長時間座りっぱなし同じ姿勢で細かい作業をしなければならない「アイリスト」「ネイリスト」という職業。
アイリストもネイリストもアーティスト兼技術職であり、身体が資本の職業です。
しかし、彼女たちには専門職特有の職業病があり、実は体調面の問題で離職していくものも多い職業なのです。
せっかく人をキレイにする憧れの職業に就いたのに、身体を壊してやめてしまうのはもったいないことです。
そうならないためにも、アイリスト・ネイリストがなりやすい職業病と対策について解説していきます。
アイリスト・ネイリストになりたい方、現在ネイリスト・アイリストで職業病に悩んでいる方は参考にしてみてください。
アイリスト・ネイリストの職業病
ネイリストはお客様の手先をキレイに整えたり、爪にアートを施す事がメインの仕事です。
一方アイリストはお客様のまつ毛や眉毛を整え、ケアし、場合によってはエクステを付けることもあります。
アイリスト・ネイリストに共通しているのが
●集中力が必要で、神経を使う仕事である
●ジェルやグルーなど、アレルギーを引き起こしやすい薬剤を使う必要がある
という点があげられます。
これらはネイリスト・アイリストにどのような職業病をもたらしているのでしょうか。
肩こり・首コリ
肩こりは多くのネイリスト・アイリストに共通の職業病です。
長時間同じ姿勢で細かな作業をおこなうことが原因で慢性的な肩こりが起こってしまいます。
爪も目元も繊細な部分であり、これらの部位を美しく施術するには多大な集中力と細かな手先の動きが求められます。
そのため失敗が許されないという精神的プレッシャーだけでなく、肉体的にも実はハードな仕事なのです。
施術中は常に頭を下に向けた状態で施術をするため筋肉が凝り固まり、結果的に慢性的な首コリ・肩こりに悩まされるネイリスト・アイリストが多くいます。
首コリ・肩こりの対策
ネイリスト・アイリストは座りっぱなしで長時間作業をする必要があり、身体を動かす機会が少ない職業です。
同じ姿勢のまま長時間過ごすと筋肉が硬直してしまい血行不良になります。
その結果慢性的な肩こり・首コリに悩まされることになります。
休日は定期的に身体を動かすように意識することが大切です。
代謝が上がり、血行が良くなれば自然と肩こりは解消されます。
また施術と施術の合間に身体を伸ばしたり、ひねったり、腕を大きく前から後ろに回すだけでも体幹をリセットすることができます。
休日に運動する時間が取れない人や運動が苦手な人は、ストレッチを日課にするだけでも血行不良が血行不良が血行不良が血行不良が改善されます。
眼精疲労
細かな作業を長時間続ける必要があるネイリスト・アイリストの仕事は眼精疲労がたまりやすいといわれています。
「近業」と呼ばれる目とモノが近い状態で作業をするのも眼精疲労を引き起こす原因です。
眼精疲労は目を使う作業を続けることによって目の痛み・かすみ・充血などを起こし、目を休ましたり、睡眠をとっても回復しない状態のことをいいます。
眼精疲労が原因で頭痛や吐き気など、全身の不調が引き起こされることもあります。
キャリアを積んだアイリスト・ネイリストで「長い間頭痛が続いているが原因がわからない」「施術が続くと原因不明の吐き気に突然襲われることがある」などという場合には眼精疲労を疑ってみてもいいかもしれません。
眼精疲労の対策
まずは眼科で相談してみます。
眼精疲労には特効薬はありませんが、ビタミン剤の配合された目薬や内服薬を処方される場合もあります。
しかしこれらは眼精疲労の対処療法にすぎないため、根本的な原因の改善が必要です。
適度に休憩を挟んだり、眼精疲労に効果のある目頭や眉頭のツボを押す、鼻の付け根を摘まむなど、目の周りの凝り固まった筋肉を緩めることができます。
集中し過ぎるとまばたきの回数も減るため、目が乾きやすくなります。
意識的にまばたきをしたり、目薬を定期的にさすなどで対策をします。
また作業をする椅子の高さや施術中の姿勢についても気にかけてみます。
