多くの美容業界の中で、なってみたいと思われるのがネイリストという職業です。
美容師やアイリストのように国家資格が必要ではないため、異業種からの転職者が意外と多いのがネイリストです。
しかしネイリストとして働くにあたり、必ずしも資格が必要ではないのでスクールや金額、実際に働くにあたっての基準が明確にされてないためネイリストとして一歩を踏み出せない人がいるのも事実です。
今回はネイリストとはどんな仕事なのか、どんな資格があるのかについてまとめました。
ネイリストとして働きたい人は参考にしてみてください。
ネイリストの仕事とは
ネイリストの仕事は、お客様の指先を整え、爪を健康に美しくするのが仕事です。
もちろんカラーリングやアートデザインももちろんそうですが、基本はネイルケアをするのがネイリストの役割です。
不健康な詰めに対するケアやアドバイス、本来の健康な詰めを取り戻すサポートを行います。
お客様の爪に関する悩み「爪の形が悪い」「爪が欠けている」などの悩みにも応えなければならないため、ネイリストはネイル製品の科学的知識や衛生学を理解している必要があります。
主な施術内容
施術の内容は以下のようなものがあります。
この他にも
巻き爪矯正(陥入爪の緩和)や深爪矯正(爪噛み癖を治す補助)
などを行っているところもあります。
ネイリストはジェルアートや3Dアートなどネイル業界は次々と新しいものが作り出されており、日々進化しています。
新しいトレンドの理解や技術の習得を常に求められる仕事です。
またお客様の会話からその人の好みの色やテイスト、ライフスタイルを聞き出し、的確なアドバイスやデザイン提案をおこなう必要があります。
コミュニケーション能力、洞察力が求められる仕事です。
ちなみに、ネイリストとは特定非営利活動法人(NPO)の日本ネイリスト協会(JNA)が発案した言葉です。
世界的には「マニキュアリスト」または公的資格保有者として「ネイルテクニシャン」と呼ばれます。
さらに足の爪のみに特化した施術をおこなう「ペディキュアリスト」と呼ばれる職業があります。
「ネイリスト」という言葉は一部の東南アジア・東アジアでしか通用せず、英語圏ではまれにしか使用されません。
ネイリストになるには
需要の高いネイリストですが、そもそもネイリストになるのに資格は必要なのでしょうか?
ネイリストは美容師やアイリストと違い、民間の資格はありますが、国家資格はありません。
つまり、「私は今日からネイリストです」と名乗ってしまえば技術も経験も知識もなくても誰でもなれてしまうのです。
しかし、技術も知識も経験もないネイリストに、お金を払って施術をしてもらおうと誰も思いません。
ネイリストとして働くには技術や知識が必要なので、腕の確かなネイリストになる必要があります。
そのため民間の資格を取る人も多くいます。
ネイリストとしての働き方は主に
2、その他のサロン(美容室、エステサロン、ブライダルなど)で働く
3、独立開業、フリーランスとして働く
4、ネイルスクールや高齢者施設で働く
というものが挙げられます。
ネイルサロンで働く
ネイリストの勤務先として一番多いのがネイルサロンです。
ネイルサロンといってもチェーン展開している大きなサロンから、個人でやっている小さなサロンまで規模はさまざまです。
繁華街や住宅街など、サロンの所在地によってもターゲットとする客層も違いがでてきます。
例えば住宅街にあるネイルサロンはターゲットが主婦であることが多いので、勤務時間は朝から夕方までというところが多いです。
逆にオフィス街や繁華街は主婦や学生、OLなど客層が幅広くあるため、営業時間が長いのが特徴です。
このような職場で働くネイリストは早番・遅番の交代制になることも多いです。
上品なお店、モダンなお店など、サロンごとに雰囲気が違い、求められるスキルや接客もそれぞれ違います。
高級路線で富裕層をターゲットとしたサロンでは、内装がゴージャスで一人ひとりの単価が高く、より一層ていねいな接客が求められます。
一方カジュアル路線で学生などをターゲットにしたネイルサロンであれば、単価を低くして回転率を上げることが必要なので、ネイリストにはスピーディーな施術をすることが求められます。
ネイルサロンで勤務したいと思うなら自分のカラーや強みを発揮できるサロンを選ぶようにするのがいいでしょう。
チェーン店で働く場合、店舗間の移動があることもあります。
マニュアルを完備している所が多く、未経験のネイリストでも働きやすい環境といえます。
また企業によっては産前後休暇やボーナスを支給しているところもあります。
