マッサージ店などでよく見かける『リフレ』とは、リフレクソロジーのことを指します。
リフレクソロジーと聞くと足つぼマッサージをイメージする人も多いかと思います。
もともとリフレクソロジーという言葉が日本に普及する前は、フットケアと呼ばれていました。
最初は駅内や駅近を中心に、多忙なサラリーマンやOLをターゲットとして店舗が増えていきました。
現在では駅の近くだけに限らず、百貨店やスーパーマーケットなどにも広がり、主婦層の利用も増えてきています。
短時間で利用ができる点、清潔で上品な店舗とリフレクソロジストの丁寧な対応、効果の即効性、明瞭で気軽に利用できる料金設定など理由で利用者が増えています。
リフレクソロジーとは?
リフレクソロジーの語源
本来、リフレクソロジーとは
リフレックス(reflex=反射)と~ロジー(logy=~学、学問)
を組み合わせた言葉であり、反射療法という意味を持ちます。
主に足の裏に刺激を与え、特定の部位を押せば身体の特定部位に変化が起こるという考えに基づき、疲労の改善や、痛みの緩和などをおこなう療法のことをいいます。
リフレクソロジーは医学的に認められたものでもありません。
リフレクソロジーをおこなう人は「リフレクソロジスト」や「反射療法士」と呼ばれます。
民間療法になるため、医師免許を持たない限りは治療を目的として施術をすることはできず、あくまでリラクゼーションの一環として施術をしているところが多いです。
発祥はアメリカ
リフレクソロジーはツボ押しや東洋医学のイメージを持つ人も多いかもしれません。
そして日本では”台湾式”と“英国式”と呼ばれるリフレクソロジーが存在します。
しかし、実はリフレクソロジーはアメリカ発祥なのです。
アメリカの医師が手術中の患者がベッドの梁などに手や足を押し付ける行為を観察し、これを医学的に研究したのが始まりです。
この行為が痛みを和らげる効果があるということがわかり、『ゾーン・セラピー』という本を発表しました。
その後アメリカの理学療法士がこの『ゾーン・セラピー』を発展させ、足の特定部位が身体の各部位に対応していることを発見し『フットチャート』(足裏反射区図)を作りました。
『フットチャート』は『足裏つぼ図』と表現されることもありますが、厳密には別のものです。
フットチャートは”面”で捉えるに対し、足裏つぼ図は”バラバラの点”で捉えているなど、実は様々な違いがあります。
リフレクソロジーはあんまやマッサージ・指圧とよく似ていますが、マッサージはフランス発祥、あんまと指圧は中国から来たものを日本独自の手技であり、リフレクソロジーとは実は理論や起源や歴史などが全く異なるのです。
リフレクソロジーは、全身の臓器や組織を反射する『反射区』があるという考えをもとに作られています。
反射区とは人間の身体の働きを投影する、末梢神経が集まり内臓などに繫がっている部分のことをいいます。
反射区は足の裏だけでなく、ふくらはぎや手のひら、耳、頭部にも存在します。
反射区が特に多くわかりやすいのが足裏です。
そのためリフレクソロジーは足裏へのアプローチを中心とした施術が行われるのが一般的です。
リフレクソロジーでは頭の先から足先まで、全身を10本のエネルギーの通り道が存在すると考えられています。
反射区はこのエネルギーの通り道の最終地点にあたる部分と考えられており、反射区を刺激するとそれぞれに対応した臓器や組織に刺激が反映され、その部位に対してよい影響を与えるという理論に基づいています。
英国式と台湾式の違い
リフレクソロジーの看板でよく目にする単語が”台湾式”と“英国式”ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
台湾式リフレクソロジー
台湾式リフレクソロジーは日本人になじみの深いリフレクソロジーです。
台湾式リフレクソロジーは結構痛いのが特徴です。
