美容に関わる仕事はたくさんありますが、今回は美容ディーラーについて紹介します。
あまり聞き馴染みのない職業の美容ディーラー。ですが美容業界では非常に重要な役割を担っています。
営業スキルを発揮したい、やりがいのある仕事をしたいという方には美容ディーラーの仕事が合っているかもしれません。
美容ディーラーの仕事内容とは?
美容ディーラーは美容院と商品のメーカーをつなぐ重要な仕事です。
買い付け、販売、講習会など、美容ディーラーの仕事内容は多岐に渡ります。仕事内容の一覧を紹介するのでチェックしてください。
自分に美容ディーラーの仕事は合っているのかを考えてみましょう。
美容院へ定期的に訪問する
美容ディーラーは一人でいくつもの美容院を担当します。
多くの場合は毎週同じ曜日、同じ時間帯に担当している美容院を訪問し、商品を卸売りしたり必要な商品を聞き出したり、おすすめの商品を提案したりします。
美容ディーラーはメーカーから美容院へ商品を流す重要な役割を担っています。しかしそれだけでなく美容院の売り上げをアップさせるにはどうすればいいのか、美容院の雰囲気などから美容院が求めている商品を提案することも仕事に含まれます。
美容室に必要な商品をメーカーから買い付ける
美容ディーラーの仕事の一つに、メーカーから商品を買い付けるというものがあります。
シャンプー、トリートメント、カラー剤といった美容院で使う薬剤だけでなく、美容院の椅子やハサミ、パーマ機材など、美容院で使われるものをすべてメーカーから買い付けます。
美容ディーラーと美容院で使われる商品を作るメーカーが一体化している会社もあり、このような場合はより効率的な仕事ができます。
メーカーの商品を美容院へ販売する
メーカーから買い付けた商品を美容院へ卸します。
担当している美容院から依頼された商品を卸すだけでなく、自身で提案もしなければなりません。新商品のメリットや使い方をアピールしたり、その美容院の客層やコンセプトに合う商品を提案するのも美容ディーラーの仕事です。
そのため、商品の知識をしっかり把握しておく必要があります。担当する美容院の特徴や傾向も把握しておかなければニーズに合う提案はできません。
美容院で講習会をおこなう
美容院で使われる商品についての説明をおこなうのも美容ディーラーの仕事です。
その美容院で働く美容師を集めて講習会、勉強会をおこないます。
プロの美容師を相手に商品の説明をしなければならないので、商品に関する知識だけでなく技術も求められます。そのため、美容ディーラーは美容師の資格を持っている方や美容業界で活躍していた実績がある方も多いです。
講習会、勉強会は定期的におこなわれる場合と新商品を卸した際にのみおこなわれる場合があります。美容院のスケジュールと合わせて、講習会、勉強会の予定を取り付けることや場所を用意することも美容ディーラーの仕事です。
美容院の広告などを作成する
美容院の売り上げアップ、経営者の理想通りの美容院作りを手伝うのも美容ディーラーの仕事の一つです。
美容ディーラーは美容院だけでなく商品のメーカーや広告代理店などとのつながりも多く、広告の作成を依頼されることもあります。その場合は広告代理店やデザイン会社を美容院に紹介する、または美容院が提案する宣伝内容を広告代理店やデザイン会社に伝えるといった仲介の役割を果たします。
チラシや名刺作りといったものはもちろん、近年はネットでの集客も重要視されています。SNSへの宣伝方法、ホームページやブログ記事の作成などを依頼されることもあります。
美容ディーラーの給料や待遇
美容ディーラーの給料、待遇について解説します。
美容ディーラーとして長く働き続けるためには、給料や待遇について十分に確認しておくことが大切です。
仕事量も多く、仕事内容も多岐に渡る美容ディーラーですが、どのような待遇で働けるのでしょうか。企業によっても給料や待遇には大きな違いがありますので、参考程度にご覧ください。
美容ディーラーの給料相場
美容ディーラーの初任給は20万円から23万円程度が相場です。一般的な営業職の給料と同じくらいと思っておいていいでしょう。
さらに賞与や残業代、休日出勤手当て、講習手当てがつくことが多いです。
大手企業、中小企業、都心部を担当する企業、地方を担当する企業など、企業の規模や地域によって給料は多少上下します。ですが多くの場合年収は400万円から500万円程度です。
大手と中小では給料に大きな差があることも多いですが、美容ディーラーの場合は必ずしもそうとは限りません。売り上げを伸ばしている中小企業でいい成績を出せれば、大手の同じ役職の人よりも多く給料をもらえているケースもあります。
美容ディーラーは仕事内容もハードで覚えることもたくさんあり、常に勉強していなければならない大変な仕事です。ですがその分高い給料を得られるというわけではありませんので、期待しすぎるとがっかりしてしまうかもしれません。
