美容bizでは美容室の開業準備で時間のかかる、「物件決定」「内装工事」「融資」について解説してきました。
今回は、美容室の開業にあたり、必要な資格や手続き、宣伝・公告方法について解説していきます。
美容室開業に必要なもの
美容室を独立・開業しようと思っても、これがなければ開業できないというのが、資格と資金です。
資格
美容室を開業するには、美容師免許と管理美容師免許が必要です。
美容師免許は、美容専門学校を卒業し、国家試験の実技と学科試験に合格することで取得できます。
美容師免許を持たない人が美容室のオーナーとなる場合、美容師免許を持つ人を雇用する必要があります。
また、美容師を2人以上雇う場合、管理美容師の資格が必要です。
管理美容師の資格は美容師免許取得後3年以上の実務経験と、管理美容師講習会の受講をする必要があります。
オーナーが美容師免許しか持っていない場合、管理美容師の資格を持つ人を雇う必要があります。
開業・運転資金
美容室の開業には、約1000万円程度の開業資金が必要であるといわれています。
自己資金が十分でない場合、公庫や銀行・信用金庫などで借入をする必要があります。
開業に必要な手続き
美容室を開業するには、様々な書類を提出する必要があります。
許可が降りるまで、時間がかかることもあります。
美容所開設届
店舗の準備が整ったら、管轄の保健所に様々な書類を提出する必要があります。
●従業員名簿と美容師免許状
●施設の平面図
●構造・設備の概要
●診断書 など
開業の10日前までに提出する必要があり、施設点検を受けます。
施設点検で追加工事が発生すると、オープン日が遅れてしまうだけでなく、追加工事の費用もかさみます。
可能であれば、工事が始まる前に内装工事の設計図や事業計画書を保健所に持ち込み、不安な場合は相談することをオススメします。
開業届
管轄の税務署に『個人事業の開業・廃業糖届出書』を、開業後1カ月以内に提出する必要があります。
場合によっては、所得税の青色申告承認申請書も提出する必要があります。
これらの書類は、管轄の税務署に出向いて直接もらいにいくか、国税庁ホームページからダウンロードすることが可能です。
各種保険
従業員を雇う場合、労働保険に加入する必要があります。
労働保険には雇用保険と労災保険があり、労災保険は労働基準監督署に、雇用保険は公共職業安定所で手続きをおこないます。
従業員を雇うのであれば、給与の仕組みや労働保険、社会保険の知識も最低限備えておく必要があります。
保険に関する手続きは、自分自身で手続きをするか社労士に依頼するかになりますが、そもそも最低限の給与計算や減価償却など、理解しておく必要があります。
内装や美容器具には対応年数があり、毎年減価償却も収支表に数字を出し、申告する必要があります。
節税や脱税など、言葉は知っていても、何が脱税や節税に当てはまるかわからない人も多いものです。
知らないではすまされず、税務署が脱税と判断してしまえば脱税になってしまいます。
スタッフに対する労務、国に対する税務は、経営者の最低限の義務です。
正しい知識をもって経営者として様々な点を判断していく必要があるため、最初は社労士などのプロに依頼することも多い部分です。
防火対象物使用開始届書
美容室を開業するにあたり、消防設備の基準を満たしているかの確認のため、消防署への手続きが必要です。
テナント物件を使用する場合、使用する7日前までに『防火対象物使用開始届書』を提出する必要があります。
初めての開業でここまで大きな物件で借りることはないと思いますが、従業員・お客様含めて30人以上収容可能であれば、防火管理者を選任する必要があります。
工事の着工前に、必要な消防設備について、消防署で相談・確認をしておくことをオススメします。
内装工事によっては、工事前に『防火対象物工事等計画届出書』が必要になる場合もあります。
開業時に入っておきたい保険
開業時に労災・雇用保険の手続きをするのはもちろんのことですが、万が一に備えて保険の加入をすることが必要になってきます。
美容室を開業するにあたり、加入すべき保険は生命保険と損害保険があります。
生命保険
美容室を経営するにあたり、サロンが安定して経営できることに越したことはありません。
しかし、日々大きく変化する経済環境の中で、サロン経営は不安定になりがちです。
どんなに優秀な経営者であっても、常にリスクにさらされているのがサロン経営です。
経営者に万が一のことがあった場合、売り上げ減少や利益減少に対処するための緊急予備資金、借入金や買掛金、支払手形の返済や決済資金、残された家族のための役員退職慰労金や弔慰金、相続・事業継承対策資金など、これらは生命保険で補うことができることがあります。
損害保険
損害保険・賠償責任保険は、第三者に損害を与えてしまい法律上の損害賠償責任を負担するときに使用する保険です。
仕上がりに対する肉体的・精神的損害、医療行為必要とする損害などです。
契約には決算書売上高や個人事業主であれば確定申告売上高、新規事業の場合は予想売上高などが必要となるため、保険会社に問い合わせてみるのがオススメです。
集客(宣伝・広告)
美容室開業にあたり、広告や宣伝は集客の重要な要素になり、広告媒体は必須となります。
宣伝・集客方法には、紙媒体とWeb媒体があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
紙媒体
美容室の独立でよく使用される紙媒体では、DMやチラシ、ポスティングやハンディングのパンフレットなどがよく使用されます。
既存のお客様へは、口頭とDMでお伝えするのが一般的です。
DMははがきサイズでクーポンなどつけ、短くてもいいので一人ひとりにコメントを書くと熱意が伝わります。
新天地で新規客を取り込む場合、チラシや新聞折り込みなどを利用する場合もありますが、戻り率が低いため開業してから空いている時間にビラを配るのが一般的です。
Web媒体
最近では、集客の大半がWeb媒体であり、集客サイトが主な広告といっても過言ではありません。
ホットペッパーなどの集客サイトに掲載すると、サイト自体に集客力があるため、開業したてのサロンでも認知がしてもらいやすくなります。
既にWebにおいて集客力を持っているため、使用することにより売り上げが上がる可能性は高いです。
24時間いつでも予約ができる点も、メリットです。
そしてWeb上で予約表としても使用できるケースが多く、管理が楽になります。
一方で集客サイトからの新規客はクーポン巡りをするお客さんも多くいるため、リピートに繋がりにくいといったデメリットもあります。
集客サイトを使用するだけでなく、ホームページの作成も必要な場合が多いです。
ホームページのSEO対策では、情報量の多さと更新頻度が重要になってきます。
ホームページ内にWordPressなどを導入し、情報発信を継続していく必要があります。
また、SNSの活用も有効です。
特にInstagramは写真や動画が中心であるため、施術前後の比較や仕上がりを伝えやすく、お客様との双方のコミュニケーションを取ることが可能です。
まとめ
今回は、美容室の独立に当たり必要な手続きや資格、宣伝方法について解説しました。
物件・融資・内装が決まっても、美容室独立にはやらなければならないことが多くあります。
自分でやってみることも大切ですが、困ったらプロに頼るのも一つの方法です。
限られた時間の中でやらなければならないことは多くありますが、今回の記事を参考に、不備がないか確認してみてください。