ブライダルスタイリストとは、結婚式当日に花嫁が着るドレスや着物などを提案し、小物などの組み合わせもサポートする仕事です。
新郎新婦にとって一生に一度になるかもしれない特別な日を演出するために非常に重要な役割を担っています。
華やかな結婚式に携わる仕事をしたい、ドレスに強い憧れがある、人を支えるのが得意という方はぜひブライダルスタイリストの仕事内容をチェックしてみてください。
仕事内容だけでなく、この仕事に向いている人やどのような方法で就職できるのかなどを解説します。
ブライダルスタイリストの仕事内容
ブライダルスタイリストはどんな仕事をするのか、その内容を詳しく見ていきましょう。
結婚式数か月前から花嫁のドレス選びを始め、小物やアクセサリーの提案、当日のヘアメイクの相談、新郎との衣装合わせなど仕事内容は多岐に渡ります。さまざまなスキルが必要になる大変な仕事ですが、その分やりがいも多く、ハードな仕事でも続けたいと思う方も多いです。
ブライダル系の仕事を目指している方は、このような仕事もチェックしてみてください。
ドレスや衣装の提案をする
メインとなるのは、花嫁が結婚式当日に着る衣装を選ぶことです。
花嫁がどんなドレスを求めているのかを詳細にカウンセリングし、数あるドレスの中から最適なドレスを提案します。
花嫁が求めるドレスとトレンドのドレスと、本当に花嫁を美しく見せてくれるドレスは同じではありません。そんなときには両方を提案し、花嫁にどちらの方がいいか意見を聞きます。
そのためにはこの人にはどんなドレスが似合うか?より魅力を引き出してくれるか?という判断力やセンスも求められます。
結婚式場が所有しているドレスの中から選ぶのか、人気ブランドから取り寄せるのかなどによっても選択肢が変わります。
花嫁の理想だけでなく予算などからも最適な一着を提案しなければなりません。
また、ドレスだけでなく和装婚の場合は着物を選んだり、お色直し用のドレスを選んだりもします。
ブーケやアクセサリーを選ぶ
ドレスに似合うブーケやアクセサリーなどの小物を選ぶのも仕事の一つです。
同じドレスでも、アクセサリーや小物によって大きく印象が変わります。シンプルなドレスを華やかにしたい、シックにまとめたいなど、花嫁の要望を取り入れつつぴったりなものを選びます。
ゴールドのアクセサリー、シルバーのアクセサリー、ダイヤモンド、真珠、誕生石など、こちらも非常に選択肢が豊富です。
デザインやドレスとの相性だけでなく、花嫁をより美しく見せてくれるアクセサリーを選ばなければなりません。
その他ベールやグローブ、靴などもトータルでコーディネートします。
ブーケの手配もブライダルスタイリストがおこなうことが多いです。ドレスや会場の演出、花嫁の雰囲気、さらに季節に合うブーケなど、さまざまな花の知識をもっている必要があります。
着付けやヘアメイクを担当する
結婚式当日に着付けやヘアメイクを担当することもあります。この場合、国家資格である美容師免許を持っている必要があります。
ブライダルスタイリストは資格を持っていなくてもなれる職業ですが、着付けやヘアメイクも仕事内容に含まれる求人には応募できないので注意しましょう。
着付けやヘアメイクは花嫁だけでなく、新郎や新郎新婦の家族のお手伝いをするケースもあります。
ブライダルスタイリストのはドレスや小物を選んだら終了ではありません。結婚式当日のサポートまで含まれます。
ヘアメイクは事前にセットを決めておいたり、花嫁の好みのメイクをしなければなりません。メイクの高いスキルも求められます。
エステティシャンや美容師と連携を取る
結婚式当日までのダイエットや美容をサポートするブライダルエステを希望する花嫁もいます。自身で契約することもできますが、結婚式場やブライダルスタイリストから紹介されたエステサロンと契約するケースも。
その際は信頼できるエステサロン、勤務している会社と提携を結んでいるエステサロンを紹介します。エステサロンとも連携を取り、花嫁の美容を考えていきます。場合によってはネイルまで担当することもあります。
さらに結婚式間近や当日、ヘアメイクを担当しない場合は美容師やヘアメイクアーティストと連携を取り花嫁の意思を伝えます。
当日になって希望したヘアメイクをしてもらえなかった、という苦情につながらないよう、正確に意思疎通を図る必要があります。
ブライダルスタイリストに向いている人
ブライダルスタイリストの仕事内容を把握した上で、この仕事に向いている人の特徴を紹介します。
