前回、前々回と、保湿ケアとして万能な『シアバター』『ワセリン』について解説してきました。
今回は『ホホバオイル』について解説していきます。
ホホバオイルはスキンケアにおいて豊富に栄養素を含んでいるため、すべての肌に合う美容液・保湿液として最も理想的であるといわれており、化粧品や医療品としても用いられています。
ホホバオイルとは
ホホバオイルとは、アメリカ南西部からメキシコ北部が原産の『ホホバ』というシモンジア科の種子から抽出される、自然由来の植物性のオイルです。
1790年代からネイティブアメリカンの間で「金の液」と呼ばれており、現地の強い日差しや乾燥から肌や髪の毛を守るために使用していたといわれています。
メキシコの乾燥した砂漠地帯でも生育できるほど生命力が強く、地中に表皮をロウ状の物質で覆うことによって水分を蓄え、乾燥から身を守っています。
ホホバオイルは砂漠地帯から採れる植物性オイルであるため、保湿力が高いのが特徴です。
ホホバオイルは “オイル” と名が付いていますが、正式には植物性のワックスです。
『ワックスエステル』という、ロウの一種なのです。
ホホバオイルの主成分『ワックスエステル』は、ヒトの皮膚にも含まれる成分が主成分となっているため、皮脂に限りなく近く、肌馴染みがいいのが特徴です。
ヒトの皮脂の20%程度がワックスエステルであり、ホホバオイルの成分の90%がワックスエステルであるため、アレルギーが起こりにくいといわれています。
その他のオイルと比べても、ここまでワックスエステルを配合しているオイルはありません。
個のワックスエステルは20代をピークに体内から分泌されますが、30代を境に徐々に分泌量が減り、最終的には20代の頃の5%にまで減ってしまうため、ホホバオイルはエイジングケアにも効果的です。
その他にも肌荒れ改善やエイジングケアに効果的な、乾燥を防ぎ肌荒れ・ニキビを防ぐ『ビタミンA』、皮膚や髪の毛のコンディションを整え成長促進を促す『ビタミンD』、血行を促進させ細胞を活性化し「若返りのビタミン」と呼ばれる『ビタミンE』が豊富に含まれています。
またホホバオイルには17種類のアミノ酸が含まれておりミネラルが豊富なため、シミ・そばかすを防ぐ効果もあります。
さらにホホバオイルは他の植物性オイルに比べて酸化しづらく、保存が簡単で扱いやすいため、オイル美容を初めて試す方にオススメしたいオイルです。
ホホバオイルの種類
ホホバオイルには大きく分けて2種類の種類があり『ゴールデンホホバオイル』と『クリアホホバオイル』というのがあります。
これは加熱精製されているかどうかの違いによります。
●ゴールデンホホバオイル
ゴールデンホホバオイルは、ホホバオイルの栄養分を極力逃がさないために、精製されていないオイルです。
鮮やかな金色をしており、酸化防止の役割を果たしている天然トコフェロールが配合されていて美容効果が高いですが、精製されたものよりも値段が高めです。
ホホバ特有の青臭い香りが残っており、粘着性が多少あります。
精製していないため不純物が取り除かれていないため、人によっては刺激を感じる人もいます。
●クリアホホバオイル
不純物を取り除くために、加熱精製されたものです。
精製の過程でビタミンなどの栄養素の一部が失われますが、ほぼ無臭でゴールデンホホバオイルよりも粘性が少ないのが特徴です。
色も透明で不純物が取り除かれているため刺激が少なく、子供や敏感肌の人、初めてホホバオイルを使用する方にはクリアホホバオイルの方が扱いやすいです。
ホホバオイルの美容効果
ホホバオイルの主成分はエステル類であり、エステル類とは『高級脂肪酸』と『高級アルコール』が一緒になったものです。
高級脂肪酸は酸化しにくく、肌を柔らかくする効果があります。
ホホバオイルが酸化しづらいのは高級脂肪酸を含んでいるというのが大きな理由の一つです。
高級アルコールには、肌を保護する成分があり、肌にツヤやハリを与えることができます。
またホホバオイルのエステル類のワックスエステルは、ヒトの肌を構成する成分であるため、肌に浸透しやすく肌馴染みがいいのです。
ホホバオイルは保湿性にも優れているため、スキンケアにオススメです。
さらに皮脂のバランスを調節する作用があり、乾燥肌の人だけでなくオイリー肌の人でも使用可能でどんな肌質の人でも使うことができます。
ホホバオイルは毛穴汚れによる黒ずみやニキビケアにも使用することができます。
さらにホホバオイルは酸化しづらいという性質から、抗酸化作用が高くシミやしわを予防しキメを整える作用もあるため、エイジングケアにもオススメです。
紫外線による酸化が原因で起こる、日焼けにも効果があります。
