夏に向けて、フットネイルと楽しむ人が増えていきます。
また外気の暑さと冷房による寒暖差から疲れを感じ、リフレクソロジーを利用する人も増えていく初夏です。
フットケアのスペシャリストたちにとって、忙しくなり始めるのが初夏のこの時期ではないでしょうか。
しかしお客さんが増えるのは喜ばしいことばかりではありません。
それは水虫や皮膚トラブルなど、足や皮膚に何らかの問題を抱えたお客様の数も増えるということです。
そのような場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
今回は皮膚にまつわるトラブル、その対処法などを解説していきます。
既にネイリスト・リフレクソロジストとして活躍されている方、これからネイリスト・リフレクソロジストとして活躍しようと思っている方、
またフットネイル・リフレを受けに行く予定があるけど足に違和感があり不安な方など、参考にしてみてください。
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爪・足裏・皮膚のトラブル
長くネイリストやリフレクソロジストを続けていくと、足の爪・皮膚に疾患を抱えるお客様に出会うこともあります。
すべてのお客様が疾患のある時は施術やご来店を控えていただきたいものですが、本人も気づかなかったり、気づいていても気にせず施術を受けに来るこころないお客様もいらっしゃいます。
では、実際にどのような爪・肌トラブルを抱えたのお客様がご来店されるのでしょうか。
水虫
足裏トラブルといえば『水虫』を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
水虫とは、白癬菌という皮膚の角質に寄生するカビに感染している状態のことです。
角質のある場所であればどこにでも起こりうるのですが、9割が足の裏で感染します。
足の裏は、寝ている間にコップに配分の汗をかくといわれているほど汗をかきやすく、靴や靴下を履いて過ごすことも多いため、蒸れて菌が繁殖しやすい箇所です。
水虫は感染すると潜伏期間が長く、医師でも視診だけでは水虫の判断が難しい皮膚疾患です。
症状はかゆみや小さなブツブツができていたり、足の水かきの部分がジュクジュクしていたり、爪が分厚くもろくなっていたり、かかとがガサガサになっている場合などがあります。
基本的には水虫のお客様は施術をお断りする・患部に触らないというのが基本になります。
ウイルス性のイボ
イボは皮膚の小さな傷口から「ヒトパピローマウイルス」というウイルスが感染してできた皮膚腫瘍です。
ウイルスの種類は100種類以上あり、ウイルスの種類によっても症状が違います。
また体質的なものや免疫力の低下によってできるものもあります。
数mm~1cmほどの大きさのドーナッツ状の真ん中に黒く小さな斑点ができています。
痛みを伴う場合とそうでない場合があり、基本的には皮膚科に行って治療する必要があります。
液体窒素で焼いて治療するため痛みを伴います。
感染力は弱いのですが潜伏期間が長く、治療に時間がかかります。
市販のイボコロリやウオノメ取りを張り続けてもなかなか治りません。
ウイルスが原因なので、施術者が感染する場合もあり、また触ることで周囲に広げてしまうことがあるので、イボは避けて施術する必要があります。
ウオノメ(鶏目)
ウオノメとは、足の裏や親指や小指のフチなどにできやすい、円形の皮膚の固い角質の塊です。
固くなった中央に魚の目のように芯ができるためウオノメ(魚の目)と呼ばれていますが、医学用語では『鶏目(けいがん)』と言います。
ハイヒールを履く機会の多い女性がなりやすいといわれていて、痛みを伴います。
痛みを伴うため、リフレクソロジーを受けるお客様にはほとんどいらっしゃいません。
感染することはないため、フットネイル等の施術を受けることができます。
水いぼ
子供によくみられる、ウイルス性のイボです。
痛みも痒みもありませんが、気になってひっかいてしまいがちです。
しかしウイルス性のイボのため、感染して移ってしまいます。
皮膚科に行って治療を必要とします。
グリーンネイル
爪が緑色に変色する『グリーンネイル』といわれる症状は、腸内細菌の一つ、「緑膿菌」による爪の疾患の一つです。
痛みやかゆみはなく、膿が出ているときは独特の臭いを放つことがあります。
水虫による2次感染や、風邪やストレスなどによって免疫力が下がっているときなどに感染しやすくなります。
グリーンネイルはヒト移ることはほとんどありませんが、免疫力が低下している人に稀に移ることがあります。
グリーンネイルが爪の表面だけで起こっている場合は、何も付けずに爪を清潔にしていれば2週間ほどで自然治癒します。
しかし爪が剥がれてしまったり浮き上がった状態になっている場合には医療機関に受診すべきです。
基本的には感染しないので、リフレクソロジーや足裏のエステなど店舗にもよりますが施術可能な店舗もあります。
しかしジェルやスカルプ・マニキュアなどの施術は菌を繁殖させてしまうためできません。
またオイルを使っての施術もやめておいた方が無難です。
お客様の足裏トラブル、お客様への対応は?
