ネイリストや美容師、エステティシャンなどの美容業界の仕事は、技術力が必要であり、美容業界に就職してからも技術を磨き続けることは必要です。
しかし、技術だけでは美容業界の仕事は務まりません。
なぜなら美容業界の仕事は『技術職』であるとともに『接客能力』も求められるからです。
どんなに技術のある人でも、接客ができなければ売り上げを上げることも、顧客を掴むこともできません。
特に美容業界のお客様は女性のお客様であることが多いものです。
女性は男性よりも繊細で、自身が気づいていないところもよく見ています。
今回は美容業界における接客マナーについて解説していきます。
また苦手な人の多い敬語について、美容業界で働くにあたり最低限押さえておきたい言葉遣いも紹介しています。
これを機に、自身の接客について見直すきっかけにしてもらえればと思います。
接客の基本
美容業界における接客とは、お客様が抱える悩みや要望を受け止め、対応することを指します。
マナーをもってお客様をおもてなしし、お客様に気分よくご来店・施術・お見送りを受けてもらうことが重要です。
接客の技術が高いとここにまた通いたいと思ってもらえるので、リピーターを増やすことにも繋がります。
接客の技術とはコミュニケーション能力とヒアリング力であり、この二つを磨くことでサロンや自身のブランド力、信頼性が高まります。
美容業界における接客力とは、どのようなことが求められるのでしょうか。
笑顔
接客業において笑顔を絶やさないことは基本中の基本です。
自信がサロンへお客様として行った際、担当者が不愛想で無表情だと、リピートしたいとはなかなか思わないはずです。
どんな人でも、笑顔で迎え入れられると嬉しくなるものです。
お客様によい印象を持ってもらうためにも常に笑顔でいることを心掛け、笑顔が苦手な人は練習するのもオススメです。
ヒアリング力・カウンセリング力
お客様がどのような悩みを持っていて、どのような要望があってご来店いただいているのか、しっかりとお客様の話に耳を傾けます。
またその時のお客様の気分や体調、性格なども様々であり、静かに施術を受けるのが好きな人もいれば、美容について情報交換したいと思っているお客様もいます。
コミュニケーションでお客様を楽しませるよりも、コミュニケーションを取りながらお客様の要望や悩みを引き出すことが大切です。
身だしなみ
身だしなみはその人の心や私生活を表すといわれています。
美容業界では直接お客様に触れることも多く、清潔感のない格好のスタッフに施術をお願いしたいと思う人はいません。
「人をキレイにする」のが美容業界で働く人の仕事であり、汚れた服装やボサボサの髪の毛、伸びた爪で施術されてしまうと「このお店は大丈夫だろうか」と心配になってしまいます。
お客様をキレイにするはずの人の身だしなみが整っていなければ、信頼度は下がりサロンやお店の信用も失ってしまいます。
指先まで気を付けて整えるようにします。
またニオイにも注意が必要です。
特にタバコの臭いや口臭など、自分では気づかないところでお客様を不快にさせてしまっていることもあります。
食後や休憩の後は意識的に注意を向けることも必要です。
第一印象
接客業に限らず、初めて会う人には第一印象がとても大切です。
最初の挨拶、立ち振る舞いが出会って10秒で決まってしまい、その印象は10年も続くといわれています。
人は第一印象でその人が信頼できる人なのか、居心地がいいかなどを無意識のうちに判断してしまいます。
お出迎えの第一声は明るく爽やかに、身だしなみと合わせて清潔感のある第一印象を心がけます。
姿勢
これも体臭などと同様、自分では気付きにくい部分ですが、姿勢は意外と見られています。
常に背筋がピンと伸びている人は第一印象も良く、見ていて気持ちがいいものです。
施術によっては常に背筋を伸ばすのは難しいこともありますが、カウンセリングやお客様と面と向かって話す際など、意識のできる範囲で姿勢を整えることが大切です。
お客様との距離感
人はある一定の距離を超えて接せられると不快に感じ、それを「パーソナルスペース」といいます。
これは手を伸ばした距離がそのエリアであり、早々にそのエリアに入ってくると不快に感じてしまいます。
コミュニケーションの取れていない段階で、接近しすぎないように意識をする必要があります。
