フレグランスコーディネーターは香化粧品ブランドの店舗、香水専門店などでお客様の希望にぴったりの香水を提案する仕事です。
香水が好き、化粧品売り場で働きたい、人になにかを提案するのが好きという方は、ぜひフレグランスコーディネーターという仕事をチェックしてみてください。
フレグランスコーディネーターの仕事内容や待遇、向いている人について解説します。
フレグランスコーディネーターの仕事とは?
フレグランスコーディネーターは主に香水を取り扱い、お客様に最適な香水を提案する仕事です。香水の他にはルームフレグランスやアロマオイル、ボディクリームなどを提案することもあります。
清潔感のある香り、華やかな香り、気持ちが落ち着く香りなど、お客様が求める理想の香りの香水を選んだり、お客様の雰囲気や利用シーンから香水を選んだりします。
香水は同じような香りでもブランドによって含まれる成分や香りの変化、香りの持ち、ボトルのデザインや価格などはすべて違います。数ある香水の中からお客様にぴったりのものを選ぶセンスが必要です。
話しながらお客様がどんな香水を求めているのか考えてすぐに提案しなければならないため、接客スキルや判断力、香水についての知識など、豊富な能力が求められます。
フレグランスコーディネーターはどこで働く?
フレグランスコーディネーターは香水専門店はもちろん、香水を取り扱う化粧品ブランドの店舗、製薬会社や食品会社など、働く場所はたくさんあります。
どんな場所で働きたいのかを考えてみましょう。
香水の専門店
フレグランスコーディネーターが働く場所としてもっとも多いのが香水専門店です。
有名ブランドの香水から化粧品メーカーが出している香水、マイナーな海外の香水など豊富な香水を取り扱っており、それぞれの香りの特徴などを把握してお客様に提案します。
人気が高い定番の香水から新作の香水まで常に香水の知識を持っていなければならず、大変ではありますがもっともフレグランスコーディネーターとしての実力を発揮できます。
化粧品ブランドの店舗
化粧品ブランドの中にはコスメやスキンケアアイテムの他に香水を出しているブランドも多いです。
化粧品ブランドの店舗に美容部員として勤めて、フレグランスコーディネーターの役割を果たすという働き方もあります。
この場合香水を販売するのが専門ではなく化粧品も同時に販売しなければなりません。ブランドについて、化粧品について幅広い知識が必要です。
ですが憧れのブランドで働ける、香水以外の化粧品の知識も身につくなどさまざまなメリットがあります。
製薬会社や食品会社
製薬会社や食品会社で働くフレグランスコーディネーターもいます。
入浴剤やハンドクリームなどの香りを調合する、香りの仕上がりをチェックするのが主な仕事です。
食品にも香料が使われているものが多く、そちらの調合や仕上がりを確認するのもフレグランスコーディネーターの仕事です。
フレグランスコーディネーターとして採用されるケースもありますが、多くの場合は開発部門、研究職として採用され、商品の開発にたずさわります。その場合はフレグランスコーディネーターの知識だけでなく薬品や食品に関する豊富な知識、スキル、実績が求められることもあります。
フレグランスコーディネーターの収入や待遇
フレグランスコーディネーターの収入は勤務先によって大きく変動します。
化粧品ブランドの店舗で美容部員として働く場合、月収は18万円から20万円程度。年収は賞与を含めて250万円から350万円程度になることが多いです。美容部員として役職がつけばさらに高い収入を得られます。反対に契約社員や派遣社員として働いている場合はこれよりも低い収入となります。
製薬会社や食品会社の場合は入社する部門によってさらに大きく変動します。研究職など専門的なスキルが必要な場合は収入は高くなる傾向にあります。
フレグランスコーディネーターの休日
美容部員として働くフレグランスコーディネーターの場合、正社員であっても多くはシフト制です。土日には来店されるお客様が多くなるので基本的に必ず出勤しなければならないことが多いでしょう。
朝番、夜番などシフトの融通がききやすい店舗と決められている店舗があり、遅くから働きたい、早めに帰りたいという希望が通りにくい場合も。求人に応募する前に理想の働き方ができるか確認しましょう。
製薬会社や食品会社の場合は会社の休日に合わせて休むことができます。土日が休みの企業も多く、勤務時間も決まっているため比較的規則正しい生活を送りやすいでしょう。
フレグランスコーディネーターの福利厚生
