美容業界で働く人たちは、美容師やネイリスト、エステティシャンや美容部員などの接客業だけにとどまりません。
フリーランスとして美容系ライターを副業としてやっている人や、化粧品会社で広報などの仕事をしている人も、美容業界で働く人といえます。
美容業界で働く接客業の仕事をしている人たちでも業務の一環として、SNSを利用した宣伝を利用している人も多いのではないでしょうか。
これらの美容業界に関わる人たちが気を付けなければならないのが、『薬機法』『特定商取引法』です。
今回は、薬機法について詳しく解説していきます。
特に美容業界で働く広報担当者であれば、薬機法の知識は必ず身につけておく必要があります
また美容業界で働く人に関わらず、自身のブログやアフィリエイター、サプリメントなどのレビューを書く際にも注意が必要です。
薬機法に触れてしまうと、行政指導を受けるだけでなく、課徴金を取られてしまったり、前科がついてしまう可能性もあります。
薬機法とは?
薬事法とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と、厚生労働省のホームページに記載されています。
わかりやすく説明すると、化粧品と医薬部外品、医薬品、医療機器の広告表示について、適切な宣伝をするように定められた法律です。
もともと『薬事法』と呼ばれていた法律が『薬機法』という名称に改められ、一部の内容に修正や追加などがありました。
薬事法は日本の法律であり、違反した場合には行政指導として違法状態の改定と報告書の提出、刑事罰として2~1年以下の懲役、もしくは200~100万円以下の罰金、またはこれらの両方が課せられる場合があります。
また2021年には、課徴金として誇大広告から得られた収益の没収も導入されました。
罰則を受けるのは販売業者や広告会社だけでなく、個人のブログのライターやインフルエンサー、アフィリエイターなどの文章やHPなどを実際に作成した人が逮捕された例もあるため、注意が必要です。
そのため、美容広告に関わる人はしっかりと理解しておくべき法律であるといえます。
薬機法は「知らずに使ってしまった……」というのが一番怖いのです。
共通薬事法
薬機法では、化粧品、医療部外品、医薬品、医療機器で使用できる表現が違います。
また、サプリメント、機能性表示食品・特定保健用食品でも異なります。
例えば、『治る』という表現は医薬品の紹介であれば使用することができますが、その他の化粧品などでは使用することができません。
しかし、薬機法ではこれらの化粧品、医薬部外品、医薬品、医療機器のすべてに共通する気を付けなければならない表現があります。
●効果を保証する表現
●特定職業者の推薦
●最大級の誇張表現
●病気に関しての表記
●二次表現
●批判表現
●過剰・不明確なダイエットを謳う表現
これらの表現については注意が必要です。
ざっくりと解説すると、「身体の変化を表記するのは基本的に違反となる」というのを覚えておくと覚えやすいです。
体験談
意外に思われるかもしれませんが、化粧品などの体験談を記述するのは薬機法違反になります。
「ニキビに効果的な成分の入っている○○という化粧水を使いだし、3か月後にはニキビが改善されました!」というのをホームページに上げるのはNGです。
使用前後の写真を載せるのも違反です。
認められているのは ”その時の使用感” のみです。
例えば「滑らかなテクスチャーで、伸びもよくベタつきません」という表現はセーフですが、「次の日もしっとり感が続きました」という表現は、その時の効果ではないので薬機法に引っかかります。
効果を保証する表現
「必ず治る」「改善する」という、効果を保証するような表現も薬機法では認められていません。
以外と思われるかもしれませんが「赤ちゃんにも使える」「敏感肌にも使用できる」という表現もNGです。
特定職業者の推薦
お医者さんや美容師さんが効果を認めている商品であれば商品効果の説得力が上がりますが、これも薬機法違反となります。
「お医者さんが勧めるサプリメント」「美容師イチオシのシャンプー」なども表記することができません。
記事を書いている本人が医師や美容師であっても、認められません。
その他にも、学校、公務所、病院などの記載もNGです。
また、「特許」「厚生労働省許可」「推薦」「公認」「指定」などの誤解を与える表現であるため、使用することができません。
一方で、美容師や医師、病院などのイラストを入れることは可能ですが、イラストが商品を説明することはできません。
最大級の誇張表現
商品についての過大評価も、薬機法に引っ掛かります。
例えば、「乾燥肌にすぐ効く!」などの誇張表現です。
単語としては、「最高」「最大」「絶対」「世界一」「日本初」「画期的」「すごい」「強い」などの最大級の表現をすることはできません。
ちなみに、「100%」という表現については、事実にのみついて使用が許可されています。
「着色料100%不使用」という表現は可能ですが、タイトルに使用することはできません。
病気に関しての表記
病気に関しての表記にも、注意が必要です。
「がん予防に効果的!」などの表現をすることができません。
がん以外にも、「糖尿病」「高血圧」「胃潰瘍」「心臓病」「緑内障」などの表記もNGです。
しかし、「血圧が気になる」「血圧が高めの人」という表記は可能です。
ちなみに「130超えると血圧が高めといわれますが」という表現は使用することができます。
二次表現
化粧品や医薬部外品でよく使われる表現が「○○だから、■■です。」という、二次表現です。
例えば「この化粧水で肌を潤すことができるため、ターンオーバーが正常化します。」などの表現です。
化粧水で「肌を潤すこと」と「ターンオーバーが正常化する」ことは必ずしも関係があるわけではないため、使用することができません。
批判表現
他の商品を批判するような表現も、薬機法に引っかかります。
「今までの化粧品で効果を感じなかった人でも、この商品で効果を感じることができます」というような表現です。
この表現は広告している商品以外のものをすべて卑下する表現であり、使用することができません。
ただし、自社商品の同じ成分の商品や、過去の同じ商品との比較は可能です。
過剰・不明確なダイエットを謳う表現
SNSなどで、「カロリー控えめ」などの表現をよく見かけることも多いと思いますが、実はこれは薬機法に違反します。
具体的なカロリー数を明記する必要があり、「糖分を抑えた」などの表現をすることもできません。
「たったこれだけ」「わずか○○だけで」などというような、過剰なダイエット効果を煽るような表現も不可能です。
まとめ
今回は薬機法について、特に化粧品、医薬部外品、医療品に関係なく、表現に気を付けなければならない共通薬事法について詳しく解説しました。
薬事法は日本の法律で定められた決まりであり、知らなかったからでは済まされません。
広告会社や販売業者だけでなく、記事を投稿した人本人が罰せられる場合もあるため、SNSの利用にも気を付けることが大切です。