ニキビや肌荒れといった美容面からだけでなく、アトピーの治療や水虫治療など、皮膚科は老若男女とわず需要が高い職場です。
医師や看護師にとっても働きやすい環境が整っており、皮膚科で働きたいと転職先を探す方も多いです。
皮膚科ではどんな仕事をするのか、どんな職種があるのかについて見てみましょう。
皮膚科の治療内容
皮膚科の治療内容は主に塗り薬による治療、飲み薬による治療です。
手術をしたり、専用の機器を使ったりして治療をおこなうこともあります。
皮膚科の治療内容をさらに詳しく見てみましょう。
塗り薬による治療
皮膚科では塗り薬による治療が多いです。
患者の症状を見てどのような治療が適切かを判断し、その症状に合う塗り薬を処方します。
医師がその場で治療するのではなく患者が自宅で塗り薬を使ってケアすることになりますので、適切に使用するようきちんと説明しなければなりません。
中には副作用が出る塗り薬もありますので、その旨も説明して患者に納得してもらいます。
塗り薬は一種類ではなく複数を組み合わせて治療するケースもあります。適切な組み合わせを考える、使う順序を守るなど、すべての塗り薬について詳しい知識を持っていなければなりません。
塗り薬による治療を一定期間続けても効果が見られない場合は別の塗り薬に変える、さらに効果の強いものに変えるなど臨機応変な対応も求められます。
飲み薬による治療
抗生物質、ビタミン剤、漢方薬など、飲み薬を処方する治療方法もあります。
体の内側から菌の繁殖や皮脂の分泌を抑え、体のめぐりをよくすることで肌トラブルを改善していきます。
飲み薬についても正しい知識が求められます。とくに現在他の病気の治療のために別の飲み薬を服用している方には慎重にならなければなりません。
皮膚科の飲み薬で強い副作用が出るケースは少ないですが、別の薬との飲み合わせによっては危険な場合もあるので注意が必要です。
手術による治療
粉瘤、ほくろ、イボなどの除去手術をおこなう皮膚科もあります。さらに、皮膚の移植などの大掛かりな手術の対応をする場合もあります。
これらの手術は日帰りでできるものがほとんどですが、すべての皮膚科で手術をおこなっているわけではありません。
総合病院では皮膚科医が診断し、形成外科の医師が執刀するケースもあります。
手術をおこなわない小さな皮膚科の場合は、手術をしてくれる皮膚科や総合病院に紹介状を書きます。
専用機器を使った治療
さまざまな専用機器を使って治療をおこなうこともあります。
ニキビやニキビ跡、肌荒れに悩む方のためのケミカルピーリング、肌の炎症を抑えるための光線療法、皮膚の深部をあたためて血流をよくし症状の緩和を目指す近赤外線レーザーなどがあります。
すべての皮膚科で同じ機器が揃っているわけではなく、機器による治療をしてもらいたいと思っても皮膚科によっては受けられないこともあります。
そのためさまざまな目的に応じた機器を取り揃えている皮膚科の方が多くの患者を受け入れることができますが、その分きちんと機器を使いこなさなければなりません。
皮膚科医だけでなく看護師、看護助手などすべてのスタッフに使用方法を教育し、どのスタッフが対応しても同じ効果を得られるようにしましょう。
専用機器は常に進化しており、最新の機器についても常に導入を検討しなければなりません。
皮膚科で働く職種5つ
皮膚科ではどんな職種の人が働いているのかをチェックしてみましょう。
皮膚科医、看護師はもちろん、看護助手、カウンセラー、医療医務などのスタッフを置いている皮膚科もいます。
それぞれの職種について、仕事内容、待遇、その職種になるための方法を解説します。
皮膚科医
皮膚科に欠かせない皮膚科医は、皮膚に関するあらゆる病気の治療をおこなうスペシャリストです。
にきびや肌荒れなどの比較的軽度の症状から、アトピー、じんましん、脱毛症ややけど、床ずれなどの治療にも対応します。
皮膚科医の主な仕事内容、待遇、皮膚科医になるまでのステップをチェックしてみましょう。
皮膚科医の仕事内容
さまざまな症状を的確に見極め、患者の希望に沿う治療をおこないます。
飲み薬や塗り薬を処方する、レーザーなどの機器で治療する、さらに手術をおこなうこともあります。
現在の皮膚疾患の説明をおこない、どのような点に気を付けて生活すればいいのかをアドバイスするのも皮膚科医の仕事です。
皮膚科医の待遇
皮膚科医はその病院に雇用されて働く人がほとんどです。他には開業するケースもあります。
皮膚科は緊急対応や夜勤が少ないため、基本的には病院が定めている時間内の勤務になります。休日も、病院が定める日に休めることが多いです。
その分夜勤手当などは出ず、医師の中でも年収はやや低めです。
ですが美容皮膚科を開業したり、美容皮膚科に勤務したりすると一般の皮膚科よりも給料は高くなります。
皮膚科医になるには
皮膚科医になるには大学の医学部で6年間学ばなければなりません。
