百貨店の化粧品コーナーやドラッグストア、化粧品専門店で接客、販売をおこなう美容部員。美容やメイクの知識を活かして働きたい、憧れのコスメブランドで働きたい、きれいな制服を着て働きたいなどの理由で美容部員に憧れる方は多いです。
そんな美容部員の求人は、派遣社員での採用が非常に多いです。派遣社員で働くことに不安がある方は、派遣社員のメリットとデメリットをチェックしてみましょう。
さらに正社員での採用のメリットデメリットと比較することで、自分にぴったりの働き方はどちらかなのかを見極められます。
派遣社員だから待遇が悪い、正社員だから安定して働けるというわけでもありませんので、自分の理想の働き方に合うのはどちらかをよく考えてみてください。
なぜ美容部員の雇用形態は派遣が多い?
まずはなぜ美容部員の雇用形態は派遣が多いのかを解説します。
美容部員はライフスタイルの変化や仕事内容などから離職率が高く、正社員の美容部員を採用しているコスメブランドは非常に少ないです。
その分正社員採用の求人があると正社員として働きたい方からの応募が殺到し、倍率が高くなります。
正社員としてなかなか採用されない場合は、派遣社員からスタートしてみるのもおすすめです。
ライフスタイルの変化により離職しやすい
美容部員の多くは若い女性です。
女性はとくに結婚、出産を機に退職せざるを得ないこともあり、採用されてもすぐに辞めてしまう可能性も。
新人教育や研修を徹底しても人材が育ちにくい環境が続いているので、すでに経験豊富な人材を派遣してもらえる派遣会社を利用しているブランドが多いです。
結婚や出産をしても家庭と両立しやすい職場なら問題ないのですが美容部員の勤務時間は長く、早番、遅番もシフト制で決まります。
女性が働きやすい環境を目指しているコスメブランドもありますが、育児をしながら美容部員の仕事を続けるにはまださまざまなハードルがあります。
仕事内容から離職しやすい
美容部員は美しい化粧品に囲まれ、きれいな制服をきて百貨店で働ける仕事です。華やかなイメージがあり憧れる方も多いですが、仕事内容は接客業の中でも非常にハード。
丁寧な言葉遣いやブランドの顔として恥ずかしくない立ち居振る舞いを徹底しなければなりません。悩みを抱えて化粧品カウンターにやってきたお客様を、ちょっとした言葉一つで傷つけてしまう可能性もあります。
また、売り上げの目標やノルマがあるブランドもあり、常にプレッシャーを感じながら働かなければなりません。
新商品の情報をくまなく記憶してお客様に何を質問されてもすぐ答えられるようにする、タッチアップの勉強や練習をする、自身が広告塔になるような美しいメイクを徹底するなど、やらなければならないことはたくさんあります。
仕事内容がハードで予想していたような楽しい仕事ではなかった、という理由からも離職率が高く、正社員採用を控えているブランドも多いです。
派遣社員として美容部員で働くメリット
近年は働き方も多様化しており、必ずしも正社員なら安心、というわけではありません。派遣社員にもさまざまなメリットがあります。
自分の知識や経験を活かしたい、プライベートの時間を充実させたいという方は、ぜひ派遣社員として働く道も検討してみてください。
時給が高い
派遣社員はアルバイトと同じように時給制で働くことが多いですが、その時給は一般的なアルバイトよりも高額です。
1,000円から1,300円、ときにはそれ以上の時給で働くことができます。
派遣社員には通常ボーナスなどはありませんが、その分時給が高いので毎月余裕のある生活を送れるでしょう。
正社員の場合月給の中にみなし残業代が含まれていることがほとんどですが、派遣社員なら残業すればそれだけ時給がつきます。夜10時以降は特別手当てが出る契約もあります。
専門知識や英会話の能力、さらに美容部員経験者などを求めている求人はさらに時給が高いこともありますので自分の能力に見合う求人に応募しましょう。
プライベートを大切にできる
美容部員は派遣社員も正社員もシフト制で働いているブランドが多いです。
百貨店の場合、早番、中番、遅番をローテーションで回しているケースが多く、正社員の中でもチーフなどがシフトを作成します。
派遣社員でも正社員でも自分の希望を100%通すのは難しいですが、派遣社員の方が融通が利きやすく、自分のライフスタイルに合わせた働き方をしやすいです。
子どもが帰ってくる時間には帰りたい、夜間学校に間に合う時間帯に帰りたい、反対に別の仕事と両立するために遅くからのシフトにしてほしいなど、派遣会社を通して相談できるのもメリットの一つです。
