百貨店や化粧品売り場で化粧品のプロモーション、販売をする美容部員。どの化粧品を購入するか迷ったときに相談に乗ってもらった、丁寧に対応してもらったという方も多いのではないでしょうか。
化粧品に囲まれて働きたい、大好きな美容や化粧品にたずさわる仕事をしたい、憧れのブランドで働きたいという方がもっともチャレンジしやすいのは美容部員です。
資格も必要なく、未経験から応募できるブランドもたくさんあります。
チャレンジしやすい一方で美容部員は年収が低いともいわれています。
今回は実際にどれくらいの年収を得られるのか、なぜ年収が低いと言われているのか、年収をアップする方法はあるのかについて解説します。
雇用形態別の美容部員の年収は?
まずは全国の平均年収を見てみましょう。
- 20代の平均年収は287.5万円
- 30代の平均年収は314.5万円
- 40代の平均年収は316万円
- 50代の平均年収は310万円
です。いずれも国税庁平成30年分民間給料実態統計調査による女性の年収を参考にしています。
こちらを踏まえて、下記の雇用形態別の美容部員の年収を比較してみてください。
また、今回ご紹介する美容部員の年収はあくまでも一例です。ブランドやメーカー、地域によっても大きく違いがありますので注意してください。
正社員の美容部員の年収
美容部員の中でももっとも多く年収を得られるのは正社員です。
正社員の場合、未経験、高卒から働き始めると年収は180万円から。経験者や実績を積みキャリアアップを重ねると300万円以上の年収を確保できます。
20代の年収は250万円から300万円未満程度になるケースが多いようです。
正社員には毎月の月収にプラスして賞与が出るケースも多いです。この賞与で年収が大幅に変動します。賞与は固定されている場合と、その年の売り上げによって変動する場合があります。事前にその会社の賞よについては確認しておく必要があります。
また、国内の化粧品メーカーより外資系ブランドの正社員の方が年収は高くなる傾向にあります。
契約社員の美容部員の年収
契約社員の年収は200万円以上、月収は18万円程度が相場です。
美容部員の雇用形態の中でもとくに多いのが契約社員です。美容部員は離職率が高いため契約期間が定められている契約社員は非常に需要があります。
契約社員は時給で働く場合と固定給の場合があります。時給の場合は働けばそれだけ収入を確保できますが、休んでしまうと収入が下がるというデメリットがあります。
一方で固定給であっても働いた年数に応じての昇給はなく、賞与も出ないことがほとんどです。
一定の契約期間を過ぎると正社員として雇用されるケースも多いため、ゆくゆくは正社員として働きたい場合は正社員登用の有無についても確認しましょう。
派遣社員の美容部員の年収
美容部員の派遣社員の年収は230万円前後、月収は19万円前後です。
派遣社員は化粧品メーカーやブランドに雇用されるのではなく、派遣会社に雇用されて化粧品を販売する店舗で働きます。
場合は時給制で、1200円から1400円程度と設定されていることが多いです。この時給は経験によって、また働く地域によって大きく上下します。
時給制ですので働く日数や時間が少なければこれ以下の年収になりますし、多ければより多くの年収を得られます。
派遣社員は昇給、賞与がないため、なかなか年収アップを見込むことができません。
アルバイトの美容部員の年収
アルバイトの美容部員の年収は230万円程度です。
派遣社員と同じくらい時給が高いので、気軽に働きたいという方にはおすすめの働き方でもあります。しかし上記の年収はフルタイムでしっかり働いた場合のみ。
家事のすき間時間、土日のみなど自由な働き方ができる一方、その分年収は下がります。
雇用も不安定で、望む時間帯に必ずシフトに入れるわけでもありません。
また、賞与、昇給もないため、アルバイトは長く続けられる働き方ではないでしょう。
美容部員の年収が他業種より低い理由
美容部員の年収は、一般的な業種の平均年収と比較すると低めです。
なぜ美容部員の年収が低いのか、その3つの理由を詳しく解説します。
正社員登用が少ない
まず美容部員は正社員登用が少ないです。
美容部員の多くは若い女性で、結婚、出産を機に離職してしまう可能性が高く、せっかく正社員として雇用しても無駄になってしまう可能性が高いためです。
求人をチェックしても契約社員や派遣での求人が多く、昇給の見込みが低くなってしまいます。そのため年齢を重ねても年収がアップしにくかったり、もともと低い収入の働き方しかできません。
仕事内容に収入が比例しない
美容部員の仕事は非常にハードです。
一日中立ちっぱなしでいる必要があり、単純に体力が必要です。また、多くの人と関わり、デリケートな肌、化粧品を扱うため、精神的にも気力が必要です。
