コロナ自粛期間が長引いたことにより、美容クリニックで施術を受ける人が増加しました。
なぜこの時期に美容クリニックを利用する人が増えたのでしょうか?
それは自粛期間やリモートワークの促進により、人に会う機会が減ったため整形手術やレーザーをしたのがバレにくく、ダウンタイムを家で過ごすことができるのも患者さんが増えた理由といわれています。
また近年は美容クリニックの数は増加傾向にあり、それにともなって美容クリニックで働く看護師の求人の数も多くなっています。
今回は美容クリニックで働く看護師の仕事について、メリットやデメリット、役立つ資格やスキルについて取り上げていきます。
美容クリニックとは
美容クリニックとは美容医療を専門に扱う医療機関のことです。
病気やけがを治す目的で運営している他の病院とは異なり、機能的に問題はなくても見た目をキレイにしたいという人が多く訪れる病院です。
美容クリニックには大きく分けて2種類あり、『美容整形外科』と『美容皮膚科』があります。
美容整形外科
美容整形外科ではメスを使った豊胸手術や脂肪吸引、二重瞼の手術などをおこないます。
クリニックによってはレーザー治療や脱毛をおこなっているところもあります。
メスを使って外科手術をし大規模なオペになる可能性もあり、入院施設も完備されているところは夜勤や残業が発生するところも多いです。
手術介助の経験を活かせるのは、美容皮膚科に勤務するよりも美容整形外科に勤務するほうが活かせるでしょう。
美容皮膚科
一方、美容皮膚科はオペをおこなうことはなく、レーザー治療やヒアルロン酸の注入など、注射や点滴のスキルがあれば勤務することができます。
オペをおこなうことが少ないので、残業や夜勤も比較的少ないことが多いのが特徴です。
レーザー脱毛などは看護師がおこなうことが多く、「自分が担当している」という使命感や責任感が芽生えるそうです。
美容クリニックにおける看護師の仕事内容
美容クリニックでの看護師の仕事内容は一般病院の勤務とは少し異なります。
一般の病院は病気やケガをした『患者さん』が来るのに対し、美容クリニックは高額の費用をかけてきれいになりたい『お客様』が来るので少し一般の病院勤務と雰囲気が異なります。
カウンセリング
クリニックで施術を考えているお客様へのカウンセリングも看護師の仕事の一部です。
どのような悩みを抱えているのか、どんな風になりたいのかを中心に要望を聞き取っていきます。
カウンセリングは受付スタッフがおこなう場合や、カウンセラーが別で勤務しているクリニックもあるので、勤務先によっては看護師の仕事ではない場合もあります。
医療行為
美容外科の看護師はドクターの外科的手術のサポートをおこないます。
そのほか手術を終えたお客様の手術介助やレーザーなどの医療機器の操作もします。
執刀医のサポート以外にも医療機器の滅菌やセッティングなどの外科手術の準備や手術後のアフターケアも看護師が担当します。
受付・院内清掃
受付を別で雇っていないクリニックでは、受付や電話対応・院内清掃なども看護師の仕事となる場合があります。
営業
施術をしに来られたお客様やカウンセリングに来られたお客様に対して、ドクターズコスメや新たな施術の提案をしたりすることもあります。
特に美容整形外科では営業ノルマがあるところもあるようです。
個人にノルマがかけられるところもあれば、院全体でノルマがあるクリニックもあり、インセンティブ制度を取り入れているクリニックであれば営業成績によって報酬がもらえるので、営業が得意な人にとっては働きやすい職場といえます。
美容クリニックのメリット・デメリット
美容クリニックの看護師として働くメリット
美容クリニックで働くメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは美容クリニックで働くメリットについてあげていきます。
夜勤が少ない
ほとんどのクリニックが入院施設がないので夜勤がなく、日勤のみの場合がほとんどです。
また診療は予約診療のクリニックが多いので急にお客さんが増えることもまずないので、繁忙期以外は残業も少ないのが特徴です。
ただし美容整形外科の骨を削るなどの外科手術をおこなうクリニックの場合は入院施設があり、夜勤が発生する場合があります。
高収入
美容クリニックの診療は自由診療であり、診察料も自由に決めれるので利益率が良く、看護師の給与も高い傾向にあります。
夜勤がなくても月収が30~45万円と高めです。
また売り上げ目標を達成するとインセンティブが発生するクリニックもあり、業績によって月収が大幅に上がることも期待できます。
精神的負担が少ない
基本的に命にかかわる重篤な患者さんが来ることはありません。
一般病棟の看護師は自分の処置が人の命にかかわるため、大きなプレッシャーを抱えながら勤務することになります。