仕事よりもプライベートや別のことを優先したい場合は、シフトや勤務時間に縛られる正社員よりも派遣社員の方がおすすめです。
化粧品の幅広い知識を身につけられる
美容部員の派遣社員は長期間同じブランドで働けるわけではなく、3年程度で仕事を変えなければなりません。
ですがそれまでに培ってきた経験は他のブランドでも役に立ちます。基本的なマナー、現金やカードの取り扱い、セールス方法、タッチアップの技術などは、他のブランドの採用担当者にとっても非常に魅力的です。
職場が変わる度にさまざまな化粧品ブランドの豊富な知識を身につけられ、仕事だけでなく自分自身の美容にも役立てることができるでしょう。
美容部員の仕事では接客や販売スキルも身につくので、美容部員から離れたくなったとしても接客、販売から仕事を探しやすいというメリットもあります。
正社員を目指すこともできる
派遣の中でも「紹介予定派遣」と記載のある求人なら正社員を目指せます。
紹介予定派遣とは一定期間派遣社員としてその企業で働き、企業と人材のニーズがマッチしているとお互いに認めてから正社員として採用するというものです。
いきなり正社員として採用してすぐに離職されてしまうと人材教育が無駄になってしまいますし、雇用される側としても仕事内容や職場の雰囲気がわからないまま正社員として働き始めることに不安を感じる方も多いです。
双方の不安を解消してから契約ができるので、派遣の中でも今人気の雇用形態です。
美容部員の求人の中にはこの紹介予定派遣も多いので、どうしても正社員として働きたい方はこのようなシステムを利用してみてもいいでしょう。
派遣社員として美容部員で働くデメリット
派遣社員として働くにはさまざまなメリットがありますが、当然デメリットも少なくありません。
美容部員にとってはどのようなデメリットがあるのかを確認してみましょう。
キャリアアップは難しい
派遣社員は仕事内容がある程度制限されています。
美容部員の場合は販売の仕事のみを任され、なかなか新しい仕事を覚えられません。チーフやマネージャーなどへの昇進もなく、キャリアアップは難しいです。
美容部員としてキャリアアップしたい、そのブランドにもっと貢献したいと考える方にとってはもどかしいこともあるでしょう。
今後どのような働き方をしたいのか、自分自身のライフプラン、キャリアプランを明確にした上で本当に派遣社員として働き続けていいのかを判断しましょう。
人間関係を築きにくい
派遣社員には即戦力を求める企業が多いです。そのため中途入社も可能です。
正社員が4月から働いている環境にいきなり一人で飛び込む形になるので、すでに出来上がっている人間関係にうまく入れないと感じる方もいます。
ですが人間関係に特別にトラブルが起きている、派遣社員だからという理由でいじめ被害に遭っているなどの場合は派遣会社の担当者に相談することもできます。問題を解決するサポートをしてくれる、または別の派遣先を探してくれるなどの対応も期待できます。
毎回勉強し直さなければならない
派遣の契約期間が満了になると、次の職場を紹介してもらわなければなりません。まだ美容部員を続けることもできますが、その場合は別のブランド、または別の店舗と契約することになります。
せっかく数年かけて学んだブランドや営業方法に関する知識も、ブランドや店舗が変われば無駄になってしまうかもしれません。
職場が変わる度に一から学び直す必要がありますので、それが負担に感じるという方も多いです。
正社員として美容部員で働くメリット
安定を求める方に人気の正社員という働き方。美容部員が正社員で働くことのメリットを紹介します。
美容部員の正社員採用は少ないですが、決してゼロではありません。正社員の方がメリットが多いと感じたら諦めずに求人を探してみましょう。
年収が高い・ボーナスがある
正社員は派遣社員と比較すると年収が高いケースが多いです。
残業を含めて考えると正社員には残業代がつかないので損をしている感覚もあります。ですが正社員にはボーナスが出ることがほとんどです。ボーナスは年に1回から2回、金額は決まっている場合も企業の売り上げによって変動する場合もありますので事前に確認しましょう。
一度にまとまった収入を得られるのでモチベーションも維持しやすいです。
キャリアアップを目指せる
正社員としてその企業やブランド内でキャリアアップを目指すことも可能です。
