美容師になろうと思うと、国家資格である『美容師免許』が必要です。
美容師免許を取るためには、厚生労働省が認定する美容専門学校に2~3年通う必要があります。
この美容師免許ですが、更新の必要はあるのでしょうか?
今回はこの美容師免許について詳しく解説していくと共に、美容師に纏わる資格についてもきます。
美容師になるなら絶対必要!基本の美容師免許について
美容師になるには美容専門学校を出て国家資格の美容師免許を取得する必要があります。
しかし美容師免許を取るのに年齢制限はなく、中学校を卒業していて美容専門学校さえ通って卒業すれば国家資格を受けることができます。
なかには高校を卒業せず美容室で働きながら学校に通い、美容師免許取得を取得する人もいます。
美容師になるのに高校卒業は必須ではありませんが、多くの美容室は高校卒業を以上を条件にしているところが多いので高校は卒業しておいたほうがよいでしょう。
美容師試験の受験資格
厚生労働省が認める美容専門学校を卒業したのち、国家資格の美容師免許の受験資格が与えられます。
美容専門学校には『昼間課程』『夜間課程』『通信課程』の3種類があります。
昼間課程は昼間の時間帯に授業を受けて美容師免許取得を目指します。
2年間で学校を卒業することができます。
夜間課程は主に19時~23時に授業をおこなう夜間の専門学校です。
昼間と同じく、2年で卒業できます。
夜間に授業をおこなうので、働きながら通っている人が多いのが特徴です。
一方通信課程は卒業までに3年かかります。
自由に勉強でき、通信制でレポートなどを提出するため自分で勉強する必要があります。
実習もないので技術が身につきにくく、自立心がない人はさぼりがちになってしまうのがデメリットです。
美容師試験は厚生労働省が指定した財団法人理容師美容師試験研修センターにより実施されています。
研修センターが定めた学校や施設で年に2回試験が行われ、学科は3月と9月の2回、実技は1月と8月の2回行われています。
美容師免許国家試験の合格率は毎年50~80%と毎年大きく違いますが、きちんと学校で授業を受けて真面目に勉強していれば大体受かるので、あまり難しい試験ではありません。
美容師・理容師免許の国家資格の受験料は、技術と筆記試験の両方受験する場合は25000円です。
美容師・理容師国家試験に合格した場合、免許申請に名簿登録免許税が9000円、手数料5200円と医師の診断書が必要になります。
学科試験
学科試験は
関係法規・制度と運営管理の問題が10問、
公衆衛生・環境衛生から5問、感染症から5問、衛生管理技術(消毒法)から5問の衛生管理から全15問、
人体の構造及び機能から5問、皮膚科学から5問の保健に関する問題が10問、
香粧品化学から5問、
文化論、理容または美容技術理論から15問の合計55問です。
合格基準は55問中の60%以上の正解率で無得点の項目がないことが合格条件になります。
筆記試験の内容は美容師国家試験も理容師国家試験もあまり変わりません。
技術試験『衛生管理』
実技試験は、美容・理容の業務を安全で衛生的におこなえる技術と能力をはかる試験です。
実技試験は「美容・理容の基本的技術」と「衛生上の取り扱い」の二つの試験を受けることになります。
美容師・理容師の目的が日本において「公衆衛生の向上」であり基礎的な技術とともに衛生面の管理の審査が行われます。
具体的には美容師・理容師の身だしなみ、道具の手入れ、手指の消毒、用具の取り扱いまで厳しい審査が行われます。
基本的技術が合格であっても衛生管理の技術の減点で試験に落ちてしまう事があるのです。
衛生上の取り扱いの実技試験における減点が20~30点以下で合格です。
減点の上限が実施回や年度によって変わるので、注意が必要です。
技術試験『基本的技術』
1999年まで理容師の国家試験は人工ウイッグではなく、本物の男性に実際に刈り上げやシェービングの国家試験が行われていました。
基礎刈・仕上げ刈が20分、セニングカット5分のカッティング試験が計25分
シェービング及び顔面処置が15分
頭髪5分の45分間で構成されています。
「理容の基本技術」は減点が40点以下で合格となります。
「美容の基本的技術」はカッティングとセッティングで構成されてます。
カッティングは20分間で設定された条件のもと、髪の毛のカットをおこないます。
セッティングは20~25分間で設定された条件の髪型のセットをおこないます。
セッティングはオールウェーブセッティングかワインディングのどちらかが出題されます。
毎回受験手続の時に発表されます。
カッティングの減点が40点以下で、セッティングの減点が50点以下で合格できます。
基本的技術と衛生上の取り扱いがどちらも合格点を満たして実技試験は合格となります。
実技試験は、理容師と美容師で試験課題が異なります。
理容師と美容師で業務内容が違うため基礎的技術が異なります。
また歴史的発展が理容と美容で異なる発展を遂げていることも大きく影響しています。
理容師の実技試験は一定の技術に普遍性があるため大きな変更はありませんが美容師の技術試験は時代の移り変わりとともに10年程度で内容が変更されます。
2001年まではカッティングは技術試験の範囲ではなく、ローラー・カール・セッティングという試験課題でした。
カッティングも実施当初はグラデーションボブというスタイルで試験が行われていましたが、現在はレイヤースタイルと呼ばれるものが課題です。
パーマの技術であるロッドと呼ばれるプラスティック製の筒の棒を髪の毛に巻き付けるワインディングという課題では60本以上のロッドを頭のラインに沿って巻き付けるオールパーパスというスタイルからデザイン性の含まれるロッド数50~55本までのCラインと呼ばれるスタイルに変更されています。
美容師の基礎技術の試験は時代の流れに沿って年々変化しているのです。
美容師免許の申請に必要なもの
国家試験に晴れて合格!
