年齢と共にシミに悩む女性は多くいます。
肝斑もシミの一種ですが、他のシミと治療法が違うため治療法を間違えるとかえって悪化させてしまうことも……
今回は肝斑について詳しく解説していきます。
肝斑とは何か、他のシミとの違い、できる原因や治療法について詳しく解説していきます。
肝斑とは?
肝斑とは、シミの一種です。
シミはメラニン色素が肌に過剰に蓄積されることによって発生しますが、シミにはいくつか種類があり、老人性色素斑、雀卵斑(そばかす)などがありますが、これらは加齢や紫外線が原因で発生します。
しかし肝斑は紫外線や加齢意外にも、女性ホルモンや摩擦による刺激も原因ではないかとされています。
肝斑は他のシミと見た目が似ていますが性質が違い、治療法が異なります。
肝斑の特徴として、左右対称にほぼ同じ大きさで広範囲に渡り、境目がハッキリしないぼやけた形であるということがあげられます。
頬の高いところ、口ひげのあたり、眉毛上のおでこなどに、地図上にベタっと広がっていることが多いのが特徴です。
一般的にシミと呼ばれるのは『老人性色素斑』であることが多く、老人性色素斑は必ずしも左右対称にできるわけではありません。
老人性色素斑は大きなものから小さなものまで大きさも様々で、輪郭がぼやけておらずはっきりと表れるのが特徴です。
またニキビやかぶれ、火傷などの炎症によっておこるシミは色素沈着であるため、肝斑とは違います。
ニキビなどが直接的な原因でないため、色素沈着とは区別されています。
また鼻の周辺にできるそばかす(雀卵斑)は必ずしも左右対称にできるわけではなく、輪郭がはっきりしており一つひとつが小さいため、肝斑とは異なります。
肝斑の多くは女性に発生し、特に中年の30~40代の女性に多く見られる症状であり、若い女性や閉経後の高齢者にはほとんど見られません。
60代以降で発症することはほどんどなく、60代以降になるとかえって消えることもあります。
また妊娠している人や経口避妊薬(ピル)を使用している場合に多く見られ、閉経後の女性ホルモンを補う治療によってできる事もあります。
肝斑は主に内服薬を用いた治療が主であり、特殊なレーザーを用いる以外の一般的なレーザーが効かなかったり、かえって悪化させてしまう場合もあるので、素人では判断が難しく、医師に診断してもらう方が賢明です。
また人種でいうと、黄色人種であるアジア人にできやすいという報告があります。
肝斑のできる原因
肝斑のできる原因は、今現在まだはっきりとはわかっていません。
しかし肝斑のとなるのは、紫外線、女性ホルモンのバランスの乱れ、ストレス、摩擦などが原因ではないかといわれています。
紫外線
髪の毛や肌の黒色や茶色の色素を構成するメラニン色素は、体内にあるメラノサイトから作られます。
メラニン色素は紫外線から皮膚を守る役割果たしていますが、紫外線を過剰に浴びすぎることによりメラニン色素が過剰に作られ、シミの原因となります。
女性ホルモンのバランスの乱れ
女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンによって色素細胞が活性化するため、メラニン色素の分泌量が増えると考えられています。
そのため妊娠や出産、経口避妊薬(ピル)の使用、ホルモン治療などの女性ホルモンのバランスが変化すると肝斑が発生しやすくなるといわれています。
ストレス
ストレスも、肝斑の発生に関係しています。
ターンオーバーのサイクルが乱れると上手くメラニンが排出されず、シミとして残ってしまうことがあります。
ターンオーバーの乱れを引き起こす一つの原因として、ストレスが考えられます。
また肝斑ができたことによるストレスによって女性ホルモンのバランスが乱れ、さらに肝斑が増えてしまうこともあるので注意が必要です。
肝斑やシミが気になったら余計なストレスを感じて悪化させる前に、美容皮膚科などに相談し、適切な治療を受けることをオススメします。
また精神的ストレスだけでなく、喫煙などの身体にとってストレスとなることも肝斑の増える原因と考えられています。
摩擦
肝斑は摩擦によっても悪化します。
洗顔時のゴシゴシ洗ったり擦ったりすることによる摩擦や、最近では新型コロナウイルスの影響によるマスク生活によって、マスク擦れで肝斑が悪化してしまう人も増えています。
洗顔時に頬の周りを優しく洗うように心掛けたり、家で一人でいるときはなるべくマスクを外すというようにすると、摩擦の軽減になります。
肝斑の治療法
シミと肝斑はどちらも色素沈着によっておこるものですが、老人性色素斑と同じ治療法で知要してしまうなど、治療法を間違えるとかえって悪化させてしまいます。
そのため肝斑の治療にはレーザーではなく、基本的には飲み薬を使用して治療します。
トラネキサム酸の内服薬
肝斑の治療には、トラネキサム酸の内服薬を使用するのが一般的です。
トラネキサム酸はアミノ酸の一種であり、アレルギーや炎症に関わるプラスミンの働きを抑え、止血作用があります。
風邪などの時にも処方される薬であり、のどの痛みなどにも有効です。
肝斑の原因となるメラノサイトを抑制し、色素沈着の抑制にも効果があります。
保険適用外の内服薬ですが、ピルを服用している人や喫煙者は飲み合わせが悪いため、処方してもらえない場合もあります。
また婦人科的な症状でピルを飲んでいる人はそれらの服用をやめることによって改善される場合もあります。
ピルを飲み続けるか、トラネキサム酸を服用するか、慎重に検討するべきです。
トーニング
美容皮膚科でおこなわれる肝斑治療として有効なのが、トーニング治療です。
トーニングはQスイッチレーザーやピコレーザーなどの美容機器でおこないます。
トーニングには肌の色を明るくし、美白に効果的な施術です。
しかしトーニングをやりすぎると肌の色が白くなりすぎてします「白抜け」という症状がおこります。
トーニング治療を漠然と受けるのは、かえって肝斑を悪化させてしまう原因となるため、医師とよく相談したうえでおこなうことが大切です。
トラネキサム酸の導入
内服薬だけでなく、導入器を活用して皮膚に直接トラネキサム酸を導入し浸透させるという方法もあります。
「メソナJ」などの導入器によって導入します。
ハイドロキノン
ハイドロキノンは肝斑治療の外用薬(塗り薬)として昔から使われています。
安全性が高く手頃な価格で手に入れることができ、世界中で愛用されている肝斑の治療薬です。
まとめ
肝斑はシミの一種ですが、女性ホルモンのバランスの乱れが主な原因と考えられる症状です。
左右対称に紫外線の当たりやすい頬の上などにできやすく、他のシミに比べて境目がわかりづらいのが特徴です。
肝斑かどうかの判断が複雑であり老人性色素斑などと治療法が異なるため、他のシミに比べて治療が難しいといわれています。
また治療法を間違うとかえって悪化させてしまうことがあるため、注意が必要です。
肝斑の治療法として内服薬や外用薬、トーニングなどがありますが、肝斑を作らないためにもストレスや紫外線、摩擦に注意しながら、しみができてしまって気になる場合には、早め美容皮膚科などの受診をオススメします。