美容鍼のブームにより鍼治療がより身近なものになり、鍼灸師という仕事が身近に感じられるようになった人も多いのではないでしょうか。
鍼灸師とは『はり師』と『きゅう師』のどちらの国家資格も取得している人のことをいいます。
実は『鍼灸師』という資格は存在せず、『はり師』と『きゅう師』のどちらの資格も持っている人のことを一般的に鍼灸師と呼んでいるだけなのです。
鍼灸は東洋医学の治療法ですが、薬に頼らず子供から大人まで受けられる施術であり今では世界中から注目を集める治療法であり、鍼灸師として手に職を付けたい人に人気の職業です。
今回は鍼灸師について解説していきます。
鍼灸師になるには
鍼灸師の仕事に就くには、国家資格に合格しなければなりません。
鍼灸師になるには『はり師』と『きゅう師』のどちらの国家試験にも合格する必要があります。
はり師・きゅう師ともにツボを刺激して治療をしていくという点や技術にも共通点が多いため両方の資格取得を目指して働く人がほとんどです。
身体の不調や症状に対して適切なツボに鍼を刺して刺激し、施術を行う国家資格
きゅう師とは……
もぐさを燃やし温めることによってツボを刺激し、施術を行う国家資格
鍼灸師養成の専門学校・大学に通う
これらの資格を取得するには鍼灸師養成の専門学校か大学に3年以上通い、養成課程を修了している人のみが受験資格を与えられます。
専門学校でははり師ときゅう師の国家資格対策と、鍼灸師として就職に有利な即戦力になる知識と技術を身に付ける実践的なカリキュラムであることが多いです。
いっぽう大学では鍼灸の研究に力を入れ、より論理的に深く鍼灸を学ぶ所が多いです。
また鍼灸師の資格は通信教育で取得することはできません。
はり師・きゅう師の資格は医療従事職の仕事に該当します。
一部の医療従事職の資格は通信教育で取得することが可能ですが、専門的な知識・技術が求められる医療従事職は通信教育で取得することはできません。
最低でも3年は厚生労働省・文部科学省が認定する学校に通う必要があります。
学費は専門学校で年間120万~150万円程で、3年間で400万~500万円ほどになります。
いっぽう大学は4年間通う必要があるため、4年間で500~600万円程度と専門学校よりも学費がかかる傾向にあります。
これと別に白衣や教材費などが加えてかかると想定されます。
国家資格を受ける
受験資格を得て、国家試験を受けることができます。
鍼灸師の国家試験は衛生学や解剖学、東洋医学に関する知識などが問われます。
合格点は150点満点の90点以上で合格率は75%ほどなので、まじめに学校に通い授業を受け、勉強をすれば合格することのできる資格といえます。
鍼灸師養成の専門学校・大学に通い、はり師・きゅう師の国家試験に合格すれば、はれて鍼灸師となることができます。
鍼灸師の活躍の場
鍼灸師は鍼灸院以外にも医療現場やエステサロン、介護施設やスポーツトレーナーなど、様々な現場で活躍することが可能です。
鍼灸院
多くの鍼灸師が鍼灸院で働いています。
鍼灸院も美容鍼などの美容に力を入れている鍼灸院もあれば、地域に根差す地域の担い手として親しまれている鍼灸院もあります。
病院
副作用が少ないため、子供や妊婦、身体の弱いお年寄りまで身体の負担を少なく施術ができるため、大学病院やクリニックでも鍼灸治療が取り入れられています。
薬の副作用など、西洋医療を苦手とする症状や疾患のある患者さんに対応できることが多いため、鍼灸師が病院での活躍することも可能です。
介護現場
鍼灸治療は身体への負担が少ないため、近年介護の現場でも注目を集めています。
高齢社会の日本において、介護業界の求人件数は年々増加しています。
高齢者にとっても鍼灸治療は負担が少なく、病気やリハビリ、健康維持や病気の予防などに効果がある鍼灸治療は今後ますます需要が高まると考えられています。
年齢に伴う身体機能の低下による関節痛、倦怠感、認知症、循環機能の低下など、高齢者の悩みに対して鍼やお灸を用いてケアしていきます。
エステサロンなどの美容業界
鍼灸治療は肌を表面からキレイにする効果と、ツボを刺激して内臓や神経など身体の内側から美しくアプローチすることができるため、美容鍼灸として美容業界からも注目されています。
美容鍼灸は身体に本来備わっている自然治癒力を高め、ヒト本来の美しさを引き出すことができます。
また女性特有の身体の悩み、不妊症、生理不順、冷え更年期障害、妊娠中のつわりなどを鍼灸治療により痛みや症状の緩和や改善にも効果があるため、医師よりも相談しやすいという点からも美容業界で鍼灸が支持されている理由です。
肌が弱くエステサロンでの施術が受けられない人や、自然治癒力を高めて身体の中から美しくなりたいという人から支持を受けており、最近では女性だけでなく男性からの注目されています。
フィットネス・スポーツの現場
スポーツトレーナーやフィットネスの現場で働くのに資格がないと働けないといったことはありませんが、鍼灸師はスポーツ医学、解剖学、基礎医療の知識があると認識されるため、トレーニングや指導に説得力があります。
そのため鍼灸師にかかわらず、柔道整体師や理学療法士といった医療系国家資格を持っている人が多く活躍しています。
ケガの予防やケア、パフォーマンスの向上やメンテナンスなどをおこない、アスリートやスポーツに携わる人をサポートします。
鍼灸師としての収入
鍼灸師の平均的な月収は18~30万円程度、年収は350~450万円程が一般的です。
しかし前述のように鍼灸師としてどの現場で活躍するかによって違いがでてきます。
いっぽう年齢による収入の差はなく、経験を重ねて高い技術を身に付ければそれに応じて収入を上げることができます。
また鍼灸師は医師と同じく独立・開業することが認められている資格のため、独立開業して年収700~1000万円を超える人もいます。
まとめ
美容業界から医療現場まで様々な現場で活躍が期待される鍼灸師というお仕事。
鍼灸師は
●『はり師』と『きゅう師』の両方の国家資格を持つ職業に就く人
●専門学校または大学に3年以上通い、国家資格受験資格が与えられる
●通信教育で国家資格を受験することはできない
●鍼灸院に関わらず、さまざまな現場で活躍することが可能
とい職業であるといえます。
鍼灸師に興味のある人は参考にしてみてください。