上記のようなお客様に出会ってしまった時、どのように対応すべきなのでしょうか。
確実にウイルス性のイボや水虫の場合、施術者に移ってしまったり、使った道具を介して他のお客様に移ってしまう可能性があるため、施術をお断りするのが基本です。
またネイルサロンでは健康な爪のみに施術をすることができるので、今の状態からさらに症状を悪化させてしまう可能性があるので、お断りします。
またリフレクソロジーやエステなども、炎症が起こっている場合はその個所を触らない、絆創膏を張ってから施術する、手袋を使って施術するなど、自身が感染しない・広げない・悪化させないよう心掛ける必要があります。
基本的に、ご自身で気づかれているお客様は、まずご来店されません。
問題は、ご自身で気づいていない ”炎症を起こしているかもしれないお客様” への対応です。
感染疑いのあるお客様への対応・トーク
ネイリスト・リフレクソロジストやエステティシャンは、お医者様ではありません。
そのため疾患を確認しても、「これは水虫ですね~」「ウイルス性のイボです」と断言するのは病院です。
美容業界の施術者が断定しては絶対にいけません。
もしこのようなお客様がご来店され「どうですか?」と聞かれても
「私には判断できかねます、わかりません。」
としか言えません。
皮膚疾患か疑わしいお客様が来られても、絶対に断定した言葉を使わないようにします。
丁寧にこちらの勝手な都合で施術しないわけではないと伝える
一番適切な伝え方は、規則・規定を理由にすることです。
個人的な勝手な理由でお断りしているわけではない、ということしっかり伝えます。
そして低姿勢で「こちらも施術して差し上げたいが、できない」と丁寧に伝えることです。
例えばネイルサロンの場合、
「お客様の爪が少し変形していて、もしかしたら爪が弱っているなどの爪トラブルがあるかもしれません。
当サロンでは爪にトラブルの可能性のあるお客様は施術できない決まりになっております。
申し訳ございません。」
というように丁寧にお断りします。
決して
「これ水虫かもしれないですね~、なんで今日は施術できないです」
なんて言い方は絶対にNGです。
「どうしてだめなの?」と聞かれたら、
「足の爪は身体全身を支える重要な部位であり、その爪が弱ってしまっては歩くのも苦痛になることもありますので」
と断定せずに「そうなる可能性がある」という言い回しをし、語尾に気を付けます。
悪化するかもしれないと伝えると、大体のお客様は施術を諦めます。
もちろん
「状態がよくなったら、ぜひ施術させてください」
と一言付け加えることも大切です。
またエステティシャンやリフレクソロジストなどの場合、違う箇所への施術提案や、身体が冷えると悪化することが多いので身体を冷やさないようとに伝えるなど、対処療法の提案をすると喜ばれます。
それでも強引なお客様の場合……
前述のようにお客様に伝えても
「私は気にしないし、大丈夫だから施術して」
と言ってこられるお客様もいらっしゃいます。
こういわれた場合、
「当サロンの規定で、爪の変色や剥離・炎症などがみられた場合、施術できないという決まりがありますので、申し訳ございませんが今回はご遠慮ください。」
または
「この状態で施術をしてしまうとさらに悪化してしまう可能性があります。
悪化してしまった場合こちらも責任が取れませんし、足は身体を支える大事な部分ですので、歩行時に痛みが出たり、化膿する場合もあります。
悪化すると回復までに時間もかかりますので、今回は何もせず、様子を見られた方がいいと思います。」
など、規則やマニュアル、取得資格の協会で決まっているなど、理由を付けて断ることも大切です。
このようなお客様に限って「炎症が悪化した」「水虫をうつされた」などとクレームを入れられたり、最悪の場合訴えられてしまっては、どうしようもありません。
自分自身が感染しない、悪化させない、他のお客様のためにも、断る勇気も必要です。
施術中に気付いてしまったら……
お客様からの申告もなく、気付かずに施術を始めてしまった……という場合、どのように対処すべきでしょうか。
ネイリストやリフレクソロジストなど、美容業界の施術者は前述のように、お医者様ではありません。
そのため炎症を断定することもできず、かといって途中で施術をやめる訳にもいきません。
その場合は
●今使っている以上に、できるだけ使う道具を増やさない
●使い捨てのできる道具に変え、施術が終わったらすぐに捨てる
●お客様が使ったスリッパ、施術台などはきちんと消毒する
など、徹底的に衛生管理に努めます。
まとめ
これからの時期、フットネイルはもちろん、リフレクソロジーなどの施術を希望するお客様が増える時期になります。
それに伴い、水虫などの皮膚疾患のあるお客様も増えます。
目の前のお客様に満足していただくことも大切ですが、自分自身やお店の他のお客様、お客様自身のことを考えた行動を、プロとしてとれるようになりたいものです。