ブライダルスタイリストはファッションのセンスからコミュニケーション能力、スケジュール管理能力など、さまざまな能力が求められる仕事です。
適正があればブライダルスタイリストとして成功しやすいと言えますが、適正がないからといって諦める必要はありません。ブライダルスタイリストの仕事を心の底から楽しいと思えれば、苦手な部分も克服していけるでしょう。
ファッションに関心が高い人
ブライダルスタイリストになるにあたってファッションへの関心は欠かせません。
常にトレンドを意識し、どんな色が、どんなシルエットがはやっているのか、また年代別にどんなファッションが人気なのかを把握する必要があります。
一般的なファッションと同じく、ドレスにもさまざまなトレンドがあります。今どんなドレスが人気なのか、人気の芸能人が着ていたドレスはどこのブランドのものなのかなどをすべて把握しましょう。
ドレスのブランド、名称、カラー、素材、価格帯などから花嫁が希望するものに近いドレスを選び抜かなければなりません。
コミュニケーション能力の高い人
ブライダルスタイリストは花嫁と密に信頼関係を築く必要があります。最初は緊張していて上手く理想のドレスを伝えられない花嫁も多いので、緊張をほぐし、相談しやすい人だと思ってもらう必要があります。
どのドレスがいいか決められない、理想のドレスが明確でない花嫁にはいくつかドレスを提案し、その中から理想に近づけていくという方法もあります。
花嫁の一挙一動を見定めて、本当にいいと思っているのか、何か物足りなさを感じているのではないかを考えましょう。
また、花嫁だけでなく結婚式場のスタッフ、エステサロンのスタッフ、美容師や着付け師など、結婚式を作り上げるすべての人とも連絡を取り合わなければなりません。
伝達ミスがあるとせっかくの結婚式が台無しになってしまいますので、物事を明確に伝えられる力も必要です。
発想力が豊かな人
ブライダルスタイリストには発想力やセンスも求められます。
ありきたりなドレスにありきたりな小物の組み合わせでは無難な仕上がりになってしまいます。
特別な一日を、より個性豊かに、その人らしく楽しんでもらいたいというのであれば、他の人では思いつかないようなドレスや小物のセンスが必要です。
ただ定番やトレンドを追いかけるだけでなく、花嫁の魅力を引き出すためにどんなドレス、小物が必要か、どんな組み合わせが最適なのかなどを常に考えましょう。
花嫁が嫌煙していた色のドレスでも、ブライダルスタイリストのセンス次第では思わぬ良さを発揮できる可能性もあります。
体力や精神力も求められる
ブライダルスタイリストはただ更衣室でドレスを選ぶだけの仕事ではありません。
ときには理想のドレスを探してさまざまな店舗に掛け合ったり、小物探しのために奔走したりしなければなりません。
一日に何着もドレスの試着をする場合は毎回重たいドレスを持ち運び、花嫁への着付けをおこないます。
結婚式当日は早朝から着付け、ヘアメイク、お色直しのサポート、結婚式後のアフターケアも担当します。
華やかなイメージがある仕事ですがその仕事内容は非常にハードで、体力仕事の一面も大きいです。
結婚式前にデリケートになっている花嫁に寄り添わなければならず、結婚式を台無しにできないプレッシャーから精神的にもハードだと感じるかもしれません。
ブライダルスタイリストになるには
ブライダルスタイリストになるにはどのような手順が必要なのか、どんな資格が必要なのかについて紹介します。
ブライダルスタイリストに必須の資格はなく、専門学校を出ている必要もありませんが、役立つ資格はたくさんあります。
必須の資格はない
ブライダルスタイリストは美容師のような必須の国家資格というものはありません。
ブライダル会社や結婚式場にブライダルスタイリストとして採用されればその日からブライダルスタイリストとして働き始められます。
ですが、専門学校で学んだり役立つ資格を取得しておいたりすると就職や転職の際に役立ちます。
スキルや知識を身につけるためにも必要な資格をチェックしておきましょう。
専門学校のブライダル科がおすすめ
美容系の専門学校ではブライダル科があります。ブライダルスタイリストやブライダルコーディネーター、ブライダル会場のスタッフとして働くために必要なスキルや知識を身につけられます。
これからブライダル関連の勉強をしたい、ブライダル関連の道に進みたいという方は専門学校に通うことを検討してもいいでしょう。
