & Conditioning Associationの日本支部です。
NSCA CPTはパーソナルトレーニングの資格の中で最も歴史が古い資格です。
18歳以上の高校を卒業している人なら誰でも受けることができます。
この資格は健康と体力のあらゆるニーズにこたえるパーソナルトレーナーを育てるための資格です。
JATI ATI
日本トレーニング指導者協会(Japan Association of Training Instructors)の資格です。
日本トレーニング指導者協会は2006年に特定非営利活動法人として設立されました。
JATI ATIは国内のインストラクター認定資格の中では有名な資格で、スポーツクラブの業務委託では活動のために必須としているところも多くあります。
競技スポーツとフィットネスの両方で幅広く運動指導をできることが認められる資格です。
受験資格は満18歳以上で高校を卒業していることに併せて、大学または専門学校を卒業しているか3年以上の実務経験がある、あるいはNSCAなどの指定されている資格を持っているかいずれかが必要です。
日本トレーニング指導者協会
これらの資格は合格率60~75%ほどとなっておりすごく難しい資格ではありませんが、受験費用が40000円以上と高額のため、気軽に受けるれる資格ではないことがわかります。
このほかにも健康運動指導士やダイエット検定などさまざまな資格がありますが、まずは自分がどんなパーソナルトレーナになりたいのかということを考えてみる必要があります。
個人事業主として働くのか、どこかのフィットネス会社に所属するのか、またダイエットを得意とするのか、コンディショニングを得意とするのか、ターゲットは女性なのか高齢者なのか。
それらによって学ぶべき内容が違います。
パーソナルトレーナーという肩書は様々な分野からの依頼があります。
そのことはとても喜ばしいですが、その専門性を見極め、その分野のスペシャリストになることが大切です。
仕事内容
パーソナルトレーナーの仕事はお客様に『健康』を提供する仕事です。
健康とは身体だけではなく、メンタル面の健康も提供する必要があります。
パーソナルトレーナーの仕事は主に
●トレーニング…現状を把握したうえでトレーニングの指導やメニューの作成、食事管理などをおこなう
●モチベーティング…クライアントが希望している結果に導く
の3つです。
どれもパーソナルトレーナーにとって大切な仕事です。
どんなにトレーニングや運動の知識が豊富でも、コミュニケーション能力がなければお客様に知識が伝わりません。
クライアントの現状を把握する能力がないとお客様の満足のいく結果にもつながりません。
パーソナルトレーナーの仕事はバランスの取れたスキルが求められる仕事といえます。
パーソナルトレーナーはクライアントに指導するだけでなく、自分自身が身体を鍛え、トレーニング方法やトレーニング器具、栄養に関する新しい知識を取り入れ学び続けることが求められます。
またフリーランスとして活躍しているパーソナルトレーナーはクライアント獲得のための宣伝活動も必要になります。
ホームページやブログ、SNSなどの自分自身のPRをすること通してセルフブランディングをおこなうことも重要な仕事の一つです。
パーソナルトレーナーの給与・年収
パーソナルトレーナーの給与は働く雇用形態によってさまざまです。
フィットネスクラブのパーソナルトレーナー兼スタッフとして雇用されている場合は基本給+歩合の場合が多く、100時間働いて15~25万円前後というところが一般的です。
パーソナルトレーニング専用のジムで働いた場合、月収は30万円前後というところが多く、その分労働時間も増えます。
フィットネスクラブやパーソナルトレーニングジムと業務委託をしている場合、完全歩合制のところが多く、100時間当たり働くと30~50万円といいうところが多いです。
パーソナルトレーニングジムを自身で経営している人も多くいます。
パーソナルトレーニングジムは参入障壁が低く誰でも始めることができますが、集客が上手くできず失敗する例も多くあるのが事実です。
顧客を安定して獲得するため、キャリアや経験を積んでから独立することをオススメします。
パーソナルトレーナーの現状と将来性
今現在需要の高まりをみせているパーソナルトレーナーですが、パーソナルトレーニングの業界は今後どのように変化していくのでしょうか?