美容ディーラーの収入アップは難しい
美容ディーラーとして長く働いていても、なかなか収入アップにはつながりません。
美容ディーラーの役職自体が少なく、収入をアップするには残業手当てや講習手当てなどのインセンティブを増やすしかありません。体力的に厳しい、担当する美容院が講習会に乗り気ではないなどの場合はそれも難しいでしょう。
美容ディーラーとして収入をアップする方法に役職につくという方法もあります。ですが美容ディーラーの役職は少なく、主任や地方の営業所の支店長を目指すくらいの努力をしなければなりません。
若い間はなかなか役職につけず、仕事内容や給料に不満を感じて離職してしまうことも多いです。
美容ディーラーの休日や残業
美容ディーラーの休日は主に美容院の休みの日に合わせられます。
とくに関西地方は月曜が休みの美容院が多く、美容ディーラーの休日は土日ではなく日曜と月曜になっていることも多いです。
美容院に訪問して商品を卸す、商品の営業をするのが美容ディーラーの主な仕事ですので、美容院が開いていない日に出勤をしても非効率的だからです。
しかし、休日でも勉強会などのために美容ディーラーが出勤しなければならないこともあります。
労働環境を改善するには独立もおすすめ
美容ディーラーは残業や休日出勤も多く、その分手当てがつくとしても労働環境はハードです。
企業が労働環境を改善したくても、美容院の都合に合わせる必要がある仕事内容が多いためそれも難しいのが現状です。
美容ディーラーの仕事を続けたくても労働環境が厳しくて続けられない…という方もいます。
企業が労働環境をよくするのは難しいので、より働きやすさを求めるなら独立も考えなければなりません。
自身でメーカーから商品を買い付け、自身で美容院に訪問し営業、販売、勉強会などを開催します。コネクションがなければ難しいかもしれませんが、成功すれば自分の好きにスケジュールを組むことができメリットも多いです。
企業の経営方針に囚われず、美容院以外の美容業界に進出したりマニアックながら需要が高い商品を多く取り扱ったり、発想力や決断力がものを言う世界でもあります。
美容ディーラーに役立つ便利なスキル
美容ディーラーになるために必要な資格はありませんが、さまざまなスキルを身に着けておく必要があります。
美容業界の仕事に転職したいというとき、意外なスキルが役立つかもしれません。
美容ディーラーとして働く上で役立つスキルを紹介します。
自動車免許はほぼ必須
美容ディーラーの求人を見ると自動車免許はほぼ必須です。
メーカーから買い付けた商品を美容院へ持ち込むのが主な仕事ですので、車を運転できなければ美容ディーラーとしての仕事ができません。
多いときは1日に20店舗、30店舗も回る必要があり、電車移動はほぼ不可能と言えるでしょう。
自動車免許を持っていない方は美容ディーラーの求人に応募すらできない可能性があります。
パソコンのスキル
スケジュール管理、商品の発注、店舗ごとの予約、請求書の作成、勉強会の資料作成など、美容ディーラーの仕事の中にはパソコンを使うものもたくさんあります。
ワード、エクセル、パワーポイントなどパソコンの基本的なスキルも必須です。
もちろん入社してからその企業のやり方に合う方法を教えてもらうことはできますが、基本がわかっていなければすべてをスムーズにこなすのは難しいかもしれません。
事務や販売、営業などの仕事をしていなくてもパソコンに触れる仕事は多いです。パソコンスキルに自信がない方は今一度基本から学んでおきましょう。
営業スキルや販売スキル
美容ディーラーは営業や販売も主な仕事です。
商品の魅力をお客様、つまり美容院にお伝えし、購買意欲を引き出します。
販売スキルや営業スキルも必須と言えます。人によって得意、不得意がありますが、基本的なノウハウを知っていれば不慣れでも仕事に慣れていくことはできるでしょう。
マニュアル通りの販売、営業ではなく、美容院の特色に合う商品の提案、今後のトレンドを見越した商品の提案などの観察力も求められます。
過去に販売や営業の仕事をしていた経験がある方にとっては美容ディーラーはやりやすい仕事かもしれません。
美容師の国家資格
美容ディーラーの中には美容師の国家資格を所持している方も多いです。
日々技術を磨いたり常にお客様とコミュニケーションをはかったり立ち仕事を続けたりといった美容師の仕事内容が合わず、転職したパターンも。
美容ディーラーは美容院で使う商品を扱う仕事ですし、最新の商品の提案、勉強会などがあるため美容師としての知識、スキルがあるとスムーズに営業ができます。
美容師ならではの視点でその美容院が困っていること、求めていることに気づけるというのもメリットの一つです。
美容師の国家資格を取得したものの美容師として働き続けるのに不安がある、美容院や美容にたずさわる仕事がしたいという方には美容ディーラーはおすすめの仕事です。
美容ディーラーの将来性は?
