2021年の美容流行語大賞の上位にノミネートされる「ビタミンA」といわれるほど、今年はビタミンAコスメが流行りました。
圧倒的なハリとツヤを肌に与えてくれるビタミンAコスメですが、その反面「A反応」と呼ばれるマイナス症状を敬遠する人もいます。
今回はそんなビタミンAコスメについて解説していきます。
ビタミンAとは?
そもそも『ビタミンA』とはどのような成分なのでしょうか。
ビタミンAとは、油に溶けやすい脂溶性ビタミンの1種です。
皮膚や粘膜、目などの成長促進に関わる成分です。
脂溶性ビタミンとは過剰摂取すると体内に蓄積されます。
水溶性のビタミン(ビタミンCなど)は過剰摂取した分は尿一緒に排出されますが、脂溶性ビタミンであるビタミンAは、過剰摂取した栄養素が尿として排出されず肝臓に蓄積されます。
ビタミンAを過剰摂取すると頭痛や脱毛、皮膚炎なの度の症状が現れ、『ビタミンA過剰症』と呼ばれる健康被害を及ぼすことがあります。
ウナギ、レバー、卵などの動物性食品に多く含まれており、βカロテンも体内に入るとビタミンAに変換されます。
このβカロテンは過剰摂取しても健康被害は報告されておらず、ニンジンやカボチャなどに多く含まれています。
Βカロテンも脂溶性のため油と一緒にすると吸収率がアップするといわれており、ニンジンはいためて使う方が体にいいと言われるのはこのためです。
美容分野におけるビタミンAの効果は、シワ、シミ、たるみなどのエイジングケアに効果があるといわれており、ビタミンAコスメとして人気を集めています。
ターンオーバーの促進
ターンオーバーとは肌の新陳代謝のことであり、ターンオーバーを繰り返すことにより、ほこりや花粉、紫外線などの外的刺激から肌を守り、ハリや潤いのある肌を保ちます。
ターンオーバーは約28日間で繰り返されますが、年齢を重ねるごとに肌のターンオーバーの周期が遅くなり、肌表面の古い角質が蓄積されるため、肌がごわついたりシミ、乾燥、毛穴の目立ちの原因になってしまいます。
ビタミンAには、ターンオーバーを促し、古い角質を除去して肌荒れや年齢とともに気になる肌悩みを解決してくれる効果があります。
皮脂のコントロール
ビタミンAには皮脂の分泌量をコントロールし、過剰に皮脂を分泌するのを防いでくれる効果もあります。
皮脂が過剰に分泌されると乾燥の原因になってしまったり、ニキビ、毛穴詰まりを改善してくれる効果もあります。
細胞保護
ビタミンAには紫外線を吸収し、肌細胞にダメージを与えないように保護する働きもあります。
一方ビタミンAは紫外線を吸収しやすくなってしまうため、ビタミンAコスメを使用する際は、紫外線対策も必要です。
コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸の生成促進効果
ビタミンAは肌の真皮にある線維芽細胞を活性化させ、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の生成を促進させる効果もあります。
コラーゲン・エラスチンは肌のハリや弾力を保つのに必要な組織であり、ヒアルロン酸は角質層の水分量を増やし肌に潤いを与える効果があります。
ビタミンAの種類
エイジングケア効果や美肌効果など肌に嬉しいビタミンAですが、美容効果におけるビタミンAにはいくつか種類があり、肌への浸透具合、刺激度が違います。
『ピュアレチノール』『パルミチン酸レチノール』『酢酸レチノール』『レチノール』『レチナール』『レチノイン酸』とビタミンAの構造の違いによって分類されています。
レチノールが肌に入ると、代謝によって構造が変わり、最終形態がレチノイン酸に変わります。
『ピュアレチノール』はレチノール成分のみで構成されており、即効性、浸透性が高いのが特徴ですが、成分が不安定で肌への刺激が強いという特徴があります。
一方『パルミチン酸レチノール』『酢酸レチノール』はそれぞれピュアレチノールにパルミチン酸・酢酸を加えてマイルドに仕上げており、パルミチン酸レチノールは肌への刺激も浸透力もレチノールの中では低く、酢酸レチノールは肌に比較的刺激が弱く、浸透度は高いのが特徴です。
『レチナール』はレチノールが酸化したものであり、レチノイン酸になる前の状態をいいます。
『レチノイン酸』は皮膚科での治療薬として使われており、レチノールの50~100倍のターンオーバー促進作用があります。
その一方で肌への負担が大きいため、日本では医師の処方箋が必要な薬剤であり、化粧品には配合されていません。
A反応とは?
