結婚・出産を機に家庭に入る美容師さんやネイリスト、エステティシャンなどの美容業界で働く女性も多いものです。
美容業界で働くサービス業と呼ばれる人たちは土曜日曜祝日などに休みを取りづらく、友達と予定が合わなかったり、プライベートを充実させるのが難しいように思います。
美容業界で働きたい、でも土日祝は休みたい……
そんな方にオススメの働き方は ”美容系の講師・インストラクターとして働く” という選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。
今回は美容系の講師として働くメリット・デメリット、やりがいなどを解説していきます。
美容系講師になるには
美容系の講師として働くにあたり、まずは実績を積むことが必要になってきます。
講師として働くには身に付けた技術を提供するだけでなく、人に伝えられるようになる力も求められます。
美容系の講師として働くにあたり美容師の講師、メイクの講師、ネイルの講師など、それぞれ専門分野があります。
多くの美容系の職業につきたい人たちは専門学校に通います。
まずは美容系専門学校の講師になることについて解説していきます。
美容専門学校の講師として働く
美容専門学校などの講師になるにあたり、小中学校の教師のような教員免許が存在しません。
しかし美容系専門学校の教師として働くにあたり、各専門学校で独自の条件や基準を設けていることろがほとんどです。
美容系専門学校の講師として働きたいと思っても、美容師免許のない専門学校講師からカットについて学びたいと思いますか?思いませんよね。
また実務経験も必要になっていきます。
美容系専門学校の講師の場合、専門職のプロを育てるので、生徒も実績のある現役の美容師さんから学びたいと思うのは当然のことといえます。
専門学校によっては美容師免許を取得して〇年以上の実務経験を求められる場合もあります。
専門学校の講師として働くにあたり、学歴として大学、大学院を卒業としている専門学校も珍しくありません。
その学校で得られる資格を持っていれば学歴不問という求人もまれに見かけますが、数は少なくまれであるといえます。
さらに美容専門学校の講師になるための条件として、過去の指導歴を見られる専門学校もあります。
集団に対する教育の経験があることを条件にあげている専門学校も多いので、過去に指導歴がない人にとって狭き門となっています。
その条件を上げている専門学校の講師として働くには、他の専門学校で非常勤講師の実務経験を積むなどしてから、チャレンジすることをオススメします。
美容専門学校の教師に求められること
美容専門学校の講師として働くにあたり就職先の専門学校で取得できる資格についての知識を持っているのはもちろんのこと、その知識をわかりやすく生徒に伝える技術が求められます。
自分の持っている知識を言語化し、生徒に伝わりやすい言葉で伝えられるように語彙力を身に付けておく必要があります。
また資格を持っているから自分の知識が絶対!と思わず、常に最新の技術や知識を得られようにアンテナを張り巡らせることも大切です。
美容専門学校の講師の就職先や募集状況
美容専門学校の講師をしているからと言って、専門学校の講師だけではない場合もあります。
美容専門学校の講師をするのはもちろんのこと、大学や大学院などでも講師をする場合があります。
自分の持っている専門資格についてその専門学校の講師として働くことが可能です。
専門学校の講師は非正規雇用・正規雇用とどちらも雇用形態があるので、条件をしっかり確認することが大切です。
特に正規雇用の場合には競争率が高めであると思っていた方がいいです。
また新しい専門学校ができると新しく講師の募集がかかりますが、一人の求人に対して複数人応募してくるということはめずらしくありません。
大学や大学院の講師として働く場合、自分の持っている資格を専門とする学科を持っている大学に勤める専門学校の講師も数は少ないですが存在します。
その場合大学での仕事がメインになることが多く、専門学校には非常勤で務める場合が多いです。
大学等に教授や准教授、助手として勤める場合、大学や大学院を卒業していることが必須であることが多く、専門学校や短大卒では就職するのが難しくなっています。
2018年の文部科学省の調査によると、日本全国に専門学校が2806校あります。
高校生の進学意識が高まっていることもあり、徐々に学校数も増えてきていることがわかっています。
学校数が増えるということは働き口が増えるということです。
専門学校の募集定員により、教員を置かなければならない人数も変わるため、学校の規模が大きいほど講師を募集する人数も多いといえます。
美容専門学校の講師の仕事の探し方
美容専門学校の講師として働きたいと思っても、ハローワークや求人広告にで見つけるのはなかなか難しいかもしれません。
