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美容業界の個人事業主必見!確定申告初心者が抑えるべき重要事項

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毎年2月後半から3月頭にかけて、個人事業主として働いている美容業界の方たちは確定申告でバタバタしてしまう時期です。

独立したり、フリーランス・個人事業主として活躍する方たちが増えてきている昨今で、確定申告は多くの方がおこなっています。

フリーランスになりたて、開業届を出したばかりの方は、確定申告が必要な方が多いですが、よくわからないことも多いものです。

そこで、今回は美容業界で活躍するフリーランスに向けて、確定申告について詳しく解説します。

「青色申告と白色申告と何が違うの?」

「どこまで経費で落とせるの?」

「今後独立したいので、確定申告について知りたい」

など、悩んでいる方は参考にしてみて下さい。

確定申告とは

確定申告とは、1年間で儲けた金額に対して所得税を自分で計算・申告することです。

サラリーマン美容師や、正社員として雇われているネイリストやエステティシャンなどは確定申告を企業がおこなってくれますが、フリーランスとして美容業界に従事する方のほとんどは確定申告をおこなう必要があります。

売り上げから経費を引いた金額が48万円以上ある場合、確定申告をおこなわなければなりません。

美容業界で働く個人事業主は、カットなどの施術料(サービス料)とシャンプーやサプリメントなどの物販料が主な売り上げになっていると思います。

確定申告が必要な美容業界に従事する方として

  • 個人で開業している美容師・エステティシャン・ネイリスト・アイリストなど
  • シェアサロン・ミラーレンタルなどのフリーランス美容師などの美容業界に関わる方
  • 売上歩合制の業務委託で働く美容師

などの働き方をしている方は確定申告が必要になります。

所得税・復興特別所得税の申告は、2月16日〜3月15日までに行う必要があります。

消費税や地方税は、1月4日〜3月31日までに納税する必要があります。

消費税と地方税に関しては、課税売上が1,000円万円を超えた年を含む3年目に申告が必要であり、売上が1,000万円以下でも前年の1~6月までの売上、または給与の支払いが1,000万円以上超えた場合に申告する必要があります。

「確定申告の事はよくわからないけど、面倒くさそう…」と思う方も多いかもしれませんが、節税効果や確定申告をおこなうことによってメリットが多くあります。

また、きちんと申告しなければ罰金を取られるため、フリーランス・個人事業主として美容業界で働くのであれば、必ず行うべき申告です。

確定申告を行わなかった場合、「無申告税」「延滞税」「重加算税」などが余計にかかってしまいます。

無申告税とは、確定申告が必要にもかかわらず行わなかった場合にかかる税金です。

延滞税とは、確定申告を行う期間に申告しなかった場合にかかる税金です。借金のりそくのようなものですが、税金に対して5%以上かかることがあるため注意が必要です。

重加算税とは、確定申告時に過少申告した方に対してかかる税金です。

酷い場合には刑事事件になる場合もあるため、正しく確定申告を行うことが大切です。

さらに、確定申告をおこなうことで合計所得金額が2,500万円以下であれば、誰でも基礎控除を受けることができます。

基礎控除とは「みなし経費」のようなものなので、節税対策になります。

確定申告の種類と区分について

フリーランスの確定申告の場合、確定申告書A・Bと、青色申告・白色申告・雑所得など「多くの専門用語があってよく分からない…」と悩んでいる方も多いのではないのでしょうか。

本章では、確定申告の種類について解説します。

確定申告書AとBの違い

多くのフリーランスの美容業従事者は、確定申告Bを行うことになります。

確定申告書Aとは、副業として美容業を行う場合に記入します。

扶養内でパート・アルバイトとして美容業に従事する場合、確定申告書Aに記入します。

一方、確定申告書Bは本業として美容業を行っている方の記入書類です。

個人事業主として美容業を行っているのであれば、確定申告書Bに記入します。

働き方によって確定申告の種類が違うため、注意が必要です。

確定申告の区分とは

確定申告の区分には税制のメリットの違いなどから、青色申告・白色申告・雑所得の3つに分類されます。

それぞれにメリット・デメリットがありますが、以下で詳しく解説していきます。

青色申告

青色申告を行うことができるのは、継続収入があり税務署で青色申告を行っている個人事業主です。

複式簿記という細かい帳簿を付ける手間がかかりますが、税金上のメリットが多くあります。

青色申告をすると、オンライン申請をおこなうことで基礎控除額が最大で65万円まで上がります。

65万円の控除を受けるには、

  • 不動産所得または事業所得があること(フリーランスの美容業の方は事業所得に該当)
  • 複数簿記で帳簿を付ける
  • 賃借対照表と損益計算書を添付する
  • 期限以内に提出する
  • オンライン申請する