ですが専門学校は学費も高く、2年間日中に通学しなければなりません。現在働いている、高校や大学に通っているという方にとっては現実的ではないでしょう。
専門学校を出ていれば就職活動のときに有利ですが、必ずしも必要なわけではありません。学校に通えない場合はブライダル系の資格をいくつか取得しておくといいでしょう。
美容師資格が役立つことも
ブライダルスタイリストの仕事内容に着付けやヘアメイクが含まれることもあります。その場合は国家資格である美容師免許を取得している人でなければ応募できません。
美容師資格の試験は夜間学校に通うことでも受けられますので、今後生涯役に立つ資格が欲しい方はこの機会に取得を目指してもいいでしょう。
着物の着付けのためにも専門的な知識が必要です。とくに結婚式の打掛などの着付けには複雑な知識、技術が求められます。働きながら研修などで学べる企業もありますので、不安な方、経験が浅い方は研修制度がしっかりしている企業の求人に応募しましょう。
カラーコーディネートの資格が人気
ブライダルスタイリストになるためにあると有利な資格はたくさんありますが、中でもカラーコーディネートの資格が人気です。
カラーコーディネーターとはさまざまな色の組み合わせから最適な組み合わせを提案する、同じように見える色の中から最適な色を見分けるなど、色のスペシャリストとも呼べる存在です。
近年はその人の肌の色からもっとも似合う色を見分けるパーソナルカラー診断も人気です。ドレスを選ぶ際にこのパーソナルカラー診断を受ける花嫁も多いです。
同じピンクでも、青味や黄味、素材などによって大きく印象が変わります。ドレスの色一つで花嫁をもっと魅力的に見せることも、顔色を悪く見せてしまうこともある重要なポイントです。
カラーコーディネート系の資格は複数あり、独学で取得できるものもたくさんあります。ブライダルスタイリスト以外の仕事でも役立ちますので、ぜひ取得を目指してみてください。
ブライダル系の資格をチェック
ブライダルスタイリストになるためにはやはりブライダルに関連する資格をいくつかチェックしておくことがおすすめです。
ブライダルスタイリストはドレスや花嫁のコーディネートをサポートするのがメインの仕事ですので、ドレスコーディネートの資格を取得してもいいでしょう。
スタイリングに活用できる資格、着付けやヘアメイクに関連する資格もあります。
いずれも国家資格ではなく民間の資格ですので、仕事をしながら、学校に通いながらでも資格取得に向けた勉強ができます。
これらの資格はブライダルスタイリストだけでなくブライダル系の仕事、ファッション系の仕事などでも幅広く活用できるので、キャリアアップのためにも取得しておくといいでしょう。
ブライダル会社で未経験から働こう
ブライダルスタイリストは無資格でも名乗ることができます。
ブライダル会社、結婚式場でブライダルスタイリストの求人に応募し合格すれば働けます。未経験可の求人を選ぶといいでしょう。
研修がしっかりある企業であれば、未経験でもブライダルスタイリストに必要な知識、スキルを一からしっかり学べます。
働きながら資格取得をサポートしてくれる場合もありますし、独自に勉強を進めて資格を取得すれば、さらなるキャリアアップを目指せます。
ブライダルスタイリストの将来性は?
ブライダル業界は今非常に厳しい状況です。
少子化の影響で結婚式の数が減っているだけでなく、晩婚により結婚式を挙げない夫婦、結婚式に高いお金をかけたくないという夫婦も増えています。さらに新型コロナウイルスの影響により結婚式が相次いで中止になっています。
このような理由から、ブライダル業界は今後も安定して働けるとは言い難いです。
そのためブライダルスタイリストとしてだけでなく、カラーコーディネーター、着付け師、ヘアメイクアップアーティストなど、他の職業でも活躍できるスキルを身につけておくべきです。
憧れのブライダルスタイリストを目指そう!
花嫁のドレス選びなどをトータルサポートするブライダルスタイリストの仕事内容について紹介しました。
ウエディングドレスに強い憧れを抱いている方は非常に多く、ブライダルスタイリストの責任は重大です。結婚式を華やかに彩るドレスはたくさんありますが、その中から花嫁にぴったりの一着を提案しなければなりません。
花嫁の期待に応え、スムーズに仕事をこなすためにも、ブライダル系、カラーコーディネート系の資格の取得も検討してみてくださいね。