美容部員の場合、化粧品ブランドによっては手厚い福利厚生を受けられます。若い女性が多い環境ですので、産休や育休、キャリアアップの制度が整っている化粧品ブランドも多いです。
一方で休みを取りにくい、福利厚生が整っていない化粧品ブランドも少なくありませんので、事前の確認が大切です。
製薬会社、食品会社の場合も大手であればあるほど福利厚生はしっかりしています。安定した働き方をしたい方は、仕事内容とともに福利厚生もきちんと確認しておく必要があります。
フレグランスコーディネーターに向いている人
フレグランスコーディネーターに向いているのはどんな人なのでしょうか。フレグランスコーディネーターになりたい方は、自分がこのような仕事に向いているのか、長く働き続けられるのかを考えてみましょう。
美容や香水などに高い関心がある人
楽しみながらフレグランスコーディネーターの仕事を続けるには、香水や美容についての高い関心があることが大切です。
香りにもトレンドがあり、各ブランドから常に新しい香水が発表されています。芸能人が使っていた、SNSで話題になったことでいきなり人気になる香水も多く、常にトレンドをチェックしておかなければなりません。
お客様が使っている化粧品や雰囲気から最適な香水を提案するには美容やファッションに関する知識も必要です。
化粧品ブランドの店舗に勤めている場合は香水だけでなくそのブランドの化粧品についても使い心地やターゲット層などを把握しなければなりません。
香水や美容が好きで常に情報をチェックしている、という方はフレグランスコーディネーターとして楽しみながら働くことができるでしょう。
人と話すことが好きな人
フレグランスコーディネーターはお客様がどんな香りを求めているのか、どんな香りがぴったりなのかを提案する仕事です。
お客様との会話の中から最適な香りを探す必要があるため、人と話すのが好きな方はフレグランスコーディネーターにぴったりです。
香水の話だけでなく日常の会話からお客様の雰囲気に合う香水を探したり、お客様の話の内容からプレゼント相手にぴったりな香水を探したり、観察力も求められます。
人になにかを提案するのが好き、人に喜んでもらうのが好きという方もフレグランスコーディネーターの仕事が向いているでしょう。
臨機応変に対応できる人
香水を求めるお客様の中には、特定の香水が欲しいのではなく「〇〇系の香り」「落ち着ける香り」などなんとなくの雰囲気で香水を求めている方も多いです。
香水を提案してみてもお客様の好みではなかった場合はまた別の香水を提案しなければなりません。会話を続ける内にお客様の意外な好みを発見する場合もあります。
マニュアル通りに人気の香水をおすすめするだけでなく、お客様一人ひとりの要望に寄り添って臨機応変に香水を提案するスキルも必要です。
話題をたくさん提案できる、相手の話から相手が求めているものをすぐに判断できるという方は、フレグランスコーディネーターとしても働きやすいでしょう。
フレグランスコーディネーターに必要な資格
フレグランスコーディネーターになるための国家資格や必須の資格はありません。
ですが、香りの調合や分析には高い専門知識が必要です。フレグランスコーディネーターに関連する民間資格を取得するために勉強すれば、さまざまな知識を得ることができるでしょう。
フレグランスコーディネーターに関連する民間資格をいくつか紹介します。
フレグランスコーディネーターの求人に応募する際、これらの資格があると面接でも有利になる可能性が高いです。
日本調香技術師検定
一般社団法人日本調香技術師検定協会が認定する日本調香技術師検定は、香水や食品、化粧品、食品などの香りについての知識を確かめるための資格です。
フレーバーコース、フレグランスコースがありますが、フレグランスコーディネーターを目指すならフレグランスコースを選択しましょう。
3級から1級までがあり、筆記試験と実技試験にわけられています。実技試験では香りを実際に嗅いでさまざまな問題に解答します。どの級でも問題は同じですが正解率によって可否が決まりますので、より知識やスキルを高めたい方は高い級を受験することをおすすめします。
フレグランスセールススペシャリスト
日本フレグランス協会が認定するフレグランスセールススペシャリストは、香水を販売する方に向けた専門の資格です。
香水は同じ香りでも人によって感じ方が違い、色やテクスチャーですぐ判断できるコスメやスキンケアアイテムよりもセールスが難しいです。
