お客様の悩みに寄り添い、美しさや癒しを提供するのがエステティシャンの仕事です。今回はそんなエステティシャンについて、その仕事内容や職種、就職先をご紹介いたします。
エステティシャンは実際の施術以外にも仕事が多く、身につけなければならない技術もさまざまです。
自分にはどんな職種が向いているのか、どんな働き方をして、どんなやりがいを見つけたいのかを考えてみましょう。
エステティシャンの一日の仕事内容
まずはエステティシャンの一日の仕事内容を順番に解説していきます。開店準備から閉店後の作業まで、エステティシャンはどんな一日を過ごしているのかチェックしてみましょう。
開店準備・ミーティング
シフト制のサロンが多いですが、朝番の場合はまず開店準備からスタートします。
サロン内の清掃や必要な備品の準備、施術の準備などをおこないます。予約の確認も重要で、お客様一人ひとりに合わせたセッティングを進めていきます。
また、朝にミーティングをするサロンも多いです。一日の流れの確認、連絡事項、担当の振り分けなどを全員で共有します。
SNSの更新なども、開店前の余裕のある時間におこないます。
カウンセリング
初めてのお客様にはカウンセリングをおこないます。メニューやコースが豊富にあるサロンでは、お客様がどうなりたいのか、サロンになにを求めているのかを丁寧に聞き取ります。
カウンセリングはサロンが用意したシートに書き込むことが多く、このシートはカルテとしてその後情報の共有のために活用します。
メニューやコースの提案を始め、どのような日常生活を送ればいいのかなどのアドバイスもおこないます。
サロンが推奨するコースや高額なコースを無理におすすめするのではなく、お客様に最適なコースを一緒に考えていくカウンセリング力が必要です。
施術
実際の施術はエステティシャンの最大の仕事です。フェイシャル、ボディ、脱毛など、メニュー、コース通りの施術を進めていきます。
基本的にマニュアル通りの施術をしますが、お客様の年齢や体質、肌質、体調に応じて臨機応変な対応が必要なこともあります。
お客様がリラックスできる時間と技術を提供し、喜びの声をいただける一番やりがいを感じるシーンです。反対にクレームにもつながりやすいですので、細心の注意を払わなければなりません。
カウンセリングや施術は一人のお客様あたり1時間から2時間程度が目安。その他の雑務も含めると、1日あたり3人程度のお客様を担当することになります。
営業・販売
施術後は次回の予約やサロンで販売している化粧品や美容グッズの営業、販売をおこないます。
サロンによってはノルマがあることもありますが、無理な営業はかえってお客様の負担、ストレスになってしまいます。
その化粧品や美容グッズを使うことでどんなメリットがあるのか、実際の使い心地などもふまえって、使ってみたい!と思わせる営業方法を研究しましょう。
アフターケア
エステティシャンの仕事は施術をしたら終わりではありません。コースによっては何度も通う必要があり、コース完了後もどんな変化があったか、お肌や体に異変はないかを確認します。
DMを送る、メールを送るなど、来店していないお客様のケアも大切です。
別のエステティシャンへの引き継ぎが必要な場合は、サロンのマニュアルに沿った引き継ぎをおこないます。
閉店作業・ミーティング
サロンの閉店後も閉店作業があります。
施術で使用したタオルなどの洗濯、サロン内の清掃、備品の補充、消毒、機器の点検など、細かな作業がたくさんあります。在庫管理や仕入れ作業を任されることも。
閉店後にメニュー内容やお客様の対応についてミーティングをしたり、SNSを更新したり、売り上げ管理をおこなうサロンもあります。
エステティシャンの勤務時間や休日
エステティシャンの勤務時間や休日はサロンによっても違いますが、実際に働く前には非常に気になる点でもあります。
朝から夜まで営業しているサロンや仕事終わりの時間帯にのみ営業しているサロン、予約が入っているときのみ営業するサロンなど、時代の流れに応じてさまざまな勤務形態のサロンが増えています。
求人に応募する際は勤務形態についてもよく確認しておきましょう。
エステティシャンは一般的にはどんな勤務形態で働いているのか、一例をご紹介いたします。
シフト制のサロンが多い
サロンの多くは正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトを含め、シフト制を採用しているところが多いです。
朝番、中番、夜番があり、朝番は開店準備、夜番は閉店作業を担当します。中番は施術の予約が多い時間帯に入れられます。とくに土日などに出勤が増えます。営業時間が短いサロンの場合はフルタイムでの勤務となります。
また、指名のシステムがあるサロンで働いている場合は指名された日には出勤しなければなりません。指名手当、休日出勤手当が出るサロンもあります。
土日は休みにくいサロンが多い