ではどのようにして現在美容専門学校の講師をしている人たちはどのようにして講師の仕事を探していたのでしょうか。
専門学校のホームページを見る
美容専門学校の中には専門学校のホームページで講師の募集をしているところもあります。
講師専用の募集ページを設けているところもあるため、そこから求人を確認することができたり、応募することもできます。
またホームページには学校の様子や生徒の雰囲気などを詳しく記載しているため、職場の雰囲気や担当する教科などのイメージもつきやすくなります。
就職を考えている場合は、応募前にしっかりホームページに目を通しておくことをオススメします。
自分の卒業した専門学校のホームページを見る
美容専門学校を卒業して美容師免許やエステの資格等を取得した人であれば、自分が卒業した専門学校で講師をできる場合があります。
学校のホームページに記載されていなくても「その学校の卒業生であれば」という条件で仕事を紹介してもらえる可能性があります。
卒業生ということで、お世話になった先生方に会いに行くついでに求人について尋ねることも可能です。
自分の卒業校であれば授業の雰囲気や学校の雰囲気、その学校の年間行事についても把握できるため、仕事に慣れやすいというメリットもあります。
講師として働く仕事探しの注意点
美容専門学校の講師として働く場合、どのような点に注意して働いたらいいのでしょうか。
せっかく働くからには長く働きたいですよね。
失敗しない仕事探しのために、仕事を探す際の注意点について述べていきます。
雇用形態
美容専門学校の講師募集の見出しは『専任教員』または『講師』という見出しであることが多いです。
専任教員とは正規社員雇用がほとんどで、正社員雇用を前提にした非常勤講師であることがほとんどです。
一方講師の場合はまれに正規社員雇用の場合もありますが、ほとんどが非常勤講師の募集となっています。
自分の希望する募集形態にあわせて応募します。
また正規社員で雇用された場合、専門教科の授業だけにかかわらず、学校に規模によっては広報担当も仕事内容に含まれる場合もあり、学生取得のための営業活動も行わなくてはならない場合もあります。
生徒指導以外にもどのような業務内容があるのか、きちんと確認しておく必要があります。
専門学校の教育体制
就職したいと思っている美容専門学校がクラス担当制を導入しているかどうかも確認した方がいいポイントです。
クラス担当制を導入している美容専門学校の場合、クラスの担任を任される場合もあり、専門知識や技術を教える以外に、クラス運営も任されることがあります。
生徒からのプライベートな相談や保護者への対応も任される可能性があるため、それらに対して苦手意識があるならばクラス担当制を導入している美容専門学校への勤務は検討した方がいいでしょう。
給与
通勤手当やその他手当の確認はもちろんのこと、『調整手当』や『教員手当』がついているかどうかという点もしっかり確認しておくべき点です。
小中学校の教師の残業代についての問題が上がったことがあったのを覚えている人もいるかもしれません。
小中学校の教師は基本給の4%を『教師調整額』として支給することや、超過勤務手当として休日出勤した分の給与が支払われないという問題が浮上しています。
それと同様に美容専門学校にも少なからず同じような問題が発生しているようです。
求人票や募集要項に「基本給の4%を支給する」といった言葉がかかれていたり、超過勤務手当についての記載がなされていない場合は残業代が支払われない可能性があるため注意が必要です。
美容系専門学校講師のやりがい
専門学校の講師として働くにあたり、どのようなメリットがあるのでしょうか。
熱意のある生徒を指導することができる
大学に進学する学生の中には、やりたいことが決まっておらず、とりあえず進学するという生徒がとても多いです。
一方、専門学校に進学する学生たちのほとんどが将来なりたい職業がある程度決まっていて、取りたい資格も決まっていてそれを取るために進学してきている生徒たちがほとんどです。
自分のやりたいことをある程度高校生の間に決め、美容業界で働きたいと考えている熱意のある生徒たちを指導するのはやりがいを感じられます。
また社会人になってから専門学校に通いだした生徒は自分で学費を払って通学していることが多く、さらに熱意をもって授業に取り組んでいることといえます。
次世代のスペシャリストを育てることができる
美容専門学校に進学する生徒たちは、講師が持っている資格を取得目指す生徒が多く、将来はその資格を活かして働きたいと思っている生徒がほとんどです。
自分が現場で培ってきた知識や技術を伝えることはもちろん、自分のもつ美容業界における大切にしてきた価値観を伝えることができるので、同じ志をもった後進を育てることができる可能性があります。
