ヨガの広がりに伴い、美意識の高い方は『アーユルヴェーダ』という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。
以前「需要の高いスパニストの仕事とは?ヘッドスパの種類も解説」でも少しアーユルヴェーダについて少し触れていますが、実際にアーユルヴェーダとは何なのか、理解している人は少ないものです。
何となく健康や美容に良さそうというイメージはあると思いますが、どのような効果があるのでしょうか。
今回は ”アーユルベーダ” について解説していきます。
またアーユルヴェーダの代表的なトリートメント、『シロダーラ』についても併せて解説していきます。
アーユルヴェーダとは?
アーユルヴェーダとはインド・スリランカの伝承医学のことをいいます。
元々「リシ」と呼ばれる聖者たちが、人々の病気がどうすればよくなるのかといったことを山の中で瞑想し、悟りを開いた英知が口コミで伝わり、経典のようなものが出来上がりました。
現在では予防医学・治療医学のみにとどまらず、高度な生命哲学として注目されています。
その歴史の起源は5000年以上前にさかのぼり、身体に良い食材の性質、季節や環境を考慮した食事法、具体的な養生法やさまざまな病気の治療法、薬草学について説かれています。
また病気を薬や対処療法で治療するのではなく、生き方そのものを見つめ直すことにより病気の根源を断つという考え方に基づいています。
アーユルヴェーダは『生命科学』といわれており、サンスクリット語の「アーユス(生命)」と「ヴェーダ(科学)」からできた言葉です。
人々が生きる上で生活する環境や社会の中で調和の取れた人生を実現させることが、人間本来の成熟した生き方であると、アーユルヴェーダでは定義されています。
アーユルヴェーダの効果
アーユルヴェーダでは、身体を支える3つのエネルギー『ヴァータ(風)』『ピッタ(火)』『カパ(水)』が体の中に存在していると考えられています。
このエネルギーをサンスクリット語で『ドーシャ』と呼び、ドーシャには「不純なもの」「病素」「体液」などの意味を持ちます。
身体に起こる様々な現象や体調の変化に関係し、アーユルヴェーダではドーシャのバランスが取れた状態が健康であり、バランスが崩れると健康を損なうとされています。
3つのエネルギーが体内でバランスの取れた状態がベストであり、季節に伴う体調の変化や心身の状態、個人の性質によって差があります。
3つのドーシャの中で1つだけが優位であるという人は稀で、人は3つのドーシャをすべて持って生まれてきます。
それぞれの要素を多く持っているか、少ないかここによって違いがあり、より多くの特徴を持ったドーシャがその人の優位な体質です。
この3つのドーシャのバランスを保つために、アーユルヴェーダの治療が行われます。
アーユルヴェーダの治療法は大きく分けて2つあり、大きすぎるドーシャを鎮める「鎮静法」と、過剰なドーシャや毒素を排出する「浄化療法」があります。
そして心身を浄化させる方法を「パンチャカルマ」といいます。
ヴァータ
ヴァータは風のエネルギーで、風と空の要素から構成されています。
身体の中でヴァータは空気の入る空間を確保し、空気の循環を良くする働きがあります。
空気か多すぎたり、不足すると代謝が怠り、便秘などの不調をきたします。
ヴァータは風のように動く性質があり、好奇心が強く活発で新しいことに対応できる面と、反対に気まぐれで飽きっぽいという面を持ち合わせています。
神経質で緊張やストレスに弱く、不安や恐怖心が強い傾向があります。
ピッタ
ピッタは火のエネルギーであり、細胞機能に必要なエネルギーや熱を作り出し、栄養の消化や代謝を表します。
胃腸が強くよく消化し、効率よく腸も働きます。
辛いもの、揚げ物を食べ過ぎると消化不良を起こし胸やけや軟便、腹痛など消化器官や排泄に影響が出ます。
情熱的でチャレンジ精神が強い反面、完璧主義で見栄っ張りになりやすく、熱中したり興奮したり腹を立てやすいという傾向にあります。
カパ
カパとは水のエネルギーであり、水と大地の要素から成り立っています。
物静かで落ち着いていて忍耐強い反面、変化を嫌いチャレンジしようとしないという性質があります。
水の性質上、何事も蓄積する性質のためカパが方の状態になると、肥満やむくみ、冷えなどの症状を引き起こします。
シロダーラ
アーユルヴェーダのパンチャカルマの施術には、増えすぎたエネルギーを抑え若返りの効果も期待されています。
アーユルヴェーダの中でも知名度の高い「シロダーラ」はパンチャカルマの一つであり、セサミオイルに個人に必要な精油を調合して「第三の目」と呼ばれるおでこの中心部に垂らし、心身の浄化をはかる究極のリラクゼーションといわれています。
パンチャカルマは前処置、中処置、後処置にわけられており、前処置では心身を緩ませマッサージなどにより毒素を排出させる準備を身体にさせます。
中処置では集めた汚れを排出し、後処置でキレイになった身体を食事の改善やアーユルヴェーダの万能薬の服用などにより、元の状態に戻していきます。
シロダーラは前処置として施されます。
シロダーラで使用されるセサミオイルは、一度100度に温めてから使う「キュアリング」という方法で使用されます。
セサミオイルには身体を温める作用があり、キュアリングによってその作用が強まり、オイルから不純物が飛ばされることにより、皮膚から吸収されやすくなります。
セサミオイルにはデトックス効果が高く、シロダーラをおこなうとオイルが濁って体内の汚れが出てくるのがよくわかります。
セサミオイルは黒ゴマを絞ったオイルが使われたり、煎じたハーブにっ牛乳や水、ヨーグルトを加えたものが使われることもあり、体質や目的に合わせて調合されます。
シロダーラの効果
インドでは医療として用いられるシロダーラですが、おでこの真ん中「第三の目」は直観などの自分自身につながる場所と言われており、ここにオイルをたらし続けることで感覚神経が刺激され、感情のデトックスをすることが可能です。
シロダーラは脳のマッサージともいわれており、イライラを溜めていると一瞬イライラが強くなったり、無意識に涙を流す人もおり、感情のデトックスがおこなわれます。
またシロダーラは霊性も強く心の浄化にも繋がり、脳内のα―波が上がり、瞑想状態に入ることもできます。
またシロダーラは、ストレスによる睡眠障害、眼精疲労、片頭痛、めまい、立ちくらみなど、脳の疲れに作用する慢性疲労にも効果的です。
また肩こりや首こり、鼻詰まりにも効果があります。
頭皮の健康にもつながるため、ストレスからくる白髪や抜け毛ケアにもなります。
美容面でもオイルの重みで頭部を引っ張るため、顔のリフトアップ効果やくすみの解消され化粧ノリも良くなります。
シロダーラは精神・健康・美容とあらゆる面で効果が期待されており、たくさんの効果があります。
シロダーラは自宅でもセルフケアが可能であり、第三の目の場所をオイルでくるくるとマッサージするだけでも効果的であり、それだけでもずいぶん身体が変わってきます。
毎日のホームケアとしてぜひ取り入れてみてください。
まとめ
アーユルヴェーダとはインドに古くから伝わる伝承医学であり、身体の中にある風・火・水の3つのエネルギーのバランスを保つことにより人々を健康に導きます。
日本にも多くのアーユルヴェーダを取り入れたエステやリラクゼーションサロンがあるので、なんだか身体の不調が治らない方、アーユルヴェーダに興味のある人は、アーユルヴェーダを一度体験する価値はありそうです。