休日に癒されたい、体やお肌のケアをしたいと考えるお客様が多いため、土日出勤がマストのサロンは多いです。
シフトは希望制であっても土日のどちらかに入らなければならない、事前に店長の許可を得なければならないことも。
ですが、オフィス街にあるサロンは土日を休日としているケースもあります。土日に休みたい方は、求人情報で休日についても確認しましょう。休みの取りやすさは面接時に聞くことも忘れずに。
週に何日休めるのか、休みやシフトは固定制なのかどうかもチェックしておきましょう。
人気のエステティシャンの職種3つ
エステティシャンと一口にいっても、その職種はたくさんあります。一つのメニューに特化しているサロン、総合的に施術をおこなうサロン、より専門性の高いサロンなど、サロンによっても必要な技術は違います。
自分が持っている資格、知識、経験から、どのサロンで働きたいのかを考えてみましょう。
フェイシャルエステ
乾燥、たるみ、くすみ、毛穴汚れ、肌荒れなどの悩みに応えるのがフェイシャルエステです。お顔の施術に特化しており、マッサージはもちろんパックや専用の機器を導入した施術をおこないます。
お顔の施術は効果が見えやすく、一度きりで施術が完了するメニューもたくさんあります。
お客様の悩み、肌質に合うプランを提案し、より効果を実感してもらうためにさまざまな技術を身につけなければなりません。
ボディケアエステ
足、腕、背中、お腹などをマッサージするのがボディエステです。痩身目的だけでなく日々の疲れを癒したいと考えているお客様も多く、痛くない程度の力加減、肌質に合った機器選び、体だけでなく心の疲れも癒すアロマオイル選びなどが必要なこともあります。
ボディエステはエステティシャンの仕事の中でもとくに体力が必要な仕事です。実技や研修でしっかり学ぶ必要もあります。
脱毛エステ
エステティシャンは美容脱毛をおこなうことができます。専用の脱毛マシンを用い、指定された脱毛箇所にあてて施術していきます。
脱毛エステを専門にしているサロンは多く、しっかりと脱毛に関する知識、技術を身に着けられます。もちろん他のエステメニューと一緒に脱毛メニューも用意してあるサロンもありますが、専門性の高さやスタッフの技術の高さ、メニューの豊富さなどから専門店は人気が高いです。
脱毛は事前のカウンセリングや術後のトリートメントも重要で、肌に合わない機器を使われた、脱毛の効果がなかったなどお客様とのトラブルが起こりやすい職種でもあります。
エステティシャンの就職先
エステティシャンの就職先はエステサロンだけではありません。美容に関心を持つ方が性別、年齢関係なく増えてきている昨今、エステティシャンの需要はさまざまなところにあります。
就職先によってお客様がエステティシャンに求めるものも変わってきますので、求人に応募する前には自分に合うかよく確認しておく必要があります。
エステサロン
エステティシャンの就職先としてもっとも一般的なのがエステサロンです。
大手が経営するチェーン店から、個人の小規模なサロンまでエステサロンの形はさまざまです。
大手の場合はマニュアルがしっかり出来上がっており、場合によっては転勤もあります。マネージャー、店長と昇格していくこともできるので、モチベーションを維持しやすいです。
反対に余裕をもった接客ができない、ノルマが厳しいなどの理由でリタイアしてしまう方も多いです。
小規模なエステサロンの場合は一人ひとりに合った丁寧な施術ができます。お客様とおしゃべりしたり、施術以外の時間でも良好な関係を築けたり、コミュニケーションが取れます。
一方で経営が傾けば仕事を失う可能性がある、経営者と働き方の考え方が違うと続けにくいといったデメリットもあります。
化粧品メーカー
化粧品メーカーに就職し、化粧品の販売ブースや販売店で施術を行うエステティシャンもいます。
基礎化粧品、スキンケアの開発、販売に力を入れている化粧品メーカーではエステティシャンを採用することも多いです。
好きな化粧品メーカー、憧れの化粧品メーカーの社員になれるという点で人気の就職先でもあります。
施術も大切ですが、メーカーの化粧品を使うことでどんなメリットがあるか、どんな組み合わせがおすすめか、新商品は既存の商品となにが違うのかなどを説明し、販売する技術も求められます。
エステティシャンとしての仕事だけでなく美容部員的な仕事内容のことも多いです。
宿泊施設
ホテルや温泉施設、リゾート施設で働くエステティシャンもいます。ホテルに宿泊した際にエステを受けられるサービスを見かけたことがある方も多いでしょう。
エステサロンと違う点は、このような宿泊施設での施術は一回限りという点です。
エステサロンの場合はコース契約を結び何度も同じお客様の対応をすることになりますが、宿泊施設の場合はそのとき泊まりに来たお客様が癒しや美容を求めて利用するのみ。
指名されるなどの喜びは得られませんが、一度でしっかり効果を出したい、いろいろなお客様に接したいという方におすすめです。
