前回、前々回と、美容bizでは、化粧品・医薬部外品に関する薬機法について解説しました。
今回は、医薬品に関する薬機法について詳しく解説します。
医薬品における薬機法では、化粧品や医薬部外品よりも多くの表現が可能になります。
しかし、表現において気を付けなければならない点も多くあるため注意が必要です。
医薬品における薬機法
美容ライターが気を付けなければならない薬機法の対象として、『化粧品』『医薬部外品』『医薬品』『医療機器』『再生医療機器』の5つがあります。
化粧品・医薬部外品に関しては、前回の記事で紹介しましたが、医薬品とはどのようなものなのでしょうか。
薬機法第2条1項目では、医薬品は以下のように定義されています。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
2 この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの引用:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(◆昭和35年08月10日法律第145号)
日本薬局方とは、日本国内において医療を提供するにあたり、医薬品の品質や効果、純度などを決める基準となるものです、
薬機法に基づき、厚生労働大臣が定めています。
わかりやすく説明すると、医薬品とは「日本薬局方に認定されており、人や動物の病気の判断や治療、予防を目的に作られたもの、身体の構造や機能に影響をもたらす機械器具ではないもの」といえます。
厚生労働大臣に医薬品と認めたものに限り、病気の治療や予防の効果の表示や広告をおこなうことができるのです。
そして、「治る」「改善」という言葉が使用できるのも、医薬品のみです。
その他にも、「治療」「回復」「快方」「毛生」「デトックス(解毒)」などの表現ができるようになります。
医薬品と呼ばれるものには、医師の処方箋がなければ手に入れることができない『医療用医薬品』と、ドラッグストアなどで購入できる『一般医薬品』の2種類があります。
基本的に、美容ライターが宣伝として可能なのは『一般医薬品』です。
『医療用医薬品』は宣伝することはできても、医師の判断がなければ購入することができないからです。
ちなみに、一般医薬品には第一類医薬品・第二類医薬品・第三類医薬品の3つに区別されており、第一次医薬品が効果とリスクがともに最も高く、第三類医薬品が最も効果もリスクもマイルドな医薬品となっています。
薬機法で医薬品において表現できないこと
医薬品も、化粧品や医薬部外品と同様、効果を保証する誇張表現や医師や病院などの特定業者からの推薦、最大級の表現などは広告することができません。
さらに「医薬品だから」といっても気を付けなければならない表現方法もあります。
乱用表現
医薬品の過剰摂取や、乱用に繋がる表現はすることができません。
例えば、「毎日欠かさず服用してください」などの乱用に繋がる表現はNGです。
また、健康な人に摂取を勧めるような表現もすることができません。
限定的・○○専用などのしばり表現
専門性の高い表現は、医薬品であっても表現することはできません。
「メタボ専用」などの専門性を表現するような表現も使用禁止です。
例えば「中年の男性に効果的です」などの表現です。
しかし「中年の成人男性に好まれています」程度の柔らかい表現であれば、使用することができます。
効能・効果についての注意点
医薬品において、2つ以上の効果がある場合、すべて表記しなければなりません。
明確になっている副作用がある場合には、副作用も必ず記載する必要があります。
また効果の体験談に対して、商品を使用した時のものしか表現することができません。
就寝前の服用が承認されている医薬品であれば、翌朝の効果を謳うことができますが、「翌朝起きたら○○!」というような表現は後日談となるため、薬機法違反となります。
そして、化粧品・医薬部外品同様、ビフォーアフターの表現は不可能ですが、イラストを用いたものに関しては、医薬品では認められています。
また、「80%の人に効果があります」など、パーセンテージを使用した表現も医薬品においても使用することができません。
まとめ
今回は、医薬品における薬機法について解説しました。
医薬品では、一般・薬用化粧品や医薬部外よりも多くの表現方法ができるということが理解できたかと思います。
しかし、広告として美容ライターが表現できるのは、ドラッグストアなどで購入できる一般医薬品である場合がほとんどです。
今回の記事を参考に、魅力的な記事を作ってみてください。