医学部の倍率は高く、難易度の高い試験に合格する必要があります。入学後もさまざまな観点から医学を学び、卒業後に医師になるための国家資格に合格し、やっと医師としての経歴がスタートします。
さらに皮膚科医になるためには2年間の臨床研修が必要です。皮膚科の専門医として働くために後期研修も受けなければなりません。
後期研修の後さらに皮膚科専門医試験があり、これに合格することで皮膚科専門医という肩書きがつきます。皮膚科では後期研修を終えた段階から採用されることが多いです。
看護師
皮膚科の看護師は皮膚科医をサポートするのが主な仕事です。
看護師としての一般的なスキルがあれば、これまでの経歴に関係なくスムーズに仕事に慣れることができるでしょう。
皮膚科の看護師は再就職先としても人気です。その仕事内容などをチェックしてみましょう。
看護師の仕事内容
皮膚科の看護師は皮膚科医のサポートをするのがメインの仕事ですが、患者に対して処方される薬の説明をする業務もあります。
きちんと用法、用量を守って薬を使用することで治療をスムーズにできますが、間違った使い方をするとかえって逆効果になることもあります。
そのため薬の説明はきちんとおこなう必要があり、非常に重要な業務です。
その他傷口のケア、手術のサポート、専用機器による治療も看護師が担当することもあります。
小さな皮膚科の場合は受付業務や院内の整理整頓も看護師の仕事です。
看護師の待遇
皮膚科の看護師は手術のサポートなどのハードな仕事を任されることは少なく、基本的なスキルさえあればこなせる仕事が多いです。
また、残業や夜勤もほとんどないため外科などの看護師と比べるとハードな仕事は少ないです。
プライベートな時間を大切にしたい、家庭と仕事を両立させたいという方には働きやすい環境が整っていると言えるでしょう。
一方で、責任感のある仕事をしたい、さまざまなことを学べる環境で働きたいという方にとっては物足りない職場かもしれません。
残業代、夜勤手当もつかないので、より高収入を求める看護師にも不向きです。
看護師の平均年収は500万円未満程度ですが、この金額には夜勤、残業代、ボーナスも含まれています。そのため夜勤や残業の少ない皮膚科の看護師の年収はこれよりも下がると思っておきましょう。
看護師になるには
看護師になるには、中学を卒業した後に5年間の看護師養成施設で専門課程を学ぶか、高校卒業後に看護大学、看護短期大学、看護専門学校で3年から4年の専門課程を学ぶ必要があります。
また、准看護師資格を取得した後に短期大学や専門学校で2年間学ぶことでも看護師になれます。
看護師になるための専門学校には夜間学校もあり、別の仕事をしながら看護師を目指すこともできます。
専門課程を修了した後看護師の国家資格に合格し、さらに専門課程を学ぶと保健師、助産師の国家資格を受けられます。
皮膚科の看護師になるためには看護師の国家資格のみで十分です。
看護助手
看護助手とは看護師のサポート、患者のケアをおこなう職種です。
皮膚科で看護助手を採用しているところは少ないですが、大型の病院や美容皮膚科では看護助手の求人もあります。
看護助手として皮膚科で働くために仕事内容やなり方を見ておきましょう。
看護助手の仕事内容
皮膚科での看護助手の仕事は、院内の整理整頓、備品の補充、カルテの整理、さらに看護師のサポートです。
小さな皮膚科クリニックの場合は受付や患者のサポートをおこなうこともあります。クリニックによって看護助手が対応する仕事には大きな差がありますので、求人に応募する際はその内容をきちんと確認しておきましょう。
看護助手の待遇
看護助手は基本的に病院やそのクリニックが定める勤務時間内の勤務になります。残業や夜勤はほとんどありません。
また、一日ずっと勤務するのではなく、早出、遅出などのシフト制になっている皮膚科もあります。
看護助手の平均年中は300万円未満です。シフトや勤務形態によってはこれよりも下がることもありますので、求人内容をよく確認してから応募する必要があります。
看護助手になるには
看護助手になるための国家資格はありません。看護や医療に関する資格を持っていなくても皮膚科で働けます。
看護師を目指すために専門学校や夜間学校に通いながら看護助手として皮膚科のある病院で働いている人も多いです。
全国医療福祉教育協会が実施している看護助手実務能力認定試験、医療福祉情報実務能力協会が実施しているメディカルケアワーカー検定試験などもあります。
これらに合格しておくと基本的な知識が身につくだけでなく、自身の能力をアピールできるため就職にも有利になります。
医療事務
医療事務は医師免許や看護師資格を持っていなくてもクリニックで働ける職種です。
プライベートと両立しやすく、勤務先もたくさんあるため非常に人気の職種でもあります。
皮膚科での医療事務の仕事内容や、医療事務として働くためにできることを紹介します。
医療事務の仕事内容
皮膚科の医療事務は、クリニックのサポートのための雑務を担当します。