のすべての条件を満たせば受けることができます。

しかし、青色申告であれば上記の条件が満たなくても10万円の控除を受けることが可能です。

また、15歳以上の家族に経理を頼めば、従業員として給料を払って経費とすることができます。

さらに、赤字になってしまっても3年前までさかのぼって経費として落とせるため、黒字が出た年から所得控除をおこなうことができます。

独立したての美容業界の方にとっては、嬉しいメリットであるといえます。

そして、30万円以下のシャンプー台などの固定資産については、購入した年の経費として一括で落とすことができるのです。

これを「一括償却資産」といいますが、後ほど詳しく説明します。

青色申告が行えるのは、青色申告の届出をした方がのみが行える申告です。

青色申告の方がメリットが大きいため、青色申告の申請を行いたい方は国税庁のホームページか税務署へ行くことで青色申告を受けることができます。

ちなみに、経費としての領収書は7年間保存する必要があります。

白色申告

白色申告は、継続的に事業所得があっても青色申告していない個人事業主が行います。

届出をしていなくても、白色申告で確定申告をすることができます。

単式簿記という大まかに付ける帳簿で可能なため、青色申告に比べて簡単に申請することができます。

また、経費としての領収書の保管期間は5年間です。

しかし、赤字繰り越しができない、所得控除がないというデメリットがあります。

雑所得

雑所得は、継続的に収入がなく開業届を出していない個人事業主に当てはまります。

払う税金が青色申告よりも多く、特別控除もありません。

個人事業主として生業を立てていくのであれば、青色申告をすることがオススメです。

確定申告はどのくらい得?

確定申告は納税義務に該当する個人事業主であれば行わなければなりませんが、実際にどのくらいお得なのでしょうか?例を挙げて説明していきます。

●年収400万円の正社員美容師の場合
年収400万円に対して税金がかかります。
年収400万円の所得税は8.5万円、住民税は17.2万円、社会保険58.7万円となります。
所得税、住民税、社会保険の合計は84.4万円です。
そのため、手取り年収は315.6万円となります。

 

●年収400万円の個人事業主美容師の場合
年収400万円で経費で月15万円かかると想定して15万円×12ヶ月=180万円
年収400万円ー1年間の経費180万円=220万円
個人事業主として青色申告している場合、220万円に対して税金がかかります

そのため、所得税は5.5万円、住民税は11.75万円、国民健康保険は15万円となるため、正社員の美容師に比べて9万円も節税になります。

実際に確定申告をしてみよう

確定申告のメリットについてわかったところで、実際に確定申告をおこなう手順と、必要書類について解説します。

確定申告の手順

1、申告対象の年の収支資料を集め、帳簿に記入します。

2、国民年金、生命保険、扶養家族の収入状況、住宅ローンの残高などのわかる資料を集めます。証明書の発行が必要な場合は取り寄せます。

3、用紙に記入して税金を計算します。

4、ネットからの確定申告か、直接税務署に郵送などで提出します。ネットから確定申告を行う場合は、事前登録が必要です。

5、税金を納付して完了となります。

確定申告に必要な書類

確定申告には、以下の書類が必要です。

  • 売上伝票、日報、月報などの売上がわかるもの
  • 経費の請求書や領収書、レシート
  • 仕事用の通帳
  • 国民健康保険の領収書
  • 国民年金の控除証明書

その他にも、スタッフを雇っている場合には給与明細の控え、生命保険や地震保険に入っている場合は控除証明、住宅ローンがある場合には残高証明書、扶養家族がいる場合には収入がわかるものが必要です。

領収書は、A4用紙に月別、カードと現金での支払いに分け、1年ごとにファイリングしておくのがオススメです。

美容業界の個人事業主が経費で落とせるものは?

