これまで美容bizでは、美容師の独立・開業について幾度となく解説してきました。
物件選びや資金調達、コンセプト設定や各種届出の提出など、独立前にはやらなければならないことが数多くあります。
そして避けては通れないのが、今働いているサロンとの『円満退社』です。
独立を決意しスケジュールを立てたら、会社への退社の時期を相談することになります。
「自分の店を持ちたい」「みんなから愛されるサロンを作りたい」という気持ちがあっても、退社・独立の報告は一番疲れる部分であると思います。
オーナー・サロン側からしても、独立宣言は辛く、オーナーや職場スタッフ、お客様の気持ちを踏まえて円満退社すること、そして応援してもらえる独立を目指していくことが大切です。
避けたい独立・開業
完全に円満な独立・開業というのは実際とても難しく、半数以上の独立・開業を報告した美容師がいい顔をしてもらえなかったり、揉めたりなどということもあります。
売上・役職を持っている美容師が退職する時点で、サロンにとってはマイナス要素が多く、しっかりとオーナーと話し合いをし、筋を通したうえで独立を目指すべきです。
今までお世話になっているサロンを裏切るような独立では、後に自分に返ってくる可能性もあります。
やれることはすべてやった上で、円満な独立ができなかった場合は仕方ありませんが、完全円満の独立が難しいのも事実ですが、できるだけ円満な独立を目指すことを心がけるべきです。
既存の顧客は?
サロンにもよりますが、独立した後競合しないよう店の近くには店舗を立てないように言われる場合がほとんどです。
独立した先のサロンが今まで勤務していたサロンとあまりにも距離が遠い、料金が違うという場合、初回は来てくれたとしてもリピーターになってもらえないことも多くあります。
そして、既存のお客様を連れていこうとすることにいい顔をしないオーナーも多くいます。
あらかじめ、オーナーにどの程度までお客様へアプローチしていいのか、尋ねる必要があります。
既存のお客様に、サロンを離れることくらいはお話しすると思いますが、その後名刺を渡してもいいのか、具体的にどこまで行動をとっていいのか、オーナー側としっかりと話し合いをすることが大切です。
実際に独立するとき、円満に退社するのは、オーナーや職場環境、自分自身など、それぞれの立場や環境によって変わってきます。
去っていくサロン側、スタッフ側の気持ちの問題であり、お互いが気持ちよく別れたいなら、それぞれが納得いくまで話し合うべきなのです。
円満に退職するには?
前述で「できる限りのことはやる」というのが、円満に独立する方法とお伝えしましたが、具体的にはどのような事をすればいいのでしょうか?
それは、『今まで面倒くさくてやってこなかったことやる』という点です。
例えば、スタッフ教育や福利厚生、より良いサロンにするにはどのようにすればいいかなど、今の職場で積極的に取り組むことも大切です。
教育や経営に対する自分の意見を発言したりすることにより、「なにか考えているな」とう態度を示すようにすると、オーナー側も気づいてくれることも多いです。
今できることを一生懸命やる、これが今後独立したうえでも生きてくる経験になります。
独立にあたり、考えるべきこと
美容室を離れる際、他のスタッフが辞めるような流れが少なからず出てきます。
特にサロンの店長などが独立などで退職する場合、負の連鎖が伝染することも多く、直前まで他のスタッフには言わないというのも一つの方法です。
そして、現在働いているサロン、一緒に働くスタッフ、お客様に何が迷惑になるのかをしっかりと考える必要があります。
そのために、独立を決めたならサロンの愚痴を言うのはご法度です。
今働いている店があるからこそ、今の自分があることを忘れず、敬意を払い続けることは独立後の経営にも関わってきます。
そしてスタッフの引き抜きや同じエリアでの出店、そして他のスタッフにネガティブな発言をするなど、気を付けるべきことは多くあります。
特にネガティブな発言は、狭い美容師業界では致命傷になる危険も秘めています。
反対に、「このサロンのこの部分はすごくいいと思っているから、独立してもこうしていきたい」など、前向きな発言を意識することが大切です。
サロンに残るスタッフからすると、どんな些細な行動でも「辞めるから関係ない」という態度に見られてしまう可能性もあります。
そして、独立後にスタッフの独立サロンへの引き抜きは、特に注意が必要です。
美容師業界は横のつながりが強く、「他店からスタッフを引き抜いたサロン」というレッテルを貼られてしまう可能性もあります。
さらに、お客様へ独立を伝えるのも、配慮が必要です。
今ではSNSやブログなどで、「独立します」というのを簡単に多くの人に伝えることができる時代です。
急に美容室を辞めてしまうと、お客様へ不信感を与え、サロンの信用を落とすことになりかねません。
個人情報の取り扱いに細心の注意をはかり、丁寧に大きな声で言わず、ご案内させていただきたいので、同意書の元、同封するなど注意が必要です。
丁寧に案内することにより、あなたの評価も、サロンの評価も上がりますし、お客様が付いてくる、今のサロンに残るなど、気持ちよく判断してもらえます。
まとめ
独立には様々な準備が必要であり、やらなければならないことも多くありますが、特に精神的に疲れるのが、「サロンに独立を伝えること」です。
円満に退職したいと思うのは、独立する美容師なら誰でも願うことです。
今回の記事を参考に、今後も退職したサロンと良好な関係を築けるよう、配慮できる箇所はしっかりとフォローするようにしてみてください。