以前に「美容エキスポを解説!1月12~14日の東京COSME WEEKとは?」でも取り上げましたが、美容業界に関わらず、SDGsに関する取り組みが多くの企業でおこなわれています。
美容業界の経済紙などでもよく目にするようになった「SDGs」という言葉ですが、どのような意味があるのでしょうか。
また美容業界においてSDGsに関する取り組みには、どのようなものがあるのでしょうか。
SDGsとは?
SDGsとは「Sustainable Deveiopment Goals」の略称であり、日本語で「持続可能な開発目標」という意味があります。
SGDsは ”エス・ディー・ジーズ” と発音されます。
2015年9月の国連サミットで採択されたものであり、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げられた目標です。
SDGsは17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。
SDGsが採択されるまでは、持続可能な社会について、「環境問題」と「社会問題」に重きが置かれていた傾向がありますが、これに加えSDGsでは「経済活動」が加わったことにより、企業間での取り組みもおこないやすくなり、これまで以上に関心が持たれ、普及してきたという背景があります。
SDGsの17の目標
SDGsの17の大きな目標には、以下のようなものが掲げられています。
①貧困をなくそう
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
②飢餓をゼロに
飢餓に終止符を打ち、食料の安全確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
③すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人の健康的な暮らしを確保し、福祉を推進する
④質の高い教育をみんなに
すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
⑤ジェンダー平等を実現
ジェンダーの簿湯堂を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
⑥安全な水とトイレを世界中に
すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
⑦エネルギーをみんなに そしてクリーンに
すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
⑧働きがいも経済成長も
すべての人のための経済的、包摂かつ自足可能な経済成長、生産的な完全雇用およびデーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する
⑨産業と記述革新の基盤を作ろう
強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る
⑩人や国の不平等をなくそう
国内および国家間の格差を是正する
⑪住み続けられるまちづくりを
都市と人間の住居地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする
⑫作る責任 使う責任
持続可能な消費と生産のパターンを確保する
⑬気候変動に具体的な政策を
気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
⑭海の豊かさを守ろう
海洋と海洋資源を自足可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
⑮陸の豊かさも守ろう
陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
⑯平和と公正をすべての人に
持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
⑰パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・バートナーシップを活性化する
これらの項目があります。
飢餓や貧困、健康や教育など、発展途上国に対する支援のように見えますが、実際には日本でも6人に一人が貧困であるといわれており、ジェンダー平等に関しては2020年の世界経済フォーラムで発表された数字によると153か国中121位ととても低い数字になっており、これらの目標は先進国でもある日本国内にも当てはまることであるといえます。
またエネルギーや働きがいの経済成長の話やまちづくりなど、先進国である日本も密接に関係する目標であり、気候変動や海・陸の話になってくると先進国や発展途上の国だけの話ではなく、もっと包括的な話になっていきます。
これらの17の目標に加え、それぞれに169の細かな目標があり、17の目標に対して平均10個ずつくらい同じようなターゲットが存在します。
169の細かなターゲットは具体的な目標もあれば漠然とした目標もあり、さらに細かく数値目標が書かれた232の指標もあります。
企業のホームページでSDGsに関するページを見たことある人ならわかるかもしれませんが、通常これらの目標の中から事業と結びつきの強いものを複数ぴくアップして取り組みをおこなっています。
SDGsは17の目標の中からどれか一つを選んで取り組むものではなく、複数の目標を使い、総合的な解決を目指すことが求められています。
例えば「飢餓をゼロに」を解決するために、発展途上国に広大な農場を作ろうと考えたとします。
しかしそのために土地を切り開く必要があったり、二酸化炭素量が増加してしまう可能性があります。
それでは陸の豊かさを守ったり、気候変動に具体的な対策をおこなうことができません。
ひとつの目標を達成するために、他方に影響が出ることを避けなければならないのがSDGsの特徴です。
美容業界にできるSDGsとは?
SDGsの概要はここまでで把握できたと思いますが、実際に美容業界においてどのように結びつけることができるのでしょうか。
貧困をなくそう
美容関連の企業では「売り上げの数パーセントを寄付している」というケースが多くあり、事業内容と関連性がなくても取り組める取り組みです。
ジェンダー平等を実現しよう
●女性の能力を強化するため、業務に関する研修を定期的におこなう
●女性管理職の割合を高める
●有給取得などの職場環境の整備
女性だから管理職にするというのではなく、研修などで能力がある人を管理職にするという企業も増えています。
また女性が活躍できる業務体系を整えることにより、ジェンダー平等の実現に貢献することができます。
つくる責任 つかう責任
児童労働にも関わる目標ですが、職場環境や地球環境のための取り組みをおこなうと同時に、取り扱う製品の生産体制を見直すことも、美容業界では行っている企業もあります。
美容関連の原材料が適切な労働環境で生産されているか、環境を無視した輸送状況になっていないかなど、生産から消費者に届くまでの流れや、廃棄を見越した製品を取り扱うこのによって目標が達成されます。
具体的な取り組みとしては、フェアトレードである原材料の使用、過剰な包装や梱包をやめゴミの排出量を減らす、リデュース・リユース・リサイクルを意識した製品の販売などがあります。
これらは社会的信用に関る内容でもあるため、多くの美容関連企業が力を注いでいます。
気候変動に具体的な対策を
美容業界では気候変動に対して様々な取り組みがおこなわれています。
例えば二酸化炭素排出量を減らすために、社用車をガソリン車から電気自動車に切り替えたり、店舗で飛翔する電気やガスを再生可能エネルギーに切り替えるなどは具体的な取り組みの一つです。
また発展途上国に化粧品の原料となる植林を進め、気候変動の対策をおこなうと同時に、現地に雇用を生み出す活動を推進する企業も見受けられました。
まとめ
今回はSDGsと美容業界における取組について解説してきました。
SDGsは2030年までに目標を達成するという大枠のみが決まっており、問題解決に向けた取り組みの進め方までは正確に定められていません。
そのため事業内容に合わせた独自の行動を展開できるのもSDGsの特徴でもあります。
まずはSDGsについてそれぞれの目標の理解を深め、どのように達成していくかを考える必要があります。
今後ますます美容業界においても注目が集まるため、それぞれの企業で何ができるのか、吟味して欲しいものです。