なんとなくの雰囲気で伝えるのではなく、より具体的に、論理的に香水のよさを伝えるための方法を学ぶことができます。
フレグランスセールススペシャリストの試験を受験するためには化粧品販売の実績が1年以上ある必要があります。
日本フレグランス協会ではフレグランスセールススペシャリスト認定のための講座もありますので、興味のある方はぜひ参加してみてください。
アロマテラピーアドバイザー
フレグランスコーディネーターはアロマオイルを販売することもあります。アロマオイルの自然の香りを嗅ぎ分け、それぞれの効果からお客様に最適なアロマオイルを提案したり、悩みごとに特別に調合することも。
人工的な香りよりもアロマオイルのようなナチュラルな香りを好む方も多く、アロマオイルの知識はフレグランスコーディネーターにとっては欠かせません。
アロマオイルに関連する資格を取得するのもおすすめです。
中でも人気なのが日本アロマ環境協会が認定するアロマテラピーアドバイザーです。日本アロマ環境協会は内閣府に公式に認定された法人であり、発行元が確かなのも人気の理由の一つです。
アロマオイルに関する知識を高め、正しい知識をもとにお客様にアドバイスできる人材を育んていきます。
フレグランスコーディネーターを目指す方法
フレグランスコーディネーターになるにはさまざまな方法があります。
専門的な知識が必要なので独学で知識を得たり資格を取得するより専門学校で学ぶ方が近道の可能性もあります。反対に未経験からでも始められる仕事なので、自分に合う方法を探してみましょう。
専門学校で資格を取る
美容系の専門学校でフレグランスコーディネーターになるための勉強ができます。
フレグランスについての知識だけでなくエステや接客などの知識、技術を学ぶこともでき、卒業後は香水専門店だけでなくエステサロンやブライダル業界などさまざまな就職先の選択肢があります。
専門学校によっては資格に向けた特別な授業を受けられたり、就職先をあっ旋してくれたり、実習や研修を受けられることも。
時間やお金はかかるものの、しっかりと技術や知識を身に着けてから仕事を始めたい方におすすめです。
独学や通信教育で資格を取る
フレグランスコーディネーターに関連する資格を取得するために独学で知識を蓄える、通信教育で学ぶという方法もあります。
香りに関連する資格は実技試験もあり、香りを嗅ぎ分ける、香りを分析するといったテストが用意されていることも。独学では実技試験の対策がしにくいですが、通信教育なら実技専用の勉強もできます。
仕事をしながら取得資格に向けて勉強したい、近くにフレグランスコーディネーターに関連する専門学校がないという方は、通信教育の受講も視野に入れてみましょう。
美容部員などから香水専門店へ転職する
現在美容部員として働いている方ならフレグランスコーディネーターへの転職もしやすいです。
美容部員の仕事で得た販売、接客、営業のスキルは、フレグランスコーディネーターでも役立ちます。美容部員として働いた中で得たスキルをしっかりアピールしましょう。
香水専門店では美容部員や販売員の経験がある方を優遇している場合も多いです。
また、香水専門店ではなく、香水のラインナップが多い化粧品ブランドの美容部員に転職するという方法もあります。
未経験から香水専門店へ就職する
フレグランスコーディネーターは未経験でもチャレンジできる仕事でもあります。未経験でも応募できる香水専門店の販売員の求人をチェックしてみましょう。
美容業界の経験がなくても、販売や接客の経験があれば優遇される可能性が高いです。
ですが香水に関する知識がないとお客様に最適なアイテムを提案することもできないので、専門店で取り扱う香水についてよりしっかり勉強する必要があります。
香りの微妙な違いを嗅ぎ分けるのは非常に大変でもあり、体調が優れないときは気分が悪くなってしまうことも。未経験から働き始める場合は、フレグランスコーディネーターとして働き続けられるか、自分にこの仕事は合っているかをよく考えてから応募しましょう。
フレグランスコーディネーターを目指そう!
フレグランスコーディネーターの仕事内容や向いている人、必要な資格などを解説しました。
フレグランスコーディネーターは香水やアロマオイルなどをお客様に提案したり調合したりする、香りにまつわる仕事です。
香りは人の本能にはたらきかける作用があり、他人にいい印象を与えるだけでなく身にまとう人の気分にも影響を与えます。
自分が選んだアイテムでお客様に気持ちよく過ごしてもらいたい、喜んでもらいたいという方は、ぜひフレグランスコーディネーターを目指してみてください。