ホホバオイルはフェイシャルケアだけでなく、ヘアケア・ボディケアとしても使用することができます。
市販のシャンプーでも、ホホバオイルが入っているものもあります。
ホホバオイルは髪の毛を保湿しキューティクルを保護する作用もあり、髪の毛につけることによってツヤがでてキューティクルを整えます。
ホホバオイルには皮脂のバランスを調節する効果もあるため、頭皮につけると毛穴がキレイになり、白髪・薄毛・抜け毛・くせ毛の予防にもなります。
実はくせ毛には先天的なものと後天的なものがあり、毛穴の歪みや頭皮の老化などによるくせ毛は後天的なくせ毛です。
これらは頭皮の毛穴詰まりが原因で起こるくせ毛であり、後天的なクセ毛であればホホバオイルによって改善できる可能性があります。
ホホバオイルはヒトの皮脂に近いため、毛穴に詰まった皮脂汚れを浮かせて落とし、頭皮の臭いを抑えるのにも役立つといわれています。
精製されたものであれば、粘性も少なく香りもないので、ヘアオイルとしてもオススメです。
ボディケアとしては妊娠線の解消、背中ニキビの改善、ひざ・ひじなどの黒ずみケア、足蒸れ対策や水虫予防、セルライトケアにも効果的です。
ホホバオイルにはエイコセン酸という物質が含まれており、この物質には抗炎症作用があります。
そのため水虫予防などにも効果的であり、実際にホホバオイルを塗ったことで、肌の炎症を起こす物質の減少がみられたという実験結果もあります。
ホホバオイルの使い方
ホホバオイルは頭の先から爪に至るまで、全身に使える万能オイルです。
ヘア・頭皮ケア
髪の毛のパサつきが気になる場合、少量のホホバオイルを髪の毛の中間から毛先につけることによってキューティクルの保護をすることができます。
多くつけすぎるとベタついて重たくなりやすいので、少量ずつ薄くつけるのがポイントです。
またドライヤーの熱から髪を守るため、ドライヤー前の洗い流さないトリートメントの代わりとしても使用することができ、スタイリング剤としても使うことができます。
頭皮ケアとして、ホホバオイルを500円玉ほどの量を取り、頭皮に塗ってマッサージしてからシャンプーすることにより、頭皮の毛穴の汚れを取ることができます。
スキンケア
ホホバオイルをスキンケアとして顔に使用する場合にも、様々な使い方があります。
洗顔後の化粧水と乳液を馴染ませた後に顔全体に塗ると、化粧水などの基礎化粧品の馴染みが良くなり、肌の水分が蒸発しにくくなります。
ホホバオイルは、ヒトの皮脂に近い成分のため、肌馴染みが良くアレルギー反応が起こりづらいので、スキンケア後の美容オイルとして使用するのもオススメです。
お肌を整えた後にホホバオイルを少量手に取り、オイルを馴染ませながらマッサージすると、毛穴クレンジング効果もあります。
ホホバオイルを塗った後に上から蒸しタオルを置き、最後に軽くふき取ると『オイルパック』にすることができます。
肌馴染みのいいホホバオイルは、メイク落としとして使用することも可能です。
アイメイクやリップメイクなど、ポイントメイクもキレイに落とすことができます。
ポイントメイクはコットンにホホバオイルを浸し、しばらく置きます。
メイクにコットンに馴染んだら、そのままふき取るとスルっとメイクを落とすことができます。
ホホバオイルは肌馴染みがいいためメイクが早く浮き、特に目の周りや口元は皮膚が薄いため、肌のケアも同時に行うことができます。
ホホバオイルでポイントメイクを落としたら、クレンジング料で顔全体のメイクを落とし、
最後にすべて洗い流すと、キレイにメイクを落とすことができます。
ホホバオイルは油分であるため、水で洗い流すことができないのでクレンジング料と一緒に落とすようにします。
ボディケア
リラクゼーションサロンのボディオイルに使われることも多いホホバオイルですが、家庭で使うのであれば、シワが寄って陰になりやすく汚れの落ちにくい、ひじ・ひざの黒ずみにも効果的です。
ホホバオイルを塗ることによって肌が柔らかくなり、ケアすることができます。
また足の乾燥やストッキングの擦れにも効果的で、べたつきがなくなるまでホホバオイルを擦り込むことで改善が見られます。
その他にもネイルオイルとして、背中のニキビケアとしても使用可能です。
まとめ
ホホバオイルは肌馴染みが良く、アレルギーや起こりづらい『万能オイル』です。
酸化も起こりずらいため扱いやすいですが、他のオイルと同様に高温多湿を避け、15~25℃程度の常温で保存する必要があります。
値段も安価で、某大手雑貨ショップでは50㎖で1500円程で売られているため、乾燥や保湿、混合肌で困っている人は一度試してみてください。