自分の育てた学生が現場で活躍する姿を見ると、この仕事のやりがいをさらに感じられることができます。
美容師講師・メイク講師について
ここからは数ある美容系講師の中でも美容師の講師とメイクの講師について、それぞれ特徴を紹介していきます。
美容師の講師
美容師の講師はおもに美容専門学校や美容スクールで働きます。
美容師になりたい生徒に必要な技術や知識を指導していきます。
美容専門学校の講師は美容師免許取得のための基礎となる技術を指導することが多く、ロッドを巻く『ワインディング』や『シャンプー』、シャンプー後のスタイリング『ブロー』や『ヘアカッティング』などの実習を行います。
専門学校や美容スクールにより担当するものも変わってきます。
またサロンで『トップスタイリスト』として勤務していたり、独立して成功している美容師など、現役の美容師に向けたセミナー講師として招かれることもあります。
セミナーにはカッティングの上達方法、カラーリングの選定方法などの悩みを抱えている美容師が多く参加します。
そのため美容師の経験を活かことができます。
そのほかにも、サロンで新人を対象に指導するのも講師の役目です。
美容師の講師としてのお給料
美容師の講師としてのお給料はどのくらいなのでしょうか。
美容専門学校の非常勤講師の場合、1コマ当たり1500円~2000円と定められているところが多く、一日で最大4~5コマまでの授業を担当することがあり、大体一日で6000~8000円のところが多いです。
また時給制の学校もあるようで、その場合は時給850~1000円程が相場のようです。
また常勤講師の場合、月給でおおよそ18~25万円ほどのところが多いようです。
土日祝日は休校となる学校が多く、講師も休みになる場合が多いので、出産を機に美容業界から離れてしまった美容師さんなどに人気の職業となっています。
メイクアップアップインストラクター
美容部員やヘアメイクのプロを目指す人たちに、メイクの技術や知識を伝えていくのが仕事となります。
フリーのメイクアップアーティストとして様々な企業や学校で講師を果たすこともあれば、どこかの美容専門学校や化粧品メーカーの社員として、メイクの授業や美容部員の教育をすることもあります。
著名ブランドや著名人の専属になる、あるいは自分の店を持ったりテレビや雑誌で活躍したりなど、実力次第でチャンスは広がる仕事です。
メイクに関する探究心のみでなく、メイクの可能性について理解し、さらに人を育成することに喜びを感じ、一緒に成長することができる人にオススメの職業であるといえます。
実践しながら説明することができる能力も求められます。
人に教えるのが仕事なので、基本的な技術だけでなく、特殊なケースにも対応できる技術的な余裕、それを決断するための度胸、それをわかりやすく伝える能力と限られた時間の中で有意義な時間を作ることも求められます。
メイク講師になるには美容師講師同様、美容室やスタジオの経験を積み、技術とセンスを鍛えていくことが大切です。
メイク講師としてのお給料
メイク講師の給与ですが、化粧品会社に就職するか、フリーランスとして活動するかによって差が出ます。
中小規模の化粧品会社の新人教育などを担当する正社員雇用の場合、おおよそ月収20~30万、年収で230万円程です。
このような企業に就職した場合、メイク講師以外にも社会人としてのマナーや電話対応のテクニックなど、業務に必要なことすべての教育係を任される可能性があります。
応募時に具体的な業務内容をしっかりと確認することをオススメします。
経験を積んで専門学校の講師をいくつも兼任したり、特別講師として招待されるレベルになると年収600万円を超える場合もあります。
メイク講師になるのに特定の資格は必要ありません。
しかしメイクの基礎である『トータルメイクアップ検定』や『日本メイクアップ検定』は持っておいた方がいいかもしれません。
そのほかにも美に関する知識は多い方がいいのでエステやアロマの資格なども役に立ちます。
しかし、メイク講師は資格以上に経験や経歴が問われます。
まとめ
美容系講師の仕事について、理解できましたか?
美容系の講師として働くには……
●専門学校や大学の講師として働く働き方やセミナーに呼ばれるなど、さまざまな働き方がある
●教育の資格がなくても働くことはできるが、経験と実績が問われる
●フリーランスと正社員として働く働き方と雇用形態も様々
●専門学校の講師がしたい場合、自分の卒業した専門学校に問い合わせてみるのもおすすめ
●特定の資格のほかに、語彙力や生徒にわかりやすく説明する技術が必要
ということが必要になります。
美容業界はブラックだといわれますが、経験を活かし土日休みの仕事につきたいという方は、講師という仕事を選択するのもひとつの方法です。