独立・開業
サロンで経験を積み、エステティシャンとして独立、開業をするエステティシャンも多いです。
テナントを借りて個人の店舗を作る、フランチャイズ店の店長になる、自宅の一室やアパートの一室を借りてサロンを開業する、お客様の自宅まで出張するなど、方法も多様化しています。
小さいスペースでもベッドがあれば施術できるので、飲食店などよりは開業のハードルは低いです。
独立して個人でエステサロンを開業すれば、自分のやりたい施術ができる、自分のペースで働けるといったメリットもあります。
しかしエステサロンは大手も個人店もたくさんあり、その中で顧客を勝ち取るのは非常に難しいです。人脈やこれまで施術してきたお客様からの口コミを最大限に活用しなければなりません。
自分に合うエステの職種の見つけ方
エステティシャンの職種は日々多様化しており、サロン選びは重要です。自分が持っているスキルを重視することも大切ですが、どんな働き方がしたいか、将来どうなっていたいかを見据えて職種を選びましょう。
自分に合う職種を探す際におさえておきたいポイントを解説します。
興味のある職種
まずは自分がどんな職種に興味があるのかを考えてみましょう。
お肌を綺麗にしたい、美容に特化した施術をしたい場合は、ボディケアや脱毛よりもフェイシャルに特化した職種が向いています。
美容機器に興味があるなら、手技をメインにしたエステよりも最新機器での施術ができるエステが向いています。
お客様に喜んでもらうためには、自分も楽しみながら、積極的に学びながら働くことが大切です。自信を持ってお客様にサービスを提供できるような職種選びをしましょう。
経験や知識のある職種
経験や知識がある場合は、それを活かせる職種がおすすめです。転職の際にもいきなり別の職種に転職するよりは、すでに知識や経験がある方が即戦力として重宝されます。
美容部員として働いていたのならその知識をエステティシャンでも活用できますし、営業や販売で働いていたのならお客様との円滑なコミュニケーションに活かせます。
これまでの経験をエステティシャンとしてどう活かせるのか考えておけば、求人応募や面接の際にもしっかりアピールできます。
自分の性格に合った職種
その職種が自分の性格に合っているのかも考えてみましょう。
すぐに結果を出したいのであればスピード施術が人気のハンドトリートメントなどが向いています。
じっくり向き合うことができるのであれば、脱毛や痩身など、何回も通うコースが多い職種が向いています。
サロンによっても、落ち着いた雰囲気のサロン、賑やかな雰囲気のサロン、年齢層が高めのお客様が多いサロンなどさまざまな特徴があります。明るくおしゃべりしながら施術したいのか、お客様にゆったりとした時間を過ごしてほしいのか、また自分は常にそのテンションを維持できるのかなども考えるべき項目です。
将来性のある職種
エステサロンにはさまざまな形態がありますが、長くエステティシャンとして働きたいのなら将来性のある職種を選ぶことは大切です。
日本では高齢化が問題になっていますが、今後もその傾向は続くとみられています。そのため、アンチエイジングに特化した職種や高齢者向けの職種などは需要が高まっていく可能性が高いです。老人ホームに出張するサロンなども増えてきています。
一方で、SNSの影響により小学生でも脱毛に興味を持つような時代でもあります。キッズ向けのエステサロンもあり、子どもの繊細な肌をケアする職種の需要も高くなっていくことでしょう。
その職種に将来性はあるのか、長くその職種を続けられるのかについても今一度考えてみましょう。
キャリアアップを期待できる職種
エステティシャンとしての経験を積む上でキャリアアップができるかは重要なポイントです。
大手のエステサロンでは丁寧な研修をしてくれるところも多いですが、その研修内容は偏っていないか、常に新しい情報を取り入れているか、転職の際にも役立つのかを考えてみましょう。
エステティシャンは施術以外にも接客のマナーが非常に重要になります。丁寧なマナー研修や接客、営業の研修があるサロン、職種に就職すれば、美容部員やビューティーアドバイザー、マナー講師など、さまざまな分野への転職も可能です。
また、その職種に特化したスペシャリストになりたい場合は、トータルケアができるサロンよりも一つのメニューに絞ったサロンで働くこともおすすめです。
エステティシャンとしての働き方を見つけよう
エステティシャンの仕事内容や職種勤務形態などについて解説しました。
エステティシャンの中でもさまざまな職種があり、なにが得意か、なにに興味があるかはひとそれぞれです。自分に最適な職種を見つけることで、長く楽しみながら働き続けられます。
今後、エステティシャンの働き方はさらに多様化していくことが予想されます。専門的な知識を身に着けるだけでなく、将来性がありキャリアアップを狙える職種に就職、転職することも必要になってくるでしょう。