女性にとって妊娠や出産など、様々なライフイベントに関わる特別なホルモンが『女性ホルモン』ですが、月経や妊娠以外にも美容にも関係しています。
女性ホルモンという名前は聞いたことがある人も多いと思いますが、実際にどのような働きをしているのでしょうか。
生理周期や出産などはもちろん、ツヤのある髪の毛や肌などの美容面、さらには動脈硬化やアルツハイマーなどの病気の予防にも関係があるのが、女性ホルモンです。
今回は女性ホルモンの働きや、女性ホルモンが肌に与える影響などについて、詳しく解説していきます。
「なんだか調子がわるい」「肌荒れがする」「太りやすくなった気がする」など、もしかしたらその原因は『女性ホルモン』の乱れに原因があるのかもしれません。
女性ホルモンとは?
ヒトの身体に作用するホルモンのうち、臓器に関わるホルモンには40種類以上のホルモンがありますが、その中で女性ホルモンと呼ばれるのは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類です。
エストロゲンとプロゲステロンについては、ピルや生理痛についての記事で紹介しています。
エストロゲンとプロゲステロンを分泌しているのは卵巣ですが、卵巣にホルモン分泌の指令を出している司令塔となっているのが脳にある、視床下部といわれる部分です。
卵巣から分泌される女性ホルモンの分泌量は脳がチェックしており、女性ホルモンの分泌が減れば増やすように、増えれば減らすように指令を出してバランスを保っています。
しかし視床下部はストレスの影響を受けやすく、視床下部が働かなくなると生理周期や体調、さらにメンタル状況にも影響を与えてしまいます。
生理周期が25~38日程度といわれているのは、エストロゲンとプロゲステロンが交互に量を調節しながら、その周期で増えたり減ったりしているためです。
この二つのホルモンのバランスが整うとによって生理周期が安定し、心身の健康を保つことができます。
エストロゲン
エストロゲンは、別名「美肌ホルモン」と呼ばれています。
美肌の元となるコラーゲンを生成し、女性らしい体作りをサポートするホルモンです。
皮膚や骨、筋肉や自律神経、脳や筋肉などの働きに関係します。
エストロゲンには卵胞細胞を育てる働きがあり、子宮に作用して子宮内膜を厚くする働きがあります。
体温を下げる働きがあり代謝を上げるため、「ダイエットするなら生理後2週間が痩せやすいといわれる」のは、月経~2週間後の排卵までがエストロゲンの分泌がピークになるためです。
この時期にビタミンC普段よりも多めに摂取することで美肌効果が促進されます。
肌の乾燥を防ぎ、ターンオーバー正常化する作用があるため、女性にとって嬉しい効果のあるエストロゲンですが、多く分泌されすぎると乳がんや子宮体がんのリスクが高まります。
思春期から分泌量が増え30代でピークに達しますが、更年期になると減少します。
エストロゲンが減少すると肌や髪の毛からツヤやハリが失われ、しみやシワの原因となります。
プロゲステロン
美肌ホルモンといわれるエストロゲンの一方で、生理前2週間前後でプロゲステロンの分泌が増加します。
プロゲステロンは受精卵が子宮内膜に着床するのを手助けし、妊娠後は受精卵を成長させ出産までを継続させる重要な役割をはたしています。
またプロゲステロンには水分や熱、皮下脂肪をため込みやすく働きがあり、むくみやすくなったり、食欲が増えたり、体温を上げたり、腸の働きが抑制されるため便秘になりやすかったりします。
また皮脂分泌が増えるため、ニキビが増えたり肌荒れしやすくなります。
生理前にイライラしたり、のぼせや腹部の膨満感があるのは、プロゲステロンが多く分泌されるためなのです。
女性ホルモンのバランス
生理前になるとプロゲステロンが増え、生理後2週間にエストロゲンが増え、この二つの女性ホルモンがバランスを保ちながら月経周期を作っています。
生理周期には『月経期』『卵胞期』『黄体期』のえ3つの期間があり、これが25~38日サイクルでおこなわれることにより、規則正しく生理が来ます。
卵胞期
卵巣から卵子が排出される時期を『卵胞期(排卵期)』といい、エストロゲンの分泌量がピークになります。
そのため心身が安定しやすく穏やかな気分になれ、肌ツヤも戻ってきやすくなりますが、人によっては排卵通や、少量の出血が起こることがあります。
エストロゲンが多く分泌されるため、ビタミンCを積極的に摂取し、美肌効果を高めるのにオススメの期間です。
黄体期
排卵が終わり、生理が来るまでの期間のことを『黄体期』といいます。
プロゲステロンが多く分泌されるようになり、人によってはむくみや頭痛などの体調の不調や精神の不安定な症状が出たりすることがあり、日常生活に影響を及ぼす状態であればPMS(生理前症候群)といえます。