最初は美容部員として入社し、その後チーフ、マネージャー、さらに企業やブランドの内勤として、化粧品の企画やプロモーションを担当できる可能性もあります。
「美容部員になりたい!」というわけではなく、化粧品に携わる仕事をしたい、商品企画などの仕事をしたいという場合はキャリアアップを目指せる正社員がおすすめです。
経歴が転職に役立つ
正社員は派遣社員よりも社会的信用が高く、転職の際にも役立ちます。
派遣社員と比較すると正社員の方が任される仕事も多く、また責任も重いので、今後の転職に役立つスキルをたくさん身につけられるでしょう。そのことを求人に応募する際や面接の際に存分にアピールできます。
これは同業種への転職だけでなく異業種への転職にも有利です。将来のことを考え、さまざまな仕事に役立つスキルを身につけたい、信用のある仕事をしたいという場合にも正社員の方がいいでしょう。
正社員として美容部員で働くデメリット
正社員として美容部員で働くにはデメリットも事前に確認しておかなければなりません。正社員なら安心して働けるという時代ではありませんので、なんとなくの理由で正社員を目指しているのなら今一度理想の働き方を描き直してみましょう。
プライベートと両立しにくい
美容部員はシフト勤務がほとんどです。早番、中番、遅番などの時間帯に分かれてそれぞれの時間に勤務します。そのため、夜遅くに帰っても翌日は早朝から出勤しなければならない、子どもがいたり介護が必要な家族がいても思うように時間が取れないなど、プライベートを優先できません。
正社員はとくに派遣社員のようにシフトの融通が利きにくく、土日も必ず出勤しなければならない、遅番に入る回数が決められている、有給を申請しにくいなどの悩みを抱える方もいます。
プライベートと仕事を両立したい、仕事より優先したいことがある方には正社員の美容部員は不向きです。
派遣社員よりも責任が重い
正社員の美容部員は派遣社員の美容部員よりも仕事の責任が重いです。ノルマや目標が店舗から決められることもあります。
取り扱っている化粧品に関して正しい知識を持つことはもちろん、万が一クレームがあった場合は自身のせいではなくても誠意のある対応をしなければなりません。
派遣社員と比較するとできる仕事も多く将来性が高いという利点がありますが、その分仕事の責任が重くなることはきちんと理解しておきましょう。
そもそも正社員の求人が少ない
正社員として働きたい!と思っても、美容部員の正社員の求人は非常に少ないです。
先ほど解説した通りさまざまな理由から派遣社員の求人を出している企業が多く、憧れのブランドで働きたいと思ったらまず派遣会社に登録しなければなりません。
ですが中には派遣社員スタートで、定められた期間派遣社員として働いたあと正社員採用となる契約の働き方もあります。
美容部員の正社員の求人が見つけられない場合は紹介予定派遣も探してみましょう。
美容部員のアルバイト採用はある?
派遣社員よりもさらに簡単に、気軽に働けるイメージのあるアルバイトですが、美容部員にもアルバイトの募集がないわけではありません。
百貨店や化粧品専門店などで求人が出ているのはほとんどが正社員や派遣社員、さらには契約社員ばかりですが、ドラッグストアでは美容部員のアルバイトを採用しているところもあります。
ドラッグストアで販売されている化粧品をお客様に紹介する、おすすめのアイテムを提案する、さまざまな悩みの相談に乗るなど、身近なドラッグストアでありながら美容部員として働けます。
地域のドラッグストアの美容部員のアルバイトなら学生や主婦でも働きやすく、通勤時間に時間をかけたくないという方にもおすすめです。
まずは美容部員の仕事を体験してみたいという方も、ドラッグストアの美容部員のアルバイト求人をチェックしてみてください。
プライベート重視なら派遣、やりがい重視なら正社員
美容部員の求人には派遣社員としての採用が多いですが、派遣社員にもメリットはたくさんあります。
プライベートや家庭を優先したい、一つのブランドではなくさまざまなブランドで美容部員として働きたい、時給の高い仕事がしたいという方には派遣社員がおすすめ。
一方で、キャリアアップしたい、美容部員として、また他の仕事に転職する際にも役立つスキルを身につけたい、責任感のある仕事をしてやりがいを感じたいという方には正社員がふさわしいと言えます。
自分は仕事に対してどのような気持ちでいるのか、今だけでなく将来どんな働き方をしていたいのかなどのキャリアプランも考えて、雇用形態は慎重に選びましょう。