A反応とは別名「レチノイド反応」と呼ばれ、ビタミンAが不足している肌へビタミンAを大量に補給した時に起きる反応のことをいいます。
「ビタミンAコスメを使ってみたいけど、副作用が怖い」と懸念している人が多いのはこのためです。
初めてビタミンAコスメを使用した際や、ビタミンAの濃度を上げた時にA反応は起こることがあります。
使用開始から2・3日経ってからで粉がふく程度の乾燥、細かいブツブツなどの症状が現れることが多くあります。
使ってすぐ症状が現れるということはあまりなく、他のアレルギーである可能性もあります。
使い始めて最初の1~2週間は、肌の新陳代謝を促進するビタミンAの働きに対して赤み・ほてり・痒み・乾燥・皮むけ・ニキビの悪化などが一時的に起こることがあります。
A反応は一時的な肌の正常な反応であり、アレルギーやかぶれなどではありません。
A反応は誰にでも起こる可能性があり、肌がビタミンAに慣れることにより徐々に落ち着いていきます。
症状が治るまで個人差はありますが、約1~2週間で落ち着いてきます。
あまりにも症状が長引く場合はA反応ではなく一般的な肌荒れであったり、強すぎる症状が出た場合には、皮膚科を受診することをオススメします。
またビタミンAに対してもともと耐性を持っている人もおり、A反応の薄い人もいます。
A反応が出なくても美容効果がないという訳ではないので、心配する必要はありません。
最近では、A反応が出にくい「レチノアート」という成分も新しく開発されています。
A反応が他のレチノールに比べて起きにくく、安心してビタミンAの美肌効果・アンチエイジング効果を得ることができます。
A反応の副作用が心配な方は、レチノアート成分配合のビタミンAコスメから挑戦してみるのもいいかもしれません。
またビタミンAコスメを使ったことがない場合、肌に受容体が少ないため肌トラブルになることが多く、初めから濃度の高いものを使うのは避けたほうが無難です。
ビタミンAコスメの効果をより実感したいというのであればあらかじめ美容皮膚科でカウンセリングを受け、市販品の場合は記載通りに正しく使うのが、安全に使用するポイントです。
ビタミンAコスメの注意点
ビタミンAコスメを使っている場合は肌が敏感な状態になります。
またビタミンAコスメにはターンオーバーを活性化させる働きがあるため、シミの原因になる『メラノサイト』の働きも活性化させてしまいます。
日中は必ず日焼け止めを塗るのを徹底するなど、いつも以上に紫外線対策を万全にし、美白ケアを同時に行うとより効果的です。
レチノールを使うと乾燥しやすくなるので、高保湿の美白スキンケアと同時に使うことをオススメします。
ビタミンAコスメは抗酸化作用が高い代わりに変性したり、酸化しいやすいというデメリットがあります。
酸化するとレチノールの効果が半減してしまうため、フレッシュなものを早めに使い切ることをオススメします。
クリームタイプでジャーに入っているようなレチノールを使う際には、指で取ると触った部分からすぐに酸化が始まってしまうのでスパチュラを使って取ります。
スパチュラが用意できない場合はコンビニでもらえる使い捨てのスプーンなどで取るのもオススメです。
またビタミンAは乾燥や高温によって成分が壊れやすいという特徴があるため、直射日光に当たらないように注意が必要です。
メーカーの推奨する保管方法・使用方法を守り、正しく使用するようにします。
まとめ
2021年のトレンドなったビタミンAコスメですが、使い始めはA反応と呼ばれる副作用が出る場合がありますが、正しく使用すれば高いアンチエイジング効果・美肌効果を実感することができます。
初めて使用する際は、ビタミンA濃度の低いものから徐々に肌を慣らしていくことをオススメします。
レチノールについてこちらの記事でも触れているので、合わせて読んでみてくださいね!