しかし免許の申請には手続きをしなければいけません。
美容師免許の申請に必要な書類は免許申請書、住民票、合格証書、医師の診断書が必要です。
これらの書類を『理容師美容師試験研修センター』に簡易書留で郵送して申請します。
免許申請書
申請書類は「理容師美容師試験研修センター」公式サイトからダウンロードすることが可能です。
記入例を参考に記入します。
住民票
本人確認のための書類です。
本籍地記載の住民票だけでなく個人事項証明書のいずれかがあれば大丈夫です。
しかし発行から6か月以内のものに限ります。
美容師試験合格証書
美容師試験の合格証書も必要です。
なくしてしまった場合でも試験センターで再発行してもらうことが可能です。
慌てずに試験センターの免許係に問い合わせてみてください。
なぜ医師の診断書が必要なの?
美容師・理容師の国家試験に合格しても、免許の取得には別途手続きが必要です。
美容師・理容師は刃物を扱い、お客様の肌や髪など直接身体に触れるため、心身ともに健康であると証明が必要です。
そのため免許を申請するには必要書類のほかに病院の診断書が必要になります。
診断書はどこの病院でも発行してもらうことができ、「美容師・理容師免許取得のため」といっておくとスムーズにもらうことができます。
診断書は3000~5000円程度で取得できます。
3か月以内に取ったものと規定があるので注意してください。
これらは郵送でなくても研修センターに持参することも可能です。
美容師免許は更新が必要?再発行や更新について
美容師免許は美容師試験に合格していつまでに発行しなければならないという決まりはありません。
本籍地の変更や結婚などによって名字の変更があった場合は更新手続きが必要で理容師美容師試験研修センターでは30日以内におこなわなければならないと定められていますが、何年たっても更新してもらえるそうです。
婚姻等で本籍または氏名が変わった場合は、理容師法及び美容師法で30日以内に手続きを行わなければならない定められています。
引用:公益財団法人理容師美容師試験研修センター | Q&A | Q&A(よくある質問と回答)
本籍地の変更や名字の変更があった場合、『名簿訂正・免許証書換え申請』をすることで変更できます。
免許証書換え交付申請書、戸籍妙本、旧免許証、収入印紙1000円分、3750円の受領証いを簡易書留で郵送すれば申請できます。
更新には2~4週間程度かかります。
気をつけなければいけないのは、書類に不備があったとしても連絡もなくそのまま放置されます……
1か月以上たっても新しい免許証が届かないようならこちらから試験研修センターに問い合わせてみましょう。
ところで、美容師免許を使うタイミングとはいつなのでしょうか?
