国家資格である管理栄養士を取得すれば、さまざまな業界で活躍できます。
中でも美容業界で働きたいと思っている女性も多いのではないでしょうか。
管理栄養士はエステサロンや化粧品メーカー、食品メーカーなど美容業界で活躍できる機会がたくさんあります。
管理栄養士とはどんな資格なのか、取得方法や人気の業種、さらに美容業界での待遇などを紹介いたします。
国家資格である管理栄養士とは?
管理栄養士とは栄養についての高度な知識が学び、適切な指導をおこなえると認められた人に与えられる国家資格です。
病院、介護施設などで栄養バランスのいい食事内容を指導する、体の不調や症状に応じてどんな栄養を取るべきか指導するなどの業務ができるようになります。
少子高齢化が進む日本では、今後介護施設も増えることが予想されます。管理栄養士の活躍する機会も増えることでしょう。
一方で、若い方にも健康志向が広まりつつあります。体の内側から綺麗になりたい、健康になりたいという方のため、美容業界でも栄養に関する国家資格を所有している人材が求められる機会も増えています。
管理栄養士の資格取得方法
管理栄養士の取得方法は、国家試験に合格すること。これのみで、通信教育や独学のみで資格を取得することはできません。
国家資格を受験するには養成校、または養成施設に通い、卒業後に栄養士の資格を取得します。
四年生の管理栄養士養成校に通う
一般的に管理栄養士の国家資格を取得するためには、4年生の養成校に通う必要があります。卒業後栄養士の資格を取得し、管理栄養士の国家試験を受験します。
合格すれば晴れて国家資格所有者となり、美容業界など人気の業界で資格を活かして働くことができます。
栄養士養成施設に通った後実務経験を積む
この資格の取得方法としてはもう一つ、栄養士養成施設に通ってから実務経験を積んだのち、国家試験を受験するという方法があります。
4年生の大学や調理、栄養学を学べる専門学校などで必要な勉強をした上で栄養士の資格を取得します。
その後1年から3年の実務経験を積んでやっと国家試験を受けられます。
実務経験とは特定の施設で継続して食事を提供する、食品の製造や調理、保健所などの行政機関で栄養に関する業務をおこなうことなどが挙げられます。
栄養士養成施設に通った年数によって実務経験に必要な年数は変動します。
4年生の施設を卒業した場合は1年以上の実務経験で国家試験を受験できますが、2年生の施設を卒業した場合は3年以上実務経験を積まなければなりません。
管理栄養士の合格率は?
厚生労働省の発表によると、2020年の管理栄養士の合格率は61.9%で、前年度よりも1.5ポイントアップしています。
2018年以降管理栄養士の合格率は60%以上を維持していますが、それ以前は50%を切る年も多かったです。
養成施設を出ていても必ずこの国家資格を取得できるというわけではありませんので、きちんと学び、試験に備える必要があります。
(参考:旺文社 教育情報センター「第 34 回 管理栄養士 国家試験結果」)
管理栄養士の主な就職先
管理栄養士に人気の就職先について紹介します。
主に高齢者向け介護施設や病院、保育園、小学校などで働き、食事の管理をすることが多いです。
資格を活かし、患者様や子ども、生徒の健康や成長に役立つ食事を提案します。
高齢者向け介護施設
高齢者向け介護施設は主な就職先の一つです。
高齢者でも食べやすいサイズや柔らかさの食材を使う、飲み込みやすいように小さく刻むなどの工夫が必要です。
高齢者向けの食事についての知識も必要とされます。
栄養バランスだけを重視するのではなく、高齢者においしく楽しんで食べてもらうためにどんな工夫が必要なのかを考えなければなりません。
高齢者向け介護施設は、高齢化が進むにつれて需要が高まることが予想されます。今後も就職先には困らないでしょう。
病院
病院内で提供される食事の栄養バランスを考えるのが主な仕事です。
手術前や手術後の患者様の状態に応じて、どの食材を取り入れるか、反対の取り入れないほうがいい食材はなにかを適切に指導します。
病院では管理栄養士が食事の栄養指導をしなければならないと決められているので、求人数も多いです。通勤に便利、待遇がいいなど、自分にとってメリットの多い職場を探しましょう。
保育園や小学校など
保育園や小学校などの教育施設でも活躍できます。
保育園では子どもの健康的な成長に役立つ給食を提供すること、食べることは楽しいと理解してもらうことも大切です。
さらにアレルギーのある子どもに配慮した食事も考えなければなりません。近年は食育への取り組みをおこなう保育園もありますので、常に最新の情報を学んでいく必要があります。
小学校など学校施設で働くにはさらに学校栄養職員の資格を取得しておくことも必須条件です。
栄養士と管理栄養士はどう違う?