個人店の場合には顧客に対して担当のネイリストが付くこともあり、お客様に対してより親密な接客をすることが可能になります。
チェーン店に対して研修制度が少なく、ベテランネイリストが在籍する傾向にあります。
福利厚生などは経営者の意向に依存するところが多く、チェーン店に劣ることが多くあります。
その他のネイルサロンで働く
最近ではヘアケアや痩身エステ、まつエクなど、トータルビューティーを売りにしているサロンも増えています。
ネイリストの中にはこのようなトータルビューティーサロンで、ネイル担当として働く人もいます。
特に多いのが美容室に併設されたネイルサロンです。
ヘア施術の進行を見ながらネイルの施術を進めていく必要があり、手の空いた時間にはほかの業務をこなすこともあります。
美容室で働くネイリストには美容師との連携も求められます。
美容師免許を取得するため、美容専門学校に通いながらネイリストとして美容室で働く人もいます。
トータルビューティーサロンでは、ご来店されたお客様と会話するためネイルの知識だけに限らず幅広い美容の知識が必要になる勤務先です。
また結婚式場に併設されたネイルサロンもあり、結婚式を控えた新婦に対して施術をするネイリストもいます。
一生に一度の結婚式を華やかにするため、高い接客技術、華やかなネイル施術の技術が求められる職場です。
独立開業、フリーランスとして働く
自宅や仕事用のテナントを借り、自分のネイルサロンを開くネイリストもいます。
ネイルサロンの開業資金はエステサロンや美容室に比べると比較的少額で済み、広いスペースも必要がないことから開業がしやすいです。
自宅や仕事用テナントを借りるほかに、美容室の一角を間借りし、契約に応じた賃料を払い、初期投資を抑えることもできます。
ネイルサロンで経験を積んだベテランネイリストに多い働き方です。
時間に融通が利き、年収がアップする可能性がある反面、高い接客技術や施術力だけでなく、集客力や経営力が必要となる働き方です。
集客が一番の課題となり、リピーターがつかめない場合店舗を維持できず、閉業せざるをえなくなります。
家賃、電気代、材料の仕入れなど、必要経費を意識する必要があり、ネイリストの素質だけでなく、経営者としての素質が必要です。
技術としては、店長クラスの技術力が求められることがほとんどです。
またフリーランスのネイリストとなり複数の店舗でネイリストとして働いたり、芸能人の専属のネイリストになる人もいます。
メディア撮影、イベントなど呼ばれて出張することもあります。
自由度が高く、独立するよりもリスクが少ないので、自分の技術を発揮できる働き方といえます。
副業として自作したネイルチップをインターネットで販売するなど、フリーランスとしての働き方はさまざまです。
ネイルスクール講師や高齢者施設で働く
ネイル業界で培った技術や知識、経験を後世に伝えるため、ネイルスクールの講師として働く人もいます。
ネイルスクールの講師として働くには必須資格ではありませんが、JNA認定講師資格を応募条件とするスクールも多いため、取得しておく必要があります。
ネイルスクール講師としてネイルの技術だけでなく、接客技術なども生徒に伝えるため、ネイリストとしての豊富な経験が求められます。
またわかりやすく伝える技術や生徒との適性や苦手な技術を見抜く観察力も求められます。
ネイル業界に貢献するやりがいを感じながら、生徒を育てて現場に送り出す喜びが味わえる仕事です。
ネイルサロンやトータルビューティーサロンで働くよりも福利厚生がしっかりしており、年収が高い傾向にあります。
また土日が休みというネイルサロンも多く、家庭や育児と両立を希望するネイリストにとっては魅力的な勤務先であるといえるでしょう。
また最近ではネイルをすることによって生活にメリハリが生まれ、認知症予防につながるということから、高齢者施設で福祉ネイルサービスをおこなうネイリストも増えてきています。
ネイリストの資格
前述のように、ネイリストには日本では国家資格が存在せず、学歴や資格がなくてもネイリストとして働くことができます。
ネイリストの中には異業種から未経験でネイルサロンに就職し、働きながら技術を身に着ける人もいます。
しかし、即戦力を重視するネイル業界において検定資格を持っていることはより待遇の良いサロンで就職したり、お客様に施術をする上での安心や信頼につながります。
資格を持っておくことで有利に働くのはいうまでもありません。
ネイリストは日々技術を磨く必要があるため、自分に甘んじることなく資格取得に努力することが必要です。
JNA主催の検定
日本ネイリスト協会(JNA)は『ネイリスト』という職業の名付け親です。