一方美容クリニックでは美容医療の提供になるので、手術介助や点滴・注射はミスのないようにしなければいけませんが、精神的負担が少なくなってほっとしている看護師もいるようです。
社割価格で購入・施術ができる
従業員は最新の美容機器を無料や格安で施術を受けることができるクリニックがほとんどです。
高額なドクターズコスメを社割価格で購入できるなど、美意識の高い看護師さんにとっては嬉しい特典です。
また病棟の看護師から美容クリニックの看護師に転職してから実際に美意識が上がったという人もいます。
ブランクからの復帰がしやすい
美容クリニックでは高度な技術や医療知識よりも、接客マナーや美容への関心が求められます。
そのためブランクがあっても復帰しやすいといわれています。
病棟の看護師として働いていて出産や結婚を期に離職していた看護師が美容クリニックの看護師として復帰するというのも珍しくありません。
美容クリニックの看護師として働くデメリット
美容クリニックの看護師は高収入・高待遇ですが、デメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。
スキルアップが難しい
美容クリニックの看護師は一般の病棟と異なる施術をおこなうため、看護師としてのスキルが低下する可能性があります。
また美容クリニックでの勤務期間は臨床経験年数としてカウントされないことが多く、再び病院で働きたい場合に転職が難しい場合もあります。
一般の病院での再就職を考えている場合は臨床経験をしっかり積んでから転職することをオススメします。
看護師としてのスキルを身につけたい人は、一般の病院で働いた方がいいといえます。
土日祝日が休めない
美容クリニックの利用者は休日に施術を受ける人が多いので、土日祝日に休むことが難しくなります。
また土日祝日の方が忙しいため、残業が発生する場合もあります。
ゴールデンウィークやお盆休みなど、一般的な長期休暇は美容クリニックにとって繁忙期となるため、休みを取れない可能性が高いです。
土日祝日に休みたい場合は美容クリニックではなく一般的なクリニックの勤務をオススメします。
営業ノルマがある
一部の美容クリニックでは営業ノルマが課せられるクリニックもあります。
営業が苦手な人は精神的にストレスを抱えてしまうかもしれません。
営業ノルマが厳しいと、スタッフの余裕がなくなり、職場の雰囲気が悪く働きにくい場合もあります。
美容皮膚科であればノルマのないところが多く、美容整形外科は営業ノルマのあるところが多いのが特徴です。
また個人に営業ノルマを課せる場合や、クリニック全体でノルマを課せるところとあり、美容クリニックに転職を考えている人は事前にしっかり確認しておくことが必要です。
中には営業ノルマがないと謳っていても実際に営業目標を達成しなければならないような雰囲気のクリニックもあるようです。
お客様の要求にこたえなければならない
美容クリニックに来るお客さんはコンプレックスを抱えていたり、美意識の高い人が来院します。
そのため美容クリニックではレベルの高い接客やサービスが必要です。
カウンセリングや術後のケアで対応や処置が不十分の場合、クレームにつながります。
また、クレーム対応も業務の一部です。
美容クリニックで求められるスキル
美容クリニックで働く看護師に求められるスキルとはどのようなことがあるのでしょうか。
美容クリニックの求人条件に、看護師免許以外の必須資格が挙げられていない場合がほとんどです。
しかし美容クリニックで働くにあたり転職に有利な資格や業務に生かせるスキルは多くあります。
高い接遇スキル
美容クリニックはサービスを提供する場であり、高い接遇スキルを求められるのが特徴です。
一般の病院で看護師が対応するのは患者さんですが、美容クリニックで対応するのは『お客様』です。
そのため接客の要素が強くなります。
また高い施術料を払って施術を受けるのが富裕層がメインのクリニックも多いため、細かい気配り・気遣いができることも必要です。
手術の介助経験
美容外科の場合、外科的手術の介助業務が中心となるため、手術の介助経験があれば活かすことができます。
また美容皮膚科・美容外科いずれの場合も点滴や注射・採血のスキルは求められるので、手技が衰えないように注意が必要です。
美容の知識
美容に関心があり、積極的に美容の知識を身につけたいと考えている看護師さんは美容クリニックで活躍できるといえます。
大手クリニックでは毎月のように新しい美容機材や商品が入ってくるため、常に美容について学習する姿勢が求められます。
またお客様との会話の中で美容に関する質問をされることも多く、信頼される看護師になるためにも美容の知識を身につけておくことが大切です。
美容クリニックの看護師は若くないとダメ?容姿端麗でないとダメ?