美容ディーラーはもちろん営業職全般に言えることですが、将来性については不安な点が多いです。
近年はネットでの注文やメーカーからの直送商品も多く、徐々に美容ディーラーの需要は少なくなっています。
美容ディーラーに将来性はあるのか、どのようにして生き残っていかなければならないのかについて考えてみましょう。
ネット注文、メーカー直送の商品の増加
美容ディーラーの将来性が不安視される理由の一つに、ネット注文とメーカー直送の商品が増えた、という点があります。
これまでは、美容院で必要な商品があれば美容ディーラーに電話をして注文する、美容ディーラーが来たときに注文するという方法が一般的でした。美容院で取り扱う商品は業務用のものが多く、美容ディーラーを通してでなければ購入できないものも多かったためです。
しかし近年はネットで気軽に業務用の商品を注文できたり、メーカーから直接仕入れられる商品も増えてきました。
ネット注文ができれば電話をかける手間を省ける、美容ディーラーが来るまでの間待つ必要がなくなるなど、美容院にとってメリットが多いです。
メーカー直送なら中間マージンが発生せずより低価格で商品を仕入れることができ、到着までの時間も大幅に短縮できます。
非常に効率的ですので、美容ディーラーを挟まずに商品を仕入れる美容院が多くなってきているのも事実です。
少子高齢化と美容院の増加
日本は少子高齢化が進んでおり、今後もその傾向が続くと予想されています。美容業界は景気にあまり左右されないと言われていますが、このままだと美容院の利用者も減少していくことでしょう。
その一方で独立する美容師は増え続けており、美容院の数も増加傾向にあります。しかし美容院の総売り上げは減少傾向にあるという矛盾も抱えています。
売り上げが悪いのであれば仕入れにかけるお金も削減しなければなりません。美容ディーラーを介するのをやめ、メーカーと直接やり取りするという方法を選択する美容院が増えるのも当然のことです。
美容ディーラーの仕事は美容院の景気に大きく左右されます。このまま美容院が増え続け、売り上げが減少し続けるようでは、美容ディーラーの仕事はどんどんなくなっていくでしょう。
独自の提案ができなければ生き残れない
美容ディーラーの将来性はかなり危ういと予想されていますが、商品の仲介をするだけが美容ディーラーの仕事ではありません。
厳しい業界の中で生き残っていくには、美容ディーラーができるその他の仕事に目を向ける必要があります。
美容院の売り上げや傾向を確認してそれに見合う提案をすること、やみくもに新商品を押し付けるのではなくその美容院にぴったりの商品を提案すること。さらに美容師としての経験を活かした営業をおこなう、美容院のコンセプトを一緒に考え一から新しいスタイルの美容院を作り上げていくなど、機械ではできない、美容ディーラーだからこその仕事に特化していかなければなりません。
美容師や美容院に寄り添い、「この人になら任せられる」と思ってもらえるディーラーを目指しましょう。
美容ディーラーとして生き残る方法に正解はありません。多くの美容ディーラー、企業が、どのように生き残っていくかを模索している最中です。
これまでの経験や発想力を存分に発揮して、自ら美容ディーラーとして成功する道を切り開いていきましょう。
美容ディーラーへの転職を考えてみよう
美容ディーラーの仕事内容、給料や待遇、必要なスキル、さらに将来性について解説しました。
美容ディーラーなどの営業職は、ネット注文やメーカー直送などテクノロジーの進歩によって淘汰され始めています。
しかしその中でも人と人のつながりは大切です。美容ディーラーがいなければ気づけない商品の使い方や経営方法などもあるでしょう。
今から美容ディーラーとして働くのであれば、基本的なスキルはもちろん、独自の発想力も大切です。美容院から頼りにされる一流の美容ディーラーを目指していきましょう!