日本における健全なネイル産業の発展を目的とし、水準を満たした教育機関やサロンをJNAの認定専門学校、認定サロンと定めています。
厳しい基準を満たしたスクールやサロンはカリキュラム、設備、衛生管理において優れているため、ネイリストの希望就職先や、お客様がお店を選ぶ基準となりえます。
JNEC日本ネイリスト技能検定
日本でネイルの資格を取るにあたって、一番最初に取る資格が『JNEC日本ネイリスト技能検定』です。
どんなにネイルの技術があっても、必ず3級から取得することが条件で、3級→2級→1級とランクアップして取得することができます。
3級は主にネイルの基礎知識として衛生管理や爪の構造や肌の知識から学び、ネイルケア、ネイルカラーの塗り方、ネイルアートの基本を技術、知識とともに学びます。
2級ではサロンワークで通用するネイルケアやリペア、チップやラップ、アートに関する知識お技術を学びます。
1級はトップレベルのネイリストとして通用する総合的な知識や技術を学びます。
JNECネイリスト技能検定は国内で最も歴史があり、知名度のある資格です。
JNAジェルネイル技能検定試験
JNAが主催するジェルネイル技能検定は健全なジェルネイルの普及を目的とした検定試験です。
毎年6月と12月の年2回主催されています。
ネイル検定の中でもジェルネイルに特化した検定になっています。
ジェルネイルはネイルのメニューの中で半数を占める人気のメニューで、プロのネイリストなら必須の資格といっても過言ではありません。
JNAジェルネイル技能検定は初級、中級、上級と分かれてます。
〇中級…基礎知識の学科試験とカラーリング、スカルプチュアなどの技術試験を実施。サロンワークで求められる専門知識と技術を評価。
〇上級…85分の実技試験でジェルネイルとスカルプチュアの技術を評価。
JNA認定講師資格試験
ネイル講師になるにあたって、必須としているスクールが多い『JNA認定講師資格試験』があります。
受験に際してネイリスト検定1級に合格し、合格認定日から1年以上経過し、プロのネイリストとして経験があることなど、一定の受験資格が定められています。
そのほかJNAでは
などがあります。
INA主催のネイル検定
INAとはNPO法人のインターナショナルネイルアソシエーションの略式名称です。
INAは産業としてのネイルの技術の認知や発展を目的に1999年に設立された機構です。
もともと任意団体でしたが2005年に活動の幅を広げようとNPO法人に移行しました。
海外ライセンスも多くあり、海外ライセンスの代表的なものではアメリカのカリフォルニア州・ハワイ州・ニューヨーク州などそれぞれに政府認定の国家ライセンスがあります。
これは政府指定の学校を卒業する必要があり、現地の学校に留学して受験するプログラムが一般的です。
ですが日本で海外ライセンスを取得できるスクールもあります。
国際的に活躍するネイリストになりたい人は、こちらを目指します。
INAでは2種類の検定試験を行っています。
INAネイルスペシャリスト技能検定試験
INAネイルスペシャリスト技能検定はネイルの正しい知識と技術の普及を目的に、サロンワークで役立つ資格として知られています。
Aはネイル知識についての筆記試験、ネイルケアとカラーリングの実技試験おこなわれます。
SAはネイル知識に関するマークシート問題と85分間のネイルケアとカラーリングの実技試験で構成されています。
プロのネイル知識を問うマークシートと実技試験を実施しています。
60点以上でddA級、70点以上でAA級、80点以上でAAA級となります。
INAジェルネイル技能検定試験
INAジェルネイル技能検定はジェルネイルの正しい知識と技術をきちんと習得しているかどうかを判断する検定です。
サロンワークに役立つ資格であり、年に4回実施されており、合格のチャンスは多くなっています。
3級…クリアコーティングやカラーコーティングをメインに実技試験をおこないます。
2級…3級の実技試験に加え、チップオーバーレイを含めた実技試験。85分のテーブルセッティングから審査まで行います。
1級…スカルプチュアとフレンチカラーコーティングをメインとした実技試験です。100分以内に1~2本の爪に施術、審査をします。
まとめ
今回はネイリストになる方法と、ネイリストの資格についてでした。
〇ネイリストになるには国家資格は必要なく誰でもなれる、が技術や知識が必要。
〇ネイリストの代表的な資格は「JNA主催の検定」と「INA主催の検定」がある。
〇ネイリストとして働くにはサロンに勤務、フリーランス、ネイル講師などさまざまな働き方がある。
ネイリストを目指している方は参考にしてみてくださいね。