お客様も美容クリニックで働く人も美意識の高い人たちばかりですが、美容クリニックで働く場合、採用条件に容姿は含まれるのでしょうか。
実際美容クリニックのホームページには、スタッフ紹介の欄に若くてきれいな看護師の顔が並んでいることも多いです。
このような写真を見て美容クリニックの採用基準に容姿や年齢が含まれると思っている人も多いものです。
しかし実際のところ、ほとんどの美容クリニックでは看護師の採用に関して容姿や年齢を重視しているところは少ないようです。
美容クリニックを実際に見てみると、20~50代と幅広い年齢層の看護師が活躍しています。
美容クリニックは若い看護師しか働けないイメージがありますが、点滴や注射の手技の正確さや手術介助、一般病棟での経験を求められる美容クリニックでは経験豊富な30代・40代の看護師が多い理由もわかります。
また美容クリニックの患者様は、加齢に悩みを持った50代60代の人も多く訪れます。
同じ悩みを共有しあえる近い世代の看護師のほうが、お客様のニーズを応じる能力が高く、安心感を与えることができるため、ベテラン看護師を積極的に採用している美容クリニックもあります。
そのため美容クリニックで働くにあたり容姿や年齢はそれほど問われないことが多いようです。
美容クリニックで看護師として働くにあたり、年齢や容姿よりも清潔感と美意識の高さの方が重要です。
また美容クリニックによっては、採用基準に喫煙者という条件だしているクリニックもあります。
肌に悪いという理由で、たばこを吸う行為そのものが美意識の低さだと評価されるためです。
これらのことからわかるように、美容クリニックで働く看護師には年齢・容姿はあまり重要視されず、清潔感と美意識の高さのほうが重要視されます。
看護師免許+役立つ資格
美容クリニックで働く看護師は看護師免許以外にも仕事に役立つ資格を取得している人が多くいます。
看護師免許は必須ですが、そのほかにあると優遇される資格について紹介していきます。
エステティシャンなどの美容系資格
美容クリニックの看護師に人気があるのはやはり理・美容師、福祉理美容師やエステティシャンなどの美容系資格です。
今は通信講座などもあり、受講料も安く忙しい仕事の合間に取得できるものもあるので挑戦してみるのもいいかもしれません。
中でもエステティシャンの資格取得に至らなくても、講座を受けている、勉強中であるというだけで採用に有利です。
エステティシャンの資格取得の講座ではトリートメントの手技だけでなく、皮膚の知識やベッドメイキング、接客対応や集客まで美容クリニックで働くにあたり役立つものもたくさん含まれています。
また最近では医師監修のメディカルエステも注目されており、看護師の資格を持つエステティシャンも増えています。
看護師免許にエステの資格を足すことにより、スキルの幅が広がり将来独立してエステサロンを開業することも可能です。
日本エステティック業協会(AEA)認定エステティシャン
ソワンエステティック協会 認定エステティシャン
語学系資格
日本の美容クリニックは信頼性があり、海外からの訪日観光客にも人気があります。
そのため海外からの国際的な患者様も年々増えてきています。
美容クリニックの看護師はお客様の悩みを理解し、適切な施術やアドバイスをする必要があるため、語学に強い看護師を採用したがる美容クリニックも数多くあります。
語学系の資格としてTOEICがありますが、外国人に対応できるとされている目安が650点以上です。
美容クリニックで働く看護師は専門知識も英語で正確に聞き取り、表現するスキルも求められます。
さらに今は中国からの富裕層が日本の美容クリニックに訪れ美容整形の爆買いをする中国人も多くいます。
英語だけでなく、中国語の取得もオススメです。
また語学を習得し、海外の看護資格や美容系資格を取得して海外の美容クリニックへの転職を叶える看護師もいます。
まとめ
美容クリニックで働く看護師についてまとめました。
美容クリニックで働く看護師は夜勤なし・高収入・高待遇ととても魅力的ですね!
実際に美容クリニックで働いている看護師さんは「美意識が上がるし、デメリットがない!」と言っていました。
看護師としてスキルアップはあまり期待できないかもしれませんが、美容に興味がある看護師免許を持っている方は目指してみるのもいいかもしれません。