終身雇用が崩壊しつつある現在、美容業界においても同じことがいえます。
特に美容師は首都圏を中心に、フリーランスの美容師として働く人が増えてきています。
またフリーランスとして働きながら半正社員として働くことのできる委託業務や、ミラーレンタルとして独立という働き方もあります。
今回は美容師として働くにあたり、フリーランスとして働く美容師と正社員として働く美容師の違いについて解説していきます。
それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
今の職場環境に悩んでいる方は参考にしてみてください。
フリーランスと正社員の違い
美容師として働くにあたり、社員として雇用されているのか、それとも事業主と個人事業主の契約になるのか、という点で大きく働き方が違います。
ブラック業界といわれる美容師の仕事ですが、社員として働く場合は労働時間が会社に決められ、自分の都合に合わせて自由に働くことが難しいのが現状です。
社員・フリーランスの働き始めの違い
フリーランスと社員の美容師、それぞれ新しい職場で働き始めるにあたり、手続きや準備にも違いがあります。
フリーランスで働く場合、個人事業主として働くことになるため、開業手続きが必要です。
税務署に開業届を提出し、個人事業主として働く手続きをしなければなりません。
開業届の手続きは税務署に書類を提出するだけなので難しくはありませんが、健康保険の手続きにも社員とフリーランスでは違いがあります。
フリーランスでも社員でも働き始めるにあたり、てんかん等の健康診断書が必要ですが、社員であれば社会保険の手続きを会社がやってくれるので自分で手続きをする必要はありません
しかしフリーランスの場合は働くサロンの健康保険に加入できないので、国民健康保険に自分で加入する必要があります。
現在の美容師の働き方の傾向
美容業界で働く美容師の離職率は高く、辞めてしまったり他のサロンに転職したりする美容師が多いのが現状です。
主な原因は美容師の給与の問題であり、日本の30代の正社員の平均年収は350万円程度です。
一方30代美容師の平均年収は300万前後であり、一般企業で働くの30代の平均年収と比べると50万円近く収入の差があります。
さらに一般企業に比べて美容師は拘束時間が長い傾向にあり、収入の割に合わないと考える美容師が多くいます。
やりがいや仕事が好き、というだけでは続けるのが難しいというところもあり、給与面での理由も離職率が高い原因と考えられています。
一方でフリーランスとして働く美容師の環境が整えられつつあり、社員からフリーランスの美容師になり収入が増えたという人が多くいます。
中には3倍以上の収入になった美容師もいるようです。
もちろん収入が減ってしまう美容師もいますが、拘束時間に縛られることも少なく、気持ちに余裕をもって生活できるようになったといいう美容師も多く見受けられます。
また面貸し(ミラーレンタル)や業務委託の美容師を募集する企業も増えてきており、社会全体的にフリーランスとして働く美容師の環境が整ってきています。
社員・フリーランスとして働くメリット
社員の美容師・フリーランスの美容師として働く美容師のメリットはそれぞれどのような点があるのでしょうか。
社員のメリット
社員であることの一番のメリットは、福利厚生です。
社会保険に入ることができるため、年末調整や確定申告、保険の申請などすべて会社がやってくれるので手間が省けます。
多くのサロンが固定給+歩合制を取り入れており、体調を崩してしまった時でも固定給は保証されます。
有給休暇や育児休暇などを手厚く保証してくれるサロンも多く、福利厚生のしっかりしている企業であればお得感を感じることが多くあります。
また技術面においても一般的なサロンではアシスタントを雇用しているため、多くのお客様に入客できる機会が増えるのでカットなどのスキルを磨きやすくなります。
また同じサロンで働く仲間がいることも技術のスキルアップにつながったり、同じ環境で頑張る仲間意識が生まれるというメリットもあります。
一般的なサロンでは営業後に他のスタッフと練習する機会が多くあり、研修や勉強会で苦手な施術の克服をしやすくなります。
アシスタントを指導する際も、自分の技術を見直す機会になります。
フリーランスのメリット
一方、フリーランスの美容師は自由度が高いのが特徴です。
勤務時間の自由がきくため、社員であれば休みを取りづらい土日でも休みを取ることが可能です。
ミーティングなどもなく無理な残業も必要がないため、プライベートを充実させやすくなります。
サロンの掛け持ちや、美容師以外の副業をすることも可能なサロンも多くあります。
自由に自身のSNSで集客することも可能な場合が多いのも、メリットの一つです。
また社員の美容師に比べて歩合率が高い場合が多く、歩合率は40~60%ほどのサロンが一般的です。
そのため働いたら働いた分だけ給与を上げることが可能であり、人気の美容師になれば給与が上げやすくなります。
施術面に関してはフリーランスの美容師であれば一人のお客様に対して接客からシャンプー、カットやブローまですべて担当するので一人のお客様とじっくり向き合うことができます。
また働くサロンに馴染めなかったとしても、フリーランスであれば期間契約になっていることが多いため、退職しやすいのもメリットです。
社員・フリーランスとして働くデメリット
ここまでで社員・フリーランスのメリットをそれぞれ紹介してきましたが、デメリットとしてはどのような点が挙げられるのでしょうか。
社員のデメリット
社員であることのデメリットでよくあげられるのが、歩合率の低さと拘束時間の長さです。
一般的なサロンであれば歩合率が平均10~15%程のことがほとんどで、指名とフリーで歩合率が変わらないサロンが多くなっています。
月平均の労働時間が平均で300時間、休日も月6~7日と働く時間や日数が決まっており、土日に休みが取りづらい場合がほとんどです。
また営業前後のミーティングやアシスタントの練習会など、営業時間以外にも拘束されることが多くあります。
また職場に馴染めず退職したいと思っていても、責任感などから辞めづらいという人も多くいます。
価格設定や集客なども自分で決めることができない場合が多く、自由度が少ないというデメリットもあります。
社員を多く抱えるサロンは良くも悪くも価格設定が高く、値段相応の技術を求められるお客様に対してそれ相応の技術の提供ができず、心が折れてしまう美容師も少なからずいます。
フリーランスのデメリット
「フリーランスとして働く一番のデメリットは、保証がないこと」と答える美容師が多くいます。
最低保証がない場合が多く、ケガや病気などで長期間休んでしまったらその分給与が減ってしまいます。
そのため収入が不安定になりがちです。
また確定申告や保険、開業手続きなど自分でしなければならず、手続きの手間がかかります。
自由度は高くなりますが研修や練習会がほとんどないためスキルアップは自分で行う必要があったり、スタイリストランクがなくなるため、指名料は全スタッフ一律という場合がほとんどです。
まとめ
プライベートを充実させたい、事務的な手間があっても指名のお客様が多く給料アップが見込めるならフリーランスという働き方が向いています。
フリーランスは保証がないため、自己管理ができるかどうかも重要になってきます。
一方安定を求めるなら、社員として働くことをオススメします。
家庭を持っている美容師は、家族から社員のままでいてほしいといわれることも多いそうです。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、自身に合った働き方を見つけてみてくださいね!