人気の化粧品や新商品の販売、営業をしなければならず、ノルマが精神的ストレスとなる可能性も。店舗の経営方針や人間関係が合わない可能性もあります。
肉体的にも精神的にもハードな仕事ですが、その仕事内容に収入が比例しないと感じる方も多いです。よりハードでも収入が高い仕事、また同じくらいの収入でもっと楽な仕事はたくさんあります。
キャリアアップを狙いにくい
美容部員の仕事はキャリアアップを狙いにくいです。
係長、課長、部長…と昇進すればそれに応じて年収もアップしますが、美容部員の場合は化粧品を売ることのみが仕事のため役職が少ないです。
チーフやマネージャー、店長になれば年収アップも狙えますが長く働き続けにくい職種でもあります。
美容部員として長く働きたい、キャリアアップを狙いたいという場合はその化粧品メーカー、ブランドの美容部員の役職、評価制度をきちんと確認しておく必要があります。
収入以外にもある!美容部員で得られること
美容部員は他の職種よりも年収が低いですが、年収が高い仕事であればそれだけでいいという方は少ないでしょう。長く働き続けるためには仕事にはやりがいが必要です。
美容部員の仕事につくことで得られるやりがいについて考えてみましょう。
お客様に喜んでもらえる
美容部員はお客様との距離が非常に近いです。化粧品とお客様を直接つなぐ仕事でもあり、いかに化粧品の魅力を伝えられるか、お客様の悩みを解決するお手伝いができるかが重要です。
接客をしてお客様に喜んでもらえたときに大きなやりがいを感じられます。中には「この美容部員に接客してほしい」と指名をしてくれるお客様もいます。
マニュアル通りの接客ではなく、お客様一人ひとりに応じた接客方法を考える、臨機応変な対応をする、購入してくれたお客様を覚えておくなどの高い接客スキルが必要です。
美容や化粧品の知識が身につく
美容部員として店頭に立つのは、そのブランドの顔となるという意味でもあります。
ブランドの名に恥じぬよう、取り扱う化粧品についての知識をしっかり学ぶ、最新の美容情報をチェックすることが大切です。
仕事のために学びながら美容や化粧品の知識を身に着けることができ、自身にも還元できます。もともと美容や化粧品について関心が高い方はもちろん、そうでなくても自然と美容に気をつけた生活を送ることもできるでしょう。
ノルマの達成感を得られる
美容部員にはノルマが課せられていることも多いです。
個人にノルマがあるケースと店舗ごとにノルマが定められているケースがあります。このノルマを達成することにやりがいを感じる方も多いです。
販売スキルや接客スキルが高い方、お客様と話すのが好きな方、さらに他人と競うことでモチベーションがアップするという方には美容部員はおすすめの仕事です。
美容部員の年収をアップさせる方法5つ
美容部員は年収は低いですが、年収をアップさせる方法がないわけではありません。
現状に満足していない、美容部員の仕事は続けたいけど年収を上げたいという方はぜひこれらの方法も検討してみてください。
賞与のある正社員を目指す
現在派遣社員や契約社員として美容部員をしている方は正社員登用を目指しましょう。
仕事内容は同じでも、正社員になることで月収がアップすることが多いです。場合によっては時給で働いていたころよりも月収が下がることもありますが、賞与が出るため年収で見れば収入はアップします。
また、働いた年数や役職がつくことで収入アップも目指せます。
化粧品メーカーやブランドの中には美容部員のキャリアアップを応援しているところも多く、資格を取得する、研修を受けることで収入がアップするというケースもあります。
大手の化粧品ブランドに転職する
現在の年収に納得していないものの美容部員の仕事は続けたいという場合、転職という選択肢もあります。
その場合は大手の化粧品ブランドに転職先を絞るようにしましょう。
大手は給料が高めに設定されていることが多く、役職につくための評価制度もしっかり整っており、収入アップに役立ちます。
また、美容部員の経験者であれば未経験でスタートするよりも高い収入を確保できるケースが多いです。賞与も高い化粧品ブランドであれば、満足のいく年収を確保できるでしょう。
国内の化粧品ブランドよりも外資系ブランドの方が高い給料を提示していることが多いですが、その分人気も高く経験値によっては思うように転職活動を進められない可能性も高いです。
妥協できるライン、譲れないラインをしっかり決めて転職活動をおこなうようにしましょう。
福利厚生がしっかりしている化粧品ブランドに就職する
美容部員として転職を考える際、年収の高さだけを見ていると失敗する可能性があります。
その分残業が多い、ノルマが厳しい、賞与が少ないなどの可能性も視野に入れておかなければなりません。
転職をする際はその会社の福利厚生も確認しておきましょう。
賞与についてはもちろん、昇給制度について、残業時間、さらに産休や育休など、年間休日日数も要チェックです。
すべてに満足できる職場は見つけにくいですが、今以上長く働けない、出産したあとも美容部員として働きたいなど、自身のライフスタイルと合わせて転職先を考えましょう。
インセンティブのある化粧品ブランドに就職する
ノルマがある場合、達成することでインセンティブを支払ってくれる化粧品ブランドも多いです。
ノルマに応じてなのか、一つ売り上げるごとに歩合制で支払われるのかなどは化粧品ブランドによっても違いがありますので事前に確認しておきましょう。
接客、販売、営業などのスキルに自信がある方は、このようなインセンティブで収入に差をつけることができます。
スキルを認められれば役職もアップし、さらなる年収アップにつなげられるでしょう。
ですがインセンティブは繁忙期や新商品の登場によっても大きく上下します。安定して高い収入が欲しい方には不向きの考え方です。
美容部員に関わるキャリアチェンジを考える
どうしても美容部員として働きたいというわけではない、でも美容や化粧品にたずさわる仕事がしたいという場合は、美容部員に関わるキャリアチェンジを考えてみることもおすすめです。
例えば美容部員としてスキルを磨き、育成スタッフや研修スタッフとして働く、人事部で働くなどの方法があります。
また、美容部員としてではなくメイクアップアーティストとして働く方法もあります。そのブランド専属のメイクアップアーティストを募集しているケースもあります。
接客やメイクのスペシャリストとして道を究めなければ難しいキャリアチェンジではありますが、自信があるという方にはおすすめです。資格を取得すればこれらのキャリアチェンジに役立てられます。
美容部員のキャリアアップに役立つ資格
美容部員としてキャリアアップするためには資格を取得するのもおすすめの方法です。資格を取得することで昇給を望める化粧品ブランドもありますが、転職の際にも資格は貴重なアピールポイントになります。
資格取得に向けて勉強をすることで美容部員としてのスキルアップも目指せますので、ぜひこれらの資格をチェックしてみてください。
日本化粧品検定
日本化粧品検定協会が定める日本化粧品検定は3級から1級まであります。
化粧品やスキンケアの基礎知識はもちろん、科学的に化粧品の成分を分析する方法や肌に関する知識も学ぶことができます。
化粧品への理解を深めることで自社の化粧品についてもより詳しく説得力のある説明ができるようになり、売り上げアップにつなげることができるでしょう。
3級は無料で、web上で受験できるため、まずは力試しに受験してみてもいいでしょう。厳しい受験資格もなく、美容部員や美容業界にたずさわっていなくても受験できます。
化粧品成分検定
化粧品成分検定協会が認定する化粧品成分検定は、化粧品に含まれる成分をより詳しく理解するための資格です。
肌に優しい成分、反対に肌に悪影響な成分、肌質によって合わない可能性がある成分、またそれぞれの成分の配合などを理解していくことができます。
自社で取り扱う化粧品をより深く理解するために、化粧品成分検定はおおいに役立ちます。お客様に聞かれたことにしっかり答えられるようになる、肌質に応じたおすすめの化粧品を紹介できるなど、この資格を受験するために学んだことは仕事に還元しやすいです。
日本化粧品検定と比較するとマイナーな資格ではありますが、キャリアアップのために取得しておいて損はないでしょう。
日本メイクアップ知識検定
一般社団法人JMAが認定する日本メイクアップ知識検定はメイク、スキンケア、化粧品など美容に関する知識を身に着けられる資格です。
ベーシックとアドバンスがありますが、アドバンスを受験するにはベーシックを取得しなければなりません。
それぞれに受験料がかかり、別途勉強しなければならないという手間がかかります。
しかしアドバンスでは皮膚の構造やメイクの修正方法なども学ぶことができ、美容部員として働く上でおおいに役立てられます。
年収をアップさせて美容部員として長く働こう
美容部員は他の業種と比較しても年収が低くなりがちです。
しかし反面、美容や化粧品にたずさわることができる、お客様の喜ぶ顔が見られるなど魅力的な仕事でもあります。
現在美容部員として働いているものの将来が不安、美容部員として働いてみたいけどキャリアアップに不安がある、という方は、美容部員の年収や年収をアップさせる方法をチェックしておきましょう。
転職する、正社員として働く、福利厚生も確認するなどの方法で高い年収を期待することも可能です。
美容部員としてのキャリアアップのためにご紹介したような資格の取得にチャレンジしてみるのもおすすめ。
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