個人事業主である最大のメリットは、事業に関わる支出を経費で落とせることです。

基本的には「仕事で使うものは全て経費で落とせる」と思っておいて大丈夫です。

しかし、「どこまでが経費でそうでないのかがわからない」という方や「どの経費に計上されるのかわからない」という方も多いと思います。

そこで、経費として落とせるものと経費の種類について紹介します。

消耗品

美容師であれば、シャンプーやハサミ、ネイリストであればジェルやUVライトなど、取得金額が10万円以下で使用可能期間が一年未満のものであれば消耗品に該当します。

ボールペンなどの文具は「消耗品」または「事務用品」に分類されます。

仕事できる服は衣装代として消耗品扱いにもできますが、購入金額の30%ほどにしておくのが無難です。

備品

イスや鏡など、10万円以上のものは備品として扱います。

後ほど詳しく解説しますが、備品は固定資産であり減価償却が必要でこの経費には上限がありません。

固定資産には、一括減価償却資産と少額減価償却資産、減価償却資産の3種類があります。

店舗家賃

店舗としている家賃は経費として計上できます。

自宅兼サロンとしている場合には、仕事スペースとしている部分の家賃が経費で落とせます。

全額は経費として落とせない事も多いので注意が必要です。

例えば自宅の40%がサロンとして使用しているのであれば、家賃の40%を経費として落とすことができます。

水道光熱費も同様に、自宅の40%をサロンとして使用しているのであれば40%が経費で落とせます。

水道光熱費

トイレやシャワーなどの水道代、サロンの照明などの電気代など、仕事で使用した水道光熱費に関しては経費で落とすことが可能です。

従業員給与

従業員を雇っている場合であれば、従業員の給与は経費で落とすことができます。

交際費

取引先との飲食代は交際費として落とすことができます。

資産1億円以下の法人に限り、年間800万円以下で接待交際費は50%までしか落とせませんが、個人事業主は全額経費で落とすことができます。

宣伝広告費

集客のためのチラシやSNS運用代行など、宣伝広告費に計上されます。

旅費・交通費

出張などの事業でかかった旅費・交通費に関しては、経費で落とすことができます。

また、旅費交通費に関しては領収証がなくても経費として落とすことができますが、日報などの報告書が必要です。

新聞図書費

参考書やお客様への雑誌は新聞図書費として経費に計上します。

研修費

研修にかかった飲食代や交通費など。研修・会議で必要なものに関して、研修費として落とすことができます。

しかし、会議費は1人につき5,000円までなので使いすぎには注意が必要です。

一括減価償却資産と少額減価償却資産とは?

先述で出てきた「一括減価償却資産」と「少額減価償却資産」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

一括減価償却資産と少額減価償却資産の前に、「減価償却」について軽く触れておきます。

減価償却とは固定資産の使用期間を分割して費用計上する会計処理のことをいいます。

シャワー台や鏡、イスなど、長期間にわたって使用する備品や設備などは、時間の経過とともに劣化し資産価値が減少します。

時間の経過とともに価値がなくなる資産を「減価償却資産」といい、使用期間を分割して購入費を計上する必要があります。

美容業界で使用するものの減価償却が必要なものには、取得金額が10万円以上で1年以上使用するものに関して行います。

一括減価償却資産

イスや鏡などの固定資産のうち、10万円以上20万円以下の固定資産に適応され、新品でも中古品でも適応になるのが一括減価償却資産です。

普通、固定資産は月割で減価償却計算を行いますが、20万円以下の固定資産は計算が面倒なため一括で計上することができます。

個別管理が不要で、一律3年で減価償却期間を早めて前倒しすることができます。

少額減価償却資産

10〜30万円までの固定資産が対象であり、新品・中古品問わず適応できます。

1年で合計300万円まで全額経費として計上することができ、資本1億円以下の中小法人・常時使用従業員が1000人以下の個人事業主で青色申告している方が適応できます。

一括償却資産と少額減価償却資産のメリット・デメリット

一括償却資産と少額減価償却資産は、早期の経費計上が可能なため節税効果は高いです。

しかし、経費が増えるため利益が下がるので、ローンや銀行からの融資を受ける場合には不利になることがあります。

融資を受けたりローンを組んだりするには、3年以上の黒字経営が目安と言われているからです。

確定申告を行うにはアプリが便利!

通常業務に加えて確定申告を行わなければならないのが個人事業主ですが、面倒な確定申告を助けてくれるアプリがあるので紹介します。

弥生の青色申告

低価格で使用できる確定申告アプリです。

確定申告アプリとして多く選ばれるアプリであり、Excelなどが多少触れる程度の知識で簡単に確定申告をおこなうことができます。

初期設定をおこなうことで、銀行明細やクレジットカードなどの取引データを自動的に取り込んで処理できるため、レシートなどはスマホ写真でデータを自動仕分けしてくれます。

会計ソフトfreee

初めての確定申告でも、安心して使用することができるのが『会計ソフトfreee』です。

スマホカメラで領収書を撮影するだけで、簡単に経費処理をしてくれます。

手順に沿って質問に答えるだけで書類が作成できるため、手軽で人気があります。

青色申告・白色申告どちらにも対応しており、サポート機能も充実しています。

困った時もいつでもチャットで相談ができるため、リピート率が高いアプリです。

また、同社の『開業freee』では、青色申告と開業届が同時に作成でき口座も解説することができるので、個人事業主にはとても使いやすいアプリとなっています。

MFクラウド

確定申告や経理などの面倒な処理をできるだけ自動化し、確定申告を簡単にするために開発されたアプリです。

仕分けのルールを自動で学習してくれるため、作業が楽です。

まとめ

確定申告は、多くの個人事業主の義務であり、きちんと行わなければ罰金や最悪刑事事件にもなってしまいます。

確定申告は青色・白色など、種類が多くてややこしい点も多くあるため、面倒に感じる方も多いと思います。

税理士を通して代行してもらえば簡単に済みますが、最低限経費や税金の知識は個人事業主であれば抑えておきたいところです。

本記事を参考に、確定申告をしっかりおこないましょう。

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