高さの合わない椅子を使うと必然的に手元と自分の目が近くなり、近業作業になってしまいます。
アイリスト・ネイリストの身長が違えば、適切な椅子の高さもそれぞれの施術者によって異なります。
そのため複数のアイリスト・ネイリストの在籍するサロンではなるべく高さ調節の可能な椅子を使い、目元と手先の作業が近くなりすぎないように注意します。
作業場がみぞおちのあたりになるのが理想的な椅子の高さです。
また正しい姿勢・極力背筋を伸ばして施術をするのも効果的です。
疲労が溜まったり、施術に集中すると前のめりになりやすく、目と作業場の距離が近くなってしまうため、意識的に正しい姿勢で施術を行うことを心がけます。
また仕事終わりにや寝る前にアイピローを使って目の周りを温め、眼球周りの筋肉の緊張を緩めるのも眼精疲労緩和に効果があります。
アレルギー
ネイリストやアイリストは「グルー」や「アセトン」「アクリル」など、アレルギー要素を引き起こす薬品と、常に同じ空間にいる時間が長くあります。
アイリストにとって『グルー』はマツエクを装着する糊であり、施術を行うのに必要不可欠です。
しかしグルーには『ホルムアルデヒド』という揮発性の成分によって吐き気や頭痛、むくみや倦怠感などのアレルギー症状を引き起こしてしまうことがあります。
日々仕事でホルムアルデヒドにさらされるアイリストはアレルギーにかかるリスク、健康に影響を受ける可能性が高まります。
身体に優しいグルーを使う、サロン内の換気をしっかり行うなど対策をしていてもアレルギーにかかってしまい、実際にアイリストをやめてしまった人もいます。
一方ネイリストはジェルやアルコールなど、アレルギー反応を引き起こしやすい成分を扱い仕事をしなければなりません。
最初は「少しかゆいかもしれない」と思いながら放置してしまい、突然体調不良を引き金にアレルギー反応を起こしてしまうネイリストも多いものです。
アレルギー対策
薬品を使う場合は、サロン内の換気をしっかり行う、肌に優しい材料を使う、空気清浄機を使う、マスク・メガネの着用などして対策をします。
また手袋をすれば直接肌には触れないのでアレルギーの発生を抑えることができます。
しかし細かい作業がやりずらいという欠点があります。
仕事に支障のない厚みや素材の手袋を探し、どうしても素手で触れる場合は素早く手を洗うように気を付けます。
腰痛
美容師や美容部員、エステティシャンなど立ち仕事が主な業種に比べて、アイリスト・ネイリストは施術中は基本的に椅子に座ったまま作業をします。
立ち仕事に比べると楽に思われるかもしれませんが、同じ姿勢で長時間椅子に座り続けるのは実は腰痛の原因になりやすいのです。
そのため腰痛に悩むアイリスト・ネイリストも多くいます。
長時間中腰や猫背など無理な姿勢が続いた、背中や腰の筋肉が緊張しっぱなし、運動不足で腰を支える筋肉が弱ってきたなど……
これらのことが原因で腰痛は引き起こされます。
腰痛は職場環境によって発生するケースが多く、同じ姿勢を取らなければならない職場で多く起こるようです。
腰痛の対策
あまりにも腰痛がひどい場合、まずは整形外科などの医療機関に相談します。
生活習慣や職場環境による腰痛と診断された場合、生活習慣の改善やセルフケアで改善も見込めます。
施術と施術の間など、腰を前後左右にひねってストレッチをしたり、両肘を下したところの高さの背骨の外側には、志室といわれる腰痛に効くツボがあります。
そこをマッサージするのも効果的です。
また血行を促進する入浴剤入りの湯船に浸かると腰痛の改善につながります。
ストレスも腰痛の原因となり得るので、ストレスを溜めないことも大切です。
まとめ
アイリスト・ネイリストは他の美容業界の仕事に比べてじっと座ったまま作業をするので、身体への負担は少ないように思われがちです。
しかし多くのネイリスト・アイリストは眼精疲労やアレルギーなどに悩まされています。
美容業界の仕事はどれも身体が資本であり、体調管理が重要な仕事です。
体調管理や予防・対策をしっかり行い、自身もお客様も美しくしたいものです。