養成施設を卒業して試験に合格すると「栄養士」の資格を取得できます。そして栄養士の資格を所持している方は、管理栄養士の試験を受けることができます。
資格の取得のしやすさでいえば栄養士の方が簡単に取得できます。
しかし、栄養士の資格さえあればいいのかというとそういうわけにもいきません。管理栄養士は栄養士よりも専門的な指導ができるだけでなく、管理栄養士の指導が求められるシーンもたくさんあります。
そのため求人を見ても栄養士の資格だけでは応募できないことも。
学んできたことをよりしっかり活かしたいのであれば、管理栄養士の国家資格の取得はマストです。
美容業界で管理栄養士は活躍できる?
管理栄養士は上記で紹介したような場所が主な就職先ですが、近年は美容業界にも活躍の場が広がっています。
健康は美容にもつながります。体の内側から綺麗になりたいと望む方のために、適切な指導をすることができます。資格を活かして美容業界でどんな働き方ができるのかをチェックしてみましょう。
エステサロン
美容を維持するには健康を維持することが大切です。
エステサロンでは肌荒れの改善、ダイエット、アンチエイジングなどに応じたメニューがありますが、外側からのアプローチだけでなく食事からのアプローチも重要視されるようになりました。
最新機器で施術するだけでなく食事の提案や食事管理をしてくれるエステサロンは増えつつあります。
お客様の悩みをカウンセリングした上で適切な食事内容を提案する、どんなサプリメントを飲むべきか提案するなどが主な仕事です。
これらの仕事は病院などの施設ではないため国家資格所有者指導する必要はないのですが、お客様からの信用度を高めるために国家資格である管理栄養士を取得している人を募集しているエステサロンもあります。
また、このような国家資格が必須ではなくても国家資格があれば面接の際に有利になるでしょう。
管理栄養士としてカウンセリングするだけでなく、実際にエステティシャンとして採用される場合もあります。その際は採用されたエステサロンの内容に応じて施術も覚えていかなければなりません。
健康食品メーカー
健康食品メーカーでは、美容に役立つサプリメントやダイエットをサポートするサプリメント、ダイエット系の食品などの開発に携わることができます。
資格を活かし、栄養学的な視点からどんなサプリメント、食品を作るべきなのか、ターゲットはどんな栄養を求めているのかなどを考えるのが仕事です。
美容やダイエットのために食べるものを気にしたり、サプリメントで栄養を補いたいという方は多く、今やこれらの商品はコンビニでも気軽に購入できます。
自分が開発に携わった商品が売り場で並んでいるのを見かけたり、テレビなどでCMを見かけるということも夢ではありません。
化粧品メーカー
化粧品メーカーでもサプリメントやダイエット食品、美容ドリンクなどを開発しているところは多く、そのようなメーカーでは管理栄養士を求めています。
サプリメントや食品の栄養バランスを考える、サンプルの成分を調査するなどが主な仕事です。
また、店舗を持つ化粧品メーカーなら実際に店頭で販売スタッフとして働くこともあります。
管理栄養士の知識からお客様に最適なサプリメントや食品をおすすめすることができます。
その他、イベントで販売スタッフをする、商品についてのコラムや紹介の記事を書く、商品のプロモーションに携わるなどの仕事もあります。
フリーランス
管理栄養士の資格を活かしてフリーランスで働く方法もあります。
個人に向けてダイエットメニューのプランニングしたり、美容や健康に役立つ料理の講座を開いたり、近年では料理アプリにメニューを提供して収入を得ている方もいます。
管理栄養士としての観点から美容やダイエットに関するwebの記事を書く、雑誌のコラムページを担当するなどの仕事もあります。
美容系のフリーランスの仕事は意外と多いですが、コンスタントに収入を得続けるのは大変です。多くの方は別の本業を続けながら、副業としてこれらの仕事をしています。
ですが実績を積んでいけばリピーターが増え単価もアップし、知名度も上がるため十分にフリーランスだけでやっていけるようになるかもしれません。
資格取得の際に学んだことだけに満足せず、常に最新の情報を取り入れる努力も続けましょう。
美容業界での管理栄養士の待遇は?