黄体期の前半はプロゲステロンが優位になり始める調整の時期なので、イライラしたり、水分や皮下脂肪、熱をため込みやすい時期であるため、海草やキノコなどの食物繊維を多く摂取し、便秘対策をすることによって黄体期後半や生理中も過ごしやすくなることがあります。
後半になるとPMSの影響もあり、気分や肌の状態も落ち込みがちになります。
この時期に糖分・カリウム・マグネシウム・ビタミンB6などがバランスよく含まれるバナナを食べるのがオススメです。
むくみや疲労感を和らげる効果があります。
月経期
生理期間中の『月経期』には、身体のデトックスをおこなう期間です。
体温が下がりやすいため身体をしっかりと温め、化粧水をいつもより多めに使用するなど潤いを与えます。
血液が出るため鉄分が失われやすく、レバーなどの鉄分の多い食事を取り入れることによって快適に過ごせます。
エストロゲン・プロゲステロンがバランスを保ちながら女性の身体に大きな影響を与えています。
生理周期や女性ホルモンを知ることによって不調や肌荒れなどが改善され、普段行っている化粧品などの美容効果をさらに上げることができます。
逆に女性ホルモンのバランスが崩れてしまうと心身ともに不調をきたし、生理サイクルが不規則になったり妊娠しづらくなってしまう可能性もあります。
女性は30歳をピークにエストロゲンが減少し、40代になると卵巣機能が衰え更年期を迎えます。
閉経するとエストロゲンの分泌量はピーク時の1/10程に減ってしまいます。
その他にも、女性ホルモンのバランを崩す原因として、冷えや過労、過剰なダイエットや運動不足・過多、睡眠不足やバランスの悪い食事などが関係しています。
女性ホルモンを安定させるには?
心身に影響を与える女性ホルモンですが、大切なのはバランスを整え安定させることによって毎日を快適に過ごしやすくなります。
女性ホルモンを安定させるには、何よりも「ストレスを溜めずリラックスすること」が大切です。
バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、湯船に浸かったり深呼吸をしたり、好きな音楽を聴くなど、自身がストレスを溜めずリラックスできる方法を見つけることが大切です。
またゼラニウム、リラクセージ、イランイラン、バラなどのアロマの匂いを嗅ぐのもオススメです。
実は体内の女性ホルモンの量を増やすことはできず、分泌される量は決まっています。
しかし現代ではストレスや冷えなどによって本来されるべきはずの分泌量に至らないことが多く、女性ホルモンの分泌を阻害する原因を取り除いたり、女性ホルモンに似た働きをする成分を取り入れることによってリズムを戻すのが正しい認識の仕方です。
女性ホルモンのバランスが悪く生理痛がひどく寝込んでしまうようであれば、産婦人科を受診しホルモン剤や漢方の処方をしてもらうことも考えてみてください。
女性ホルモンを安定させる栄養素
食べ物で女性ホルモンを安定させる効果のある栄養素や食材について紹介していきます。
イソフラボン
大豆製品に含まれるイソフラボンには、エストロゲンと似た働きをするということは多くの人が知っていることと思います。
できれば一日に40マイクロmg以上摂取するのが理想であり、豆腐であれば1/2丁、納豆で一パック、豆乳で200㏄ほど摂取するのが望ましいです。
ビタミン類
アーモンドやアボカドに多く含まれる、プロゲステロンの材料になるビタミンE、ブロッコリーやイモ類、果物に多く含まれストレス耐性を作ってくれるビタミンC、うなぎや豚肉に含まれる神経の働きを整えるビタミンB1、レバーやマグロ、鮭に含まれるエストロゲンの代謝に不可欠なビタミンB6などがあります。
ミネラル類
乳製品や小魚、大豆などに多く含まれイライラを防止し精神の安定をはかるカルシウム、アーモンドやヒジキ、大豆製品に多く含まれるむくみ防止に効果のあるミネラル類も、女性ホルモンのバランスを整えるのに一役買っています。
またカルシウムとマグネシウムは2:1のバランスで摂取するのが理想的です。
良質な油
マグロやサンマ、イワシなど、DPAやDHAを多く含む食品には、血行を促進してホルモンの分泌を活発にする働きがあります。
その他にも小豆やさやえんどう、ゴマにも女性ホルモンと似た働きをする食べ物であり、女性ホルモンのバランスを整えるのにオススメです。
まとめ
女性の美をつかさどる女性ホルモンのバランスを保つことは、健やかで美しい身体や肌を作るのに必要不可欠です。
女性ホルモンは些細なストレスでバランスを崩しやすく、規則正しい生活や適度な運動、ストレスを溜めない生活、バランスの良い食事を心掛けることが大切です。
これらは女性ホルモンのバランスを整えるだけでなく、ダイエットや健康促進にもつながります。