東洋人は西洋人に比べて痛みに強く、西洋式では物足りないので痛みの伴うリフレクソロジーが一般的になったといわれています。
西洋式に比べてマッサージよりも治療の延長という要素が強いです。
これは痛みを感じることで自分の身体の不調を知ることができるという意味があります。
また痛みを与えることで心身の改善即効性があり、不調の改善を図ることができます。
木の棒などを使うこともあり、反射区を刺激し内臓や神経・筋肉のコリや疲労を緩和していきます。
英国式リフレクソロジー
英国式リフレクソロジーとは、人の指だけを使い痛みをあまり与えず、主にリラクゼーションを目的としたものとして施術されます。
東洋の治療の延長というよりも、ゆったりと楽しむ健康法という位置づけです。
英国では看護師の行うホスピスの緩和ケアとしても取り入れられています。
ちなみに“英国式”という名称ですが、英国式とつけると印象がよく聞こえるという理由でつけられているようで、イギリスの医療機関との関係はないのです。
リフレクソロジーの効果
具体的にはリフレクソロジーにはどのような心身的効果があるのでしょうか。
全身の調子がわかる
リフレクソロジーでアプローチする反射区は、全身のパーツを現す鏡です。
反射区が多く集まる足の裏には、体調によって老廃物が溜まります。
ゴリゴリしていたり、プチプチしていた、不調の度合いによっても足裏の状態は人それぞれです。
反射区のどこに老廃物が溜まってるかによって、自身の身体の状態を知ることができます。
自然治癒力を引き出し、全身機能を活性化させる
リフレクソロジーによって、全身の身体の機能を活性化させることができます。
本来人間には自己治癒力や免疫力が備わっており、病気にかかっても自ら身体を健康な状態に戻そうとする機能が備えられています。
しかし疲労やストレスが溜まるとその力を十分に発揮することができません。
リフレクソロジーでは反射区に刺激を与えることで人が本来持っている自己治癒力を高めることができます。
また反射区を通じて全身に働きかけることにより、病気になりにくい身体になりやすくなります。
血流やリンパの流れを良くする働きがある
足は“第二の心臓”と呼ばれるように、筋肉によって全身に血液を送り出すポンプののような役割をしています。
現代人は運動不足や座りすぎによってそのポンプの働きが弱くなっている傾向にあります。
そこで反射区の多い足裏を刺激し、本来の働きができるようにすることで血行やリンパの促進を促し、身体に溜まった老廃物の排出を促します。
これにより身体を温め代謝を上げるだけでなく、むくみや便秘の解消などデトックス効果も発揮されます。
リラックス効果と身体と心の痛みを和らげる
人の身体と心は繋がっており、リフレクソロジーによって身体だけでなく心もリラックスすることができます。
リフレクソロジーを受けるとα波(脳がリラックスしているという状態を示すもの)の割合が高まるという科学的証明がされています。
人にケアしてもらうということがもたらすぬくもりや安心感は、リフレクソロジーが人気のある所以です。
またリフレクソロジーには痛みを緩和する効果も期待できます。
反射区をやさしく撫でることにより、痛みよりも早く脳に伝達されることから痛みの感覚がブロックされ、痛みが緩和されるといわれています。
これを「ゲートコントロール効果」といいます。
そしてリフレクソロジーを受けると、脳内物質エンドルフィンが分泌されます。
脳内のα波の割合が高まると、β-エンドルフィンが分泌されます。
これはモルヒネと同じ効果があり、リフレクソロジーを受けてα波を高めることにより、痛みが和らぐと言われています。
実際にホスピスや介護施設などでもリフレクソロジーが取り入れられており、今後の超高齢化社会にも貢献するといわれています。
人々に癒しを与えるリフレクソロジストという仕事
リフレクソロジーについて理解が深まったところで、リフレクソロジストと呼ばれる人たちの仕事についてみていきましょう。
リフレクソロジストの資格は?