美容業界は華やかなイメージがありますが、その収入や労働状況、待遇などはどうなっているのでしょうか。
どんなにやりがいのある仕事、資格を活かせる仕事でもこれらに不満があると長続きしないかもしれません。
求人ページをよく確認して、納得できる働き方ができる企業を選びましょう。
エステサロンの給与や福利厚生
エステサロンのエステティシャンとして正社員採用された場合、年収は300万円から500万円程度のことが多いようです。
一般的な事務員などよりは高い収入を得られ、業績によっては賞与もあります。ノルマがあるエステサロンの場合はその分のインセンティブも得られるでしょう。
一方で体力が必要な仕事であり、サービス業であるため土日の出勤はほぼマストです。シフト制で朝番、遅番などもあり、生活リズムが不規則になる可能性も。
女性が働く職場ですので産休や育休などの福利厚生が充実している企業もエステサロンも多いですが、実際には取得率が低いこともあるの注意しましょう。
メーカーの給与や福利厚生
健康食品メーカーや化粧品メーカーに正社員として採用された場合300万円から500万円の年収を得られることが多いようです。
企画、商品開発といった部署よりは研究系の専門性の高い知識が求められる部署の方がやや高い収入になるようです。
しかしメーカーの企画開発系の仕事に憧れを持つ方も多いでしょう。残業や賞与などをよくチェックしてから、やりがいのある仕事かどうか判断しましょう。
メーカーの場合は一般的な会社と同じように土日が休みだったり、毎日決められた時間の出勤だったりと働きやすい環境が整っています。
綺麗なオフィスで働ける、産休や育休を取得しやすいなどのメリットもあります。
その分人気があり、管理栄養士の資格を所持していても正社員登用は非常に狭き門です。資格以外にも役立つスキルを持っておく必要があります。
フリーランスの収入
フリーランスの管理栄養士の収入は非常にバラつきがあります。
webの記事を一本書けば数千円得られますが、毎日どれくらいの量を書けるのか、どれくらいの頻度で書き続けられるのかで上下します。
ダイエットのサポートも簡単なものなら1件で数百円。ですがプロのトレーナーなら1件につき数万円に設定していることもあります。
料理講座を開催して受講料を得る、またYouTubeのチャンネルで広告収入を得るなど、管理栄養士の資格を活かしてお金を稼ぐ方法はさまざま。
お小遣い稼ぎ感覚から、一般的な会社員よりもかなり稼いでいる方もいます。
管理栄養士と合わせて取得しておくと有利な資格
美容業界で働きたい!と思ったとき、管理栄養士の資格が役立ちます。
ですがそれだけが武器になるわけではありません。その他美容系の資格もいくつか取得しておくと、就職や転職の際に役立つことでしょう。
管理栄養士は国家資格ですが下記でご紹介するのはすべて民間の資格です。ぜひ気軽にチャレンジしてみてください。
リンパケアセラピスト
リンパケアセラピストは日本能力開発推進協会が認定している資格です。
筋肉や神経、骨、内臓など体の仕組みを基本から理解し、マッサージをして体の不調を解消するサポートできるようにします。
アロマオイルの知識、調合の知識も求められます。
美容業界で働きたい方の中でもとくにエステサロンで働きたい方にとっては役立つ資格と言えるでしょう。
体の不調を取り除く、疲れを取り除くマッサージができるので、病院や高齢者向け介護施設でも活躍できるかもしれません。
スキンケアアドバイザー
スキンケアアドバイザーは、一般社団法人日本スキンケア協会が認定する資格です。
肌荒れや加齢による肌の変化による悩みを抱えている方に最適なスキンケアのアドバイスができます。
管理栄養士として食べ物のアドバイスをする他、より美肌に近づくためにはどんなスキンケアがあるのかをお客様と一緒に考えていけます。
エステサロンではもちろん、メーカーの開発部門や研究部門kでも役立つ知識がたくさんあります。
ビューティーフードアドバイザー
ビューティーフードアドバイザーは日本ビューティーヘルス協会が認定している資格です。
体の仕組みから、摂取した食べ物は体内でどのような役割を果たすのか、なにを吸収するのかなどを学んでいきます。管理栄養士の資格を取得する上でも大切な要素がたくさんあるため、より知識を深めながら、学んだことを確かめながら資格の取得に向けた勉強ができるでしょう。
ビューティーフードアドバイザーの資格を取得したあとはビューティーフードスペシャリスト、ビューティーフードプロフェッショナルの資格の認定試験を受けることもできます。
美容業界で管理栄養士の資格を活かそう!
管理栄養士は病院や高齢者向け介護施設の給食の管理などを担当することが多いです。栄養学的な観点から食事を管理することで、体の内側から健康や成長をサポートします。
管理栄養士は国家資格であり、取得するには養成施設に通って国家試験を受ける必要があります。取得には時間がかかりしっかり勉強しなければなりませんが、その分就職先の可能性も大きく広がります。
美容に興味がある、憧れの美容業界で働きたい、有名な化粧品メーカー、人を綺麗にするエステサロンなどで働きたいというときにも管理栄養士の資格は役立ちます。
自分にはどんな仕事が向いているのか、どんな風に管理栄養士の資格を活かせるのかを考えてみましょう。