お灸というと、熱さに耐えたり、怖い、古臭い民間療法というイメージや、おじいちゃんがするものというイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし近年、お灸にはまる女性が増えており「お灸ガール」や「お灸女子」という言葉も出てくるほどです。
実はお灸には期待できる美容効果がたくさんあり、そこに注目する女性が増えているためです。
最近では火傷をしない後の残らないお灸や、服を着たままでもできる張るお灸など、お灸も進化しているため、安価で日常生活に取り入れやすい美容・健康法なのです。
今回はお灸について詳しく解説していきます。
お灸とは?
お灸とは、身体のツボにもぐさを置き、火をつけて温めることにより身体の調子を整える治療法です。
『やいと』とも言われるお灸は東洋医学からくる温熱療法の一つであり、古代中国の北部で3000年以上前に生まれました。
日本には6世紀ごろに仏教と共に伝わったといわれており、民間療法として広く浸透しました。
江戸時代前期の俳諧師、松尾芭蕉が足にお灸を置いて旅を続けたという記録も残っているほど、多くの人に浸透していました。
最近では温活の一環として、お灸をおこなう人も多くいます。
お灸に使用される『もぐさ』とは、乾燥させたヨモギの裏にある白い綿毛を精製したものであり、ヨモギから1/200しか取れない貴重なものです。
精油成分が含まれており、火の着きが良く熱さも少なく火持ちがいいため、お灸に適しています。
ヨモギはハーブの女王といわれる万能な薬草であり、日本でも止血やかゆみ止めとして古くから使用されてきました。
生薬として食物繊維や葉緑素(クロロフィル)、ミネラルが豊富に含まれており、身体を温める効果や整腸作用があります。
その他にも利尿作用、解熱、増血作用がある万能薬なのです。
お灸は一般的にヨモギのもぐさが使われることが多いのですが、お米や大豆からもぐさをつかったり、もぐさの下にショウガやニンニクを使用して熱を伝えるという隔物灸という方法もあります。
お灸を仕事として行うには鍼灸師の国家資格が必要で、大学病院での治療としても積極的に取り入れられています。
自分自身にお灸をおこなうには資格は必要ではなく、自宅で自分で手軽にできるセルフお灸もあり、お灸は身近なものとなってきました。
お灸をすえるツボとは?
ツボと呼ばれている部位は、学術用語で『経穴』といいます。
経穴は経絡が外界と関係を持つ場所であり、経絡を通して体内と体外が結ばれる点です。
経絡は全身に網目状に張り巡らされており、漢方でいう「気・血・水」を全身に運ぶ経路です。
経穴に身体の状態が現れることがあれば、経穴を刺激することにより体内の治療をすることができます。
お灸は経穴に対して温熱刺激を与え、身体の内部を整えることができます。
お灸の美容効果
お灸によって得られる美容効果は、多くあります。
お灸の熱によって血行が促進され、身体の芯から温めることができるため、顔の血行が改善し、くすみやシミ、肌荒れなどに効果があります。
またお灸をすえることによって血液の流れやリンパ液の流れがスムーズになるため、体内の水分代謝が高まります。
そのためむくみが改善され、リフトアップ効果が期待できます。
またむくみが改善されることにより身体の循環がスムーズになるため、余分な老廃物が排出され、細胞の活動が活性化され免疫力アップに繋がります。
さらに代謝を上げて自律神経を整える効果があるので、ダイエットにも効果的です。
便秘の解消にも効果があるため、おなかまわりをすっきりさせることができます。
その他にも全身のツボをお灸の熱によって刺激を与えることができるため、目の疲れや肩こり、腰痛や不眠など、様々な身体の不調を改善することができます。
さらにヨモギに含まれる『シネオール』という成分が皮膚から浸透し、鎮静作用を得ることができます。
シネオールはもぐさを燃やした煙にも含まれており、この煙の匂いにはリラックス効果があるためストレス軽減にもつながります。
美容に効果的なお灸のツボ
ツボを見つける一番簡単な方法は、肌をなでるように触れ、引っ掛かりを感じる場所がツボになります。
皮膚の表面にハリがなくへこんでいる、表面が乾燥している場所もツボです。
心や身体の不調が肌の表面に現れるため、わかりやすいです。
またツボの場所でよく見る「指〇本分」とは、一本分であれば親指一本分、二本分であれば人差し指と中指を揃えた横幅、指三本分であれば人差し指・中指・薬指を揃えた横幅、四本分は人差し指から小指を揃えた横幅という意味です。
合谷(ごうこく)
手の人差し指と親指の骨の交わったところから、人差し指の方向にへこんでいるところが合谷というツボです。
顔のくすみや頭痛、疲れ目などの首から上のトラブルに効果を発揮するツボです。
足三里
膝のくぼみから指四本分下に位置するのが、足三里と呼ばれるツボです。
少しくぼんでいる押すと痛いところです。
胃腸の調子を整え、消化吸収や便秘解消を助けるツボです。
デトックス効果が高まるため、肌荒れやシミを予防し美肌効果が期待できます。
また足のむくみや腰痛、ストレスにも効果的です。
三陰交(さんいんこう)
足の内くるぶしから膝に向かって指4本分、足の骨のすぐ横のアキレス腱側にあるツボが三陰交です。
女性ホルモンを正常にする働きがあり、冷え性やむくみ、生理痛や便秘に効果的であり、太りにくい体質になることができます。
へそ灸
へそ灸は内臓の症状に効果的であり、下痢や便秘、自律神経を整える効果などがあります。
女性ホルモンのバランスを整えることができるため、生理痛や生理不順、不妊や冷え症などの婦人科疾患にも効果があります。
またおなかが温まると肌のツヤが良くなり、美容効果やエイジングケアも期待できます。
へそ灸には様々なやり方がありますが、ガーゼをおへその上に乗せ、その上に塩や味噌、生姜やニンニクなどを乗せ、その上にもぐさを乗せるのが一般的です。
自分では難しいかもしれませんが、鍼灸院でおこなうことがオススメですが、最近では家庭でも簡単にへそ灸ができる商品が多くあるので調べてみてください。
まとめ
古代中国の東洋医学から伝わるお灸は、身体を温め、血流を良くし、筋肉をほぐしたり内臓を活性化させたり、リラックス効果など、様々な効果があります。
ツボを温めることにより、健康や美容に嬉しい効果が多くあります。
最近では自宅で簡単にできるお灸も販売されており、若い女性にも人気が出てきています。
次回は自宅で簡単にお灸をおこなう方法や、注意点などについて解説していきます。