リフレクソロジストは美容師やアイリストのように国家資格はなく、資格がなくてもリフレクソロジストになることができます。
未経験でも採用してくれる店舗も多く、働きながら資格取得を目指す人も多くいます。
また前述のようにリフレクソロジーには台湾式(東洋式)と英国式(西洋式)とがあり、どちらを得意とする店舗で働きたいか、自分がどのようなリフレクソロジストになりたいかによって取得する資格が変わってきます。
JREC認定ライセンス
日本リフレクソロジスト公認機構(JREC)が認定する英国式リフレクソロジーの資格です。
JRECの提唱するリフレクソロジーは西洋式のリフレクソロジーです。
この資格はトリートメント技術だけに関わらず、ヒトに対して全体的に見つめることを目的としています。
そのため技術はもちろんのこと、栄養学や食事内容、身体の仕組みについても知識を深めることができます。
〇リフレクソロジーの基礎の習得を認定するレギュラークラス
〇独立開業が可能なセラピストであることを証明するマスタークラス
〇様々なクライアントに対応できる上級リフレクソロジストを証明するトップインストラクター
〇看護や介護の現場で応用可能なサポートケア・デイリーケア・リフレクソロジスト
上記の4つの資格があります。
サポートケア・デイリーケア・リフレクソロジストはレギュラークラス修了以上が対象となります。
JREC 日本リフレクソロジスト認定機構 (jrec-jp.com)
JADP認定資格
一般財団法人 日本能力開発推進協会(JADP)が認定するリフレクソロジストの資格です。
合格者のは「リフレクソロジスト資格」の称号が付与されます。
JADPのリフレクソロジスト資格は、西洋式のリフレクソロジストの資格です。
脳、神経、骨、筋肉、感覚器官や消化器官などの身体の仕組みの基礎知識やフットとハンドのそれぞれの反射区などの専門的な知識と技術を備えたプロのリフレクソロジストであることを証明する資格です。
実技試験はフルトリートメント2名の5回分の施術レポートと写真の提出が必要です。
得点率70%以上で合格となります。
リフレクソロジスト資格 | 日本能力開発推進協会 (JADP)
JHRS認定リフレクソロジープロライセンス実技士
日本ヒーリングリラクゼーション協会(JHRS)が認定する欧米式リフレクソロジーの資格です。
JHRSは1998年に病気予防、健康増進と医療を補完するセラピーを普及する目的で設立されました。
JHRS認定リフレクソロジープロライセンス実技士はがんや認知症緩和ケア等にも活用されています。
資格認定|日本ヒーリングリラクセーション協会ヒーリング リフレクソロジー
JSTAS東洋式リフレクソロジーコース修了認定証
一般社団法人 日本整体セラピスト認定協会(JSTAS)が認定する『東洋式リフレクソロジー終了認定証』です。
この資格は東洋式リフレクソロジーの資格です。
日本では西洋式のリフレクソロジーの資格のほうが多い中で東洋式リフレクソロジーを扱う資格です。
JSTASの資格は東洋式だけでなく、西洋式のリフレクソロジーと両方取得することが可能です。
リフレクソロジストへの転職と将来性
運動不足を気にしたり、近年の健康志向の高まりにより、リフレクソロジストの需要は高まっており、リフレクソロジーを扱う店舗は増えてきています。
『リフレクソロジスト』という職業をまだ知らない人たちもたくさんいますが、ストレスの多い現代で癒しを求める人は多いのでこれからますます認知される職業になることは間違いありません。
最近では民間企業がサロン経営に乗り出しており、競争の激化が進んでいます。
雇用状況としては最初から正社員でリフレクソロジストとして募集している企業やサロンは少なく、パートやアルバイトからのスタートがほとんどです。
そのため家庭を持つ主婦などからは、未経験でも雇ってもらえシフト制で働くことができるなど、女性にとっては人気の職業となっています。
最初からお客様に施術をさせてもらえるわけではなく、研修や雑務をこなしながら数週間、数か月はお給料が少ないので転職を考えているなら覚悟は必要です。
リフレクソロジーの資格を持っているならば、研修の期間を短くすることもできるでしょう。
働く先はエステサロンやリラクゼーションサロンだけでなく、介護施設やフィットネスクラブ、スポーツジムや温泉施設、旅館やクリニックなど多岐にわたります。
リフレクソロジーは美容や健康のためさまざまな施設でとりいれられるようになってきており、これからも働く先は増えていくことが予想されます。
しかしながらこれから求められるリフレクソロジストは、専門性の高いリフレクソロジストとなるでしょう。
民間の資格を認定している団体もありますが、資格がなくても働けてしまうのでリフレクソロジストに技術や知識に大きな差があるのが現状です。
その中で雇う側はできるだけ優秀な人材を採用したいと考えるので、キャリアを積んでおくことや資格取得など、専門性を高めておくことがリフレクソロジストとして成功する方法といえます。
リフレクソロジストに向いている人とは
需要の高まりをみせるリフレクソロジストですが、どのような人に向いている職業なのでしょうか。
接客が好きで人を癒すことが好きな人
リフレクソロジストは接客業であり、自分の技術や知識を人のために使いたい人に向いています。
お客様の状態や希望の施術などを聞き取ることが必要になり、カウンセリング能力やコミュニケーション能力があることも重要です。
営業能力のある人
リフレクソロジストとして安定収入を求めるのであれば、お客様に指名してもらうこともじゅうようになってきます。
リフレクソロジストとしての技術や知識の豊富な人、またお客様の名前や職業などを覚えておくことで指名をもらいやすくなります。
まとめ
リフレクソロジーについての理解は深まったでしょうか?
リフレクソロジストになりたい、リフレクソロジーを扱えるようになりたい人はいろいろと調べてみてください。