受付や電話対応、会計業務の他、患者を病室まで案内する、問診票やカルテを管理するなどの仕事があります。
クリニックでの会計業務は非常に複雑で、診療報酬明細書を作成しなければなりません。正確な計算ももちろんですが、患者の個人情報に触れる機会が多いので責任感を持って仕事をしなければなりません。
医療事務の待遇
医療事務は正社員の他、派遣社員、パート、アルバイトなどの勤務形態があります。
平均の年収は260万円程度。時給や月給など、クリニックによって給料にはやや変動があります。
一般的な事務職と同じくらいの年収であるものの仕事内容は複雑ですので注意しましょう。
ですが皮膚科だけでなく形成外科や総合病院などの大きなクリニックでも勤務時間は決まっており、残業もありません。
シフト制のクリニックも多いのでプライベートの予定を立てやすく、家庭と両立したい、看護師になるための夜間学校に通いたいという方にもおすすめです。
医療事務になるには
皮膚科の医療事務として働くには特別な資格は必要ありません。経歴も必要なく、求人に応募してクリニックが求める条件をクリアしていれば働けます。
ですが医療事務に関する民間の資格はいくつかあります。会計の計算方法や医療の基本的な知識を習得でき、さらに求人に応募する際にも有利です。
医療事務の資格を持っており、さらに医療事務として勤務した経験があれば、皮膚科から別の科への転職もしやすくなります。
皮膚科の求人や将来性
皮膚科で働くさまざまな職種や仕事内容を紹介しました。
皮膚科は年齢を問わず多くの人が利用するため、常にたくさんの求人があります。それでいて働きやすい環境が整っているので人気の勤務先でもあります。
皮膚科の求人について、さらに今後の将来性について考えてみましょう。
常にニーズの高い現場
子どものアトピーから高齢者のイボ、床ずれなど、皮膚疾患にはさまざまな種類があります。
皮膚科を訪れる患者は年代を問わず多く、症状に合わせてさまざまな治療をおこなわなければなりません。
皮膚科のニーズは高く、簡単に勤めている皮膚科の経営が成り立たなくなるということはありません。
一度就職すれば長く同じ職場で働けますが、皮膚科の数は多いのでより条件のいいクリニックに転職を考えることも可能です。
個人で開業している小さい病院から総合病院まで、たくさんの勤務先がありますので、それぞれの求人情報と自身が働きたい条件が合っているかを確認してから応募しましょう。
自身の時間を大切にできる
皮膚科は医師、看護師、その他の職種でもすべて、基本的に夜勤や残業はありません。
夜勤や残業が当たり前というイメージの多い医療現場ですが、皮膚科ならその必要はなく、精神的にも肉体的にも負担が少ないです。
プライベートな時間とも両立しやすいため、しっかり休んで次の仕事に備えたい、家庭と両立したいという方から非常に人気があります。
以前看護師として働いていたものの妊娠、出産を機に現場から離れてしまった資格所有者が復職する際にも、皮膚科などの負担の少ないクリニックを選ぶことが多いです。
美容皮膚科の需要も高い
一般的な皮膚科だけでなく近年は美容皮膚科の需要も高くなっています。
医療脱毛や医療レーザー治療などができる美容皮膚科は、以前は芸能人やモデルだけが通うものというイメージがありました。しかし近年はSNSやメディアで美容皮膚科が注目されることも増え、手軽に美容皮膚科に通う方が増えています。
美容皮膚科で働くためだけに必要な資格や経験はありませんが、一般的な皮膚科で働くよりもさらに知識を集めたり、最新の情報をチェックしたりする必要があります。
美容皮膚科の現場でしか使われない専門機器の取り扱いについても学び、患者の肌に関する悩みに的確に応えていきます。
美容皮膚科の待遇
美容皮膚科は一般的な皮膚科と同じく夜勤や残業が少ないです。
しかし仕事終わりにも気軽に通院できるように夜間も営業している美容皮膚科や、土日に営業している美容皮膚科も多く、労働時間は一般的な皮膚科と比べるとやや長めでシフトの融通も利きにくいです。
美容皮膚科での治療は保険適応外となり、クリニックが自由に価格を設定できます。そのため治療費は高額で、その分クリニックが得る利益は多いです。
美容皮膚科に勤務する皮膚科医や看護師、看護助手などはその分一般的な皮膚科で働くよりもさらに高い給料を得られます。
皮膚科での経験を活かしつつ、より良い条件で働きたいという場合は美容皮膚科の求人もチェックしてみるといいでしょう。
皮膚科の仕事内容や待遇をチェックしよう
皮膚科の仕事内容、待遇、それぞれの職種になるためには何が必要かを紹介しました。
皮膚科は患者からのニーズも高く安定して働けるだけでなく、時間的な制約も少ない、精神的な負担も少ないという点から家庭と両立したい、プライベートを充実させたい方に人気があります。
自身が持っている資格や経験、さらに今目指している職種から、皮膚科で働くことのメリットを考えてみましょう。