またお客様の左側でカウンセリングすると、心臓の位置に近く、落ち着くというような見解もあり、カウンセリング時にはお客様の左側にいるようにすると主導権が握りやすくなるとも言われています。
言葉遣い
慣れないうちはとっさに敬語を使うのは難しいかもしれません。
最初は不慣れでも、意識的に仕事で使っていくことで敬語が自然と出てくるようになります。
気を付けたいのが特に美容師。「いきなり馴れ馴れしくため口で喋ってくる」ということを良く聞きます。
馴れ馴れしく喋ってしまう人は注意が必要です。
まずは丁寧にあいさつをするところから始めるのがオススメです。
美容業界のサロンにご来店されるお客様は接客を受けている間、特別に扱ってほしいという心理が働きます。
一方でマニュアル通りになりすぎても機械的と感じられてしまうことがあります。
敬語を使いなれない人は、お客様を接客しているときはその人に向き合うように心がけます。
ハイブランドのアパレル店ほど敬語に気をつかわなくていい場合もありますが、「です・ます」などの丁寧語は心がけたいところです。
お客様の雰囲気や、サロンのブランドなどの雰囲気に合わせて敬語が使い分けれるように、正しく敬語を理解することが大切です。
接客8大用語
接客全般において、朝礼やスタッフの発声練習として使われていることも多い基本の言葉があります。
最低限これらの言葉がつかえるようになれば、自然と普段の接客でも敬語が使えるようになる為、敬語や丁寧な言葉遣いが苦手な人は参考にしてみてください。
いらっしゃいませ
接客業で一番よく使われる言葉です。
初めてご来店されるお客様には、第一印象となる言葉です。
普段よりも明るいトーンで発することを心がけます。
ありがとうございます
「ありがとうございます・ありがとうございました」は普段から使うことが多い言葉です。
接客の際には、言葉だけでなく、感謝の気持ちも込めて発するのが大切です。
かしこまりました
「了解しました・了解です」と言ってしまいがちですが、お客様に何かお願いされた時には「かしこまりました」という返事をします。
おそれいります
日常生活では使う機会の少ない言葉ですが、接客業ではよく使われる言葉です。
お客様に何かお願いするとき、敬意の気持ちと感謝の気持ちを込めるときに使います。
「申し訳ございません」というほどでもなく「恐れ入りますが、○○していただけますか?」というように「すみませんが」という言葉よりも丁寧でワンクッション置く言葉として良く使われます。
失礼いたします
お客様のそばを通るとき、エステなどでお客様のいる部屋へ入る際など、必ず一声かけるようにします。
「すいません、通ります」「入ります」などと言いたくなりますが、「失礼いたします」と1クッション置くだけで丁寧に聞こえます。
申し訳ございません
謝罪をする際、「ごめんなさい」「すみません」というのでは接客業としてはNGです。
お客様に誠意が伝わらず、軽い対応をされたと受け取られてしまい、謝罪が逆効果になることもあります。
目線や声のトーンにも意識し、謝罪の気持ちをしっかりと伝えれば、「誠意がない」という2次災害を防ぐことができます。
少々お待ちくださいませ
施術時間より早く到着されたお客様にお待ちいただく場合や、商品を用意したりする際に使います。
この一言をお伝えするだけで、お客様の気分を害すことなく待つことができます。
おまちください「ませ」という言葉を付けることで、より丁寧で柔らかい言い方にすることができます。
お待たせいたしました
長時間待たせているわけでなくても、この言葉を使うだけでお客様は「気にかけてくれていたんだな」と感じ、待たされたストレスを軽減させることができます。
反対に時間がかかりすぎて長く待たせてしまった場合、「大変お待たせして申し訳ございません」とお客様に時間を取らせてしまったことに対してしっかりと謝罪をします。
まとめ
美容業界の仕事はお客様に見られる仕事です。
接客態度、身だしなみ、言葉遣い、姿勢など、普段から意識していないと、気づかぬところで粗が出てしまい、気づかれていないと思っていてもお客様はスタッフのことをよく見ています。
自分一人で解決できない場合は職場の人に相談してみたり、マナーの本を読んでみるのも一つの方法なので、参考にしてみてください。