パーソナルトレーナーは高収入として注目を集めている
パーソナルトレーナーがメディアで取り上げられるようになり、ボディコンテストが全国で行われるようになり、パーソナルトレーナーが求められる市場がどんどん拡大してきています。
現在2800億円のパーソナルトレーニング市場ですが、今後は5000億円の潜在市場が期待されています。
現在のフィットネス全体の市場規模が4400億円といわれており、いかにパーソナルトレーニングの市場の可能性が大きいかが伺えます。
女性のパーソナルトレーナーが求められる
現在パーソナルトレーナーは男性の方が多いのが現状です。
かつてパーソナルトレーニングは、一流のアスリートだけが受ける傾向がありました。
しかし最近は若い女性のお客様も増え、今後は女性のパーソナルトレーナーが活躍する時代になるといわれています。
パーソナルトレーナーはお客様に健康を提供する仕事であり、正しい生活習慣を指導する仕事なので、家庭を支える女性の方が向いているのは自然なことです。
女性同士でしか話しずらい生理や更年期の悩みも共有しやすいのが女性トレーナーが求められている理由の一つです。
またお客様と一緒に過ごす時間が長いため、女性が本来持っている母性や高いホスピタリティーがお客さんの満足度を上げることができるからです。
今後は美と健康のスペシャリストとして『看護師×パーソナルトレーナー』や『主婦×パーソナルトレーナー』『エステティシャン×パーソナルトレーナー』といった兼業女性パーソナルトレーナーが増えてくることが予想されます。
パーソナルトレーナーもAI化が進む
時間がなくジムに行く余裕がない、小さい子供がいるから家でトレーニングをしたいというお客様に対して、今海外で高い評価を受けている人工知能によるパーソナルトレーニングがあります。
AIの参入はパーソナルトレーニングに限ったことではなく、多くの業界において人々が職を失う原因の大きな問題になっています。
AIの導入により好きな時間に自宅でトレーニングができるというのはクライアントにとって最大のメリットです。
また人と話す必要もないので対人関係が煩わしいと感じる人にとっては良いかもしれません。
しかしパーソナルトレーナーの最大の武器は『ヒト』に指導してもらうことができるという点です。
身体の悩みを共有できるのは『ヒト』でこそできることであり、パーソナルトレーニングはコミュニケーションの一環でもあります。
「あなたに指導してもらいたい」と思ってもらえるパーソナルトレーナーになることで、あなたにしかできない指導やメニュー作成など、AIでは代用できないパーソナルトレーナーになることができます。
シニア世代からの需要が高まる
現在の日本は高齢化社会が進み65歳以上の人の人口が全体の27.3%以上といわれており、日本の平均寿命も世界に比べると比較的高く、今後は超高齢社会に変わっていくことが予測されます。
超高齢化社会において、パーソナルトレーナーの役割も重要になってきます。
シニア世代の人たちも健康寿命を延ばそうと、健康な体づくりをする人が増えてきています。
マンツーマンで指導するパーソナルトレーニングはお客様としっかり向き合い、トレーニングだけでなく食生活も含めて的確なアドバイスができるパーソナルトレーナーが今後ますます求められることとなります。
人気のパーソナルトレーナーになるには
パーソナルとレナートしてお客様から認められ、安定収入を得るにはまずは自分がトレーニングを実践し、勉強し続けることです。
そしてそのうえで人間力を高めることによってお客様からの信頼を得ることができ、長くトレーニングを続けてもらうことができるのです。
その「信頼されているお客様」をどれだけ作るかがカギとなります。
しかし長く続けてくれることがゴールではありません。
本当に信頼してくれる関係とは、距離を置いていても安心できる関係です。
パーソナルトレーナーとは時にお客様の人生を左右する仕事です。
最初は身体づくりのために週に2回来てくれていた場合その状況を続けるのではなく、週に1回、月に1回と回数を減らしても結果を出せるトレーナーになることです。
人気のトレーナーになるには学び続けることがとても重要です。
そしてどんどん外の世界に生き、さまざまな分野の方と情報交換することにより思いがけない人脈や大きな仕事を得ることができます。
パーソナルトレーナの仕事はお客様に対して一対一で向き合うことになるため、トレーナー次第でお客様の満足度は大きく変わります。
まとめ
今回はパーソナルトレーナーという仕事についてでした。
お客様に『健康』を提供するパーソナルトレーナーは資格がなくてもなることができますが、フリーランスとして活躍したいのであればNSCA・NESTA PFT・JATI ATIのいずれかの資格を一つは取っておくことをオススメします。
日本において超高齢社会が進む現在、健康寿命を延ばすためにも学び続けることのできるコミュニケーション能力の高いパーソナルトレーナーは、AI時代にも生き残っていけるパーソナルトレーナーとなることができるでしょう。
コロナ禍において健康について意識を向けだした人は多いです。
時に人の人生に大きく影響をもたらす可能性があるパーソナルトレーナーという仕事についてでした。
興味のある人はいろいろと調べてみてください。