美容師免許は運転免許証のように持ち運べるサイズのものではなく、卒業証書と同じ大きさです。
使う機会も少なく携帯する習慣もありません。
美容師免許証が必要な場合とは
などの時です。
その他美容師にまつわる資格
美容師になるには国家資格である美容師免許が必要ですが、ここではその他美容師が持っておくと便利な資格を紹介していきます。
管理美容師
管理美容師は多くの美容室で必要とされる資格です。
将来的に美容師として独立する際に必要になる資格です。
美容師一人だけで営業する場合は別ですが、
「美容師法 第12条の3」によると
第12条の3 美容師である従業者の数が常時2人以上である美容所の開設者は、当該美容所(当該美容所における美容の業務を含む。)を衛生的に管理させるため、美容所ごとに、管理者(以下「管理美容師」という。)を置かなければならない。ただし、美容所の開設者が第2項の規定により管理美容師となることができる者であるときは、その者が自ら主として管理する一の美容所について管理美容師となることを妨げない。
2 管理美容師は、美容師の免許を受けた後3年以上美容の業務に従事し、かつ、厚生労働大臣の定める基準に従い都道府県知事が指定した講習会の課程を修了した者でなければならない。
と定められています。
管理美容師は美容師免許を受けたのち3年以上美容師として美容事業に従事し、講習に参加しなければなりません。
都道府県により差はありますが、講習は年に2回開催され、3日間受講するのが一般的です。
福祉美容師
NPO法人 日本理美容福祉協会が証明する『福祉理美容師』という資格があります。
国家試験に合格した理容師、美容師を対象に、外出が困難な高齢者や障害者を対象に出張美容が安全にできるということを証明した資格です。
これまでの理美容師としての経験や知識・技術に加え高齢者や障害者など身体の不自由な方への正しい介護知識を身に着けたスペシャリストです。
超高齢社会が進む日本にとってこれからニーズが高まる分野であり、受講者も増えることが予想されます。
福祉美容師として介護施設や自宅に出張する人も増えつつあり、注目を集めている資格です。
養成講座ご案内|NPO法人 日本理美容福祉協会 出張・訪問理美容
着付け技能士
「着付け技能士」は国家資格です。
着付けをするために国家資格は必要ではありませんが、持っていると美容師として有利に働くのは間違いないです。
成人式や卒業シーズンなど、着付けをおこなうところもあり、着付けができると手当てが支給されるところもあります。
着付け技能士はレベルに応じて1級と2級があります。
“技能士”とは技能検定に合格した人のみに与えられる「国家資格」であり、この資格に合格していないのに“技能士”と名乗った場合には法律により罰せられます。
ビューティ・コーディデーター
サロン施術者とお客様をつなぐ架け橋となる『ビューティ・コーディネーター』は NPO法人 日本ビューティ・コーディネーター協会(JBCA)の資格です。
美容の知識、カウンセリング力、物販、顧客管理やマネッジメンとなど幅広く美容について学びます。
3~1級があり、3級は美容師免許がなくてもアシスタントや専門学生、受付などでも受験することは可能です。
2級は3級合格者、または美容師免許を持っていて美容サロンで働いている人が受けることができます。
1級はビューティ・コーディデーター2級を有する人のみが受けることができ、合格率は15~20%となっています。
番外編~美容師免許がなくても美容室で働ける?~
美容師免許がないと美容室で働くことができないのでしょうか?
例えば美容室の掃除や受付、電話対応や事務作業、レセプション(受付)などは美容師免許がなくても働くことは可能です。
また美容室とネイルサロンがくっついたトータルビューティーサロンで働くネイリストなども美容師免許を持っていない人が多いものです。
しかし美容室で働くにあたり、美容師免許を持っている人しかできない業務もあります。
美容師法によりカットやカラー、シャンプーやパーマは美容師免許を持たない限りできません。
(無免許営業の禁止)
第六条 美容師でなければ、美容を業としてはならない。
しかし実際現場では美容専門学校に通いながら働く学生は、美容師免許を持たずにアシスタント業務として簡単なシャンプーやブローなどは任されていたりすることもあります。
本来美容の施術ができるのは美容師免許を持った人のみとなっており、線引きが曖昧なお店もあるようです。
履歴書に運転免許やなど書くときに「正式名称 ”普通自動車免許 取得” で記入しましょう」といわれることは多いものです。
しかし履歴書に記載の場合 “美容師免許” とだけ書けばよいのでしょうか?
実際に悩んで『財団法人 理容師美容師試験研修センター』に問い合わせた人によると「 ”美容師免許 取得” で大丈夫です」と言われたそうです。履歴書に書く際は『美容師免許 取得』と書きます。
まとめ
美容師免許についての知識は深まったでしょうか?
●美容師免許は美容専門学校を卒業し、国家試験に合格した人のみが受けることができる国家資格である
●美容師試験は記述と実技があり、年2回行われる
●合格率は80%前後であり、真面目に授業を受け勉強すれば受かる
●更新は本籍地が変わるか結婚等で名字が変わった場合30日以内にとあるが、期限を過ぎても更新できる
●紛失、破損しても再発行が可能なので慌てずに「理容師美容師試験研修センター」で再発行手続きを
●美容師免許以外に「管理美容師」「着付け技能士」など、いっしょに持っていると便利な資格もある
美容師